<<来栖>>
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#315 [nanoka]

「は?何で?」

「いいから!何かおかしいのよ」

いつになく厳しい口調の母に、言い様のない不安に駆られたのを覚えている。

⏰:09/10/28 18:12 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#316 [nanoka]

母が怒っていたわけも今ならわかる。

知っている道に出ようと車を走らせても、同じ場所に戻ってきてしまっていたのだから。

母は何十回と墓地のまわりを走らされていたらしい。

⏰:09/10/28 18:15 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#317 [nanoka]

叔母さん家の前には川が流れているのだが、その向かいが母の迷っていた墓地にあたる。

ほんの5分ほどの距離で、別の日に改めて墓地を見た母が

「何で迷ったんだろう」

と呟いていたくらい近くだ。

⏰:09/10/28 18:28 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#318 [nanoka]

俺が目を覚ましてからのことは夢の続きを見るまでもなく覚えている。

「何でこんなとこで迷ってるの?」

と、文句を言いながら俺が道案内をしたのだ。

⏰:09/10/28 18:35 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#319 [nanoka]

叔母さん家には母と一緒に何度も来ていた。

墓地から叔母さん家までの道順も覚えていた。

「真っ直ぐ行って」
「そこ右」
「次も右」

⏰:09/10/28 18:37 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#320 [nanoka]

寝ていたところを起こされ機嫌の悪い俺は、そんな感じで道案内をし叔母さん家に着いた。

夢の中の俺も同じように、ふて腐れた顔で道案内をしている。

あー…。眠いんだろうな。と、苦笑しながら幼い頃の自分を眺めていた。

⏰:09/10/28 18:40 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#321 [nanoka]

一つだけ記憶と違っていたのは、俺が言う先の道に男が立っていたことだ。

右と言えば右に進んだ道に左と言えば左に進んだ道に男が立っている。

男は俺に次に進む方向を指差して教えている。

⏰:09/10/28 18:44 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#322 [nanoka]

母には見えていない様子のその男は、次の方向を指差すと一度消えまた現れた。

最後に叔母さん家を指差したところで完全に姿を消した。

そこで夢から覚めた。

⏰:09/10/28 18:47 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#323 [nanoka]

夢の話を蒼井さんにしたのはちょっとした気まぐれだった。

お店が暇だったこともあって掃除に飽きた俺は

「そういえば昨日変な夢見たんですよー」

と、軽いノリで夢の話をしたのだ。

⏰:09/10/30 04:14 📱:P906i 🆔:UjKXiWL2


#324 [nanoka]

「多分後ろの方が助けてくれたんだと思います」

蒼井さんは俺の話を聞いてそう言った。

夢の中で指差しながら帰り道を教えてくれたのは後ろの方だというのだ。

⏰:09/10/30 04:15 📱:P906i 🆔:UjKXiWL2


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