<<来栖>>
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#227 [nanoka]

沈黙を破ったのは蒼井さんだった。

「よろしければもう一杯いかがですか?」

いつの間にか神崎さんのグラスは空になっていた。

⏰:09/10/27 21:45 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#228 [nanoka]

「あ…じゃあ同じものを」

蒼井さんは静かに微笑むとカクテルを作り始めた。

同時に神崎さんが再び口を開いた。

⏰:09/10/27 21:48 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#229 [nanoka]

「俺のとこの不動産屋で扱ってる物件で社員の間でも有名な物件があってさ」

と、神崎さんは幽霊マンションについて説明してくれた。

外から見た外観も暗くて、いかにもってマンションらしい。

⏰:09/10/27 21:50 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#230 [nanoka]

「両側にもマンションがあって、日が当たらないからなんだけど、それだけじゃない暗さがあるんだよな、あそこは」

「そこは何か事件とかあったんですか?」

「いや、何も。でもこの間そのマンションに住んでる夫婦が部屋を探しに来たんだ。担当したのが俺だったんで色々と聞いたよ」

⏰:09/10/27 21:53 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#231 [nanoka]

「心霊現象ですか?」

「あぁ。女の霊が出るらしい。鏡に写ったり視界の隅に見えたりするって言ってたよ」

「俺、そのマンションには絶対住みたくないです」

⏰:09/10/27 21:55 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#232 [nanoka]

「俺も」と、笑ってから神崎さんは言葉を続けた。

「毎日のように同じ女を見かけたらしい。でも実害っていうのかな。何かされるわけでもないしってことであまり気にしてなかったみたいなんだ」

すごい夫婦だなと思わず笑ってしまった。

⏰:09/10/27 21:58 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#233 [nanoka]

「でも奥さんが妊娠したんで引っ越しを決心したんだってさ。子供には見せたくないって言ってたよ」

「そのマンション今もあるんですか?」

「あるよ。しかも意外と入居者いるんだよ」

⏰:09/10/27 22:02 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#234 [nanoka]

「ええっ!?まじですか!?」

俺の反応が面白かったのか神崎さんはちょっと得意気に笑った。

「他の社員もそのマンションのことは知ってたけど、家賃安いからよく紹介してるみたいだしな」

⏰:09/10/27 22:09 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#235 [nanoka]

「家賃安いって言っても、幽霊出るんじゃ退去者も多いんじゃないですか?」

「それがあんまいないんだよ。出るのは例の女の霊だけみたいで、俺が担当した夫婦みたいに気にしない人は気にしないから」

そう言った神崎さんは少し不満そうな表情を浮かべていた。

⏰:09/10/27 22:14 📱:P906i 🆔:BSCzB462


#236 [nanoka]

感情をストレートに表に出す人というのが、俺の抱く神崎さんのイメージだった。

ちょっと接客業には向かないタイプなのでは、と余計な心配をしてみたりもした。

⏰:09/10/27 22:15 📱:P906i 🆔:BSCzB462


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