― 短編箱 ―
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#291 [栢]
:09/11/24 17:22 :D905i :6NafA9lE
#292 [栢]
先輩のポケットに私の宇宙
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:09/11/24 17:43 :D905i :6NafA9lE
#293 [栢]
小さな頃から
私は"宇宙"に憧れた。
真っ暗な空間に
きらきらとした渦や
赤かったり青かったり
輪っかがついてたり‥
数え切れないほどの惑星
何度本を読んだって
何度写真集を見たって
すべてを知れない
そのもどかしさが
私を虜にしていたんだ
:09/11/24 17:47 :D905i :6NafA9lE
#294 [栢]
暇な日はもっぱら宇宙の本。
いつの日か飽きがくるだろうと
暖かく見守ってた両親も
今ではあきれ顔。
何かひとつ
新しいことを知るたびに
わくわくした。
そして今日も
わくわくを求めて
"宇宙"を求めて
地元の図書館に向かう
:09/11/24 17:51 :D905i :6NafA9lE
#295 [栢]
もうきっとすべて読み尽くした。
司書さんにも顔を覚えられた。
いつも休日はここへ来て
窓際のいすに座る
そしてひたすらに
日が暮れるまで"宇宙"に触れる
見た目は
少し田舎じみているが
普通の女子高生なはずだ
:09/11/24 17:55 :D905i :6NafA9lE
#296 [栢]
「‥紗代ちゃん。」
司書の中村さんが
小声で私を呼んだ。
不思議そうに近寄る私に
にこにこしながらこう言った
「屋上に‥いってごらんなさい
きっとあなたをわくわくさせる
素敵なものがあるわ」
やりなれたように
片目を瞑ってウィンクすると
中村さんはせかすように
私の背中をぐいと押した。
:09/11/24 18:00 :D905i :6NafA9lE
#297 [栢]
屋上‥?
検討もつかなかった
屋上から宇宙でも見えるのかな
‥それはさすがに有り得ない
じゃあ‥なんだろう。
非常階段を駆け上り
期待を胸に
勢いよく扉を開けた。
:09/11/24 18:02 :D905i :6NafA9lE
#298 [栢]
すぅっと
心地よい風が髪を撫でる
そこには
期待するものは何もなかった。
「中村さん‥意味わかんない」
小言を言いながらも
青い空に目をこらす。
「今日は‥星がよく見えますよ」
ふと目をやると
すらっとした少し華奢な男が
同じように空を眺めてた。
:09/11/24 18:06 :D905i :6NafA9lE
#299 [栢]
「紗代ちゃん‥でしたか?」
爽やかに笑われた。
少しばかり見とれた。
透き通るような白い肌に
真っ黒な縁の眼鏡
柔らかい声とは対照的な鋭い目
「中村にはめられたのでしょう」
少し参ったようにくすりと笑った
余裕ありげな言葉遣いが
気に入らなかった。
:09/11/24 18:11 :D905i :6NafA9lE
#300 [栢]
「‥誰?」
目を細めて警戒心を剥き出しにした。
「さぁ‥誰でしょうね」
からかわれてる。
面倒な人が少しばかり
いや‥大嫌いだった。
「何それ。バカにしないでよ」
あたしのこの威嚇もさらりと交わされる
一気に現る苦手意識。
:10/01/08 17:34 :D905i :TVGSibQw
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