<<来栖>>
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#104 [nanoka]

「いや…あの、すぐ戻って来るから一瞬外に出てきていいかな?」

と、全く意味のわからないことを言い出した市原さんに俺は小さく「どうぞ」と答えた。

カクテルのボトルを拭いていた蒼井さんに目をやると、入れていいよと許可するように微笑んでいた。

⏰:09/10/19 19:05 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#105 [nanoka]

ほんとに一瞬で戻って来た市原さんは、外に出た理由について何の説明もしずに

「カウンター席、座っていいかな?」

と、俺に訊いた。

⏰:09/10/19 19:07 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#106 [nanoka]

俺はいつもそうするように椅子を少し引いて

「どうぞ」

と、席へ案内した。

30分くらいかな。市原さんは黙ったまま携帯を触ったりしながら飲んでいた。

⏰:09/10/19 19:10 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#107 [nanoka]

市原さんに対して少し不信感を抱いていた俺は、気付かれない程度にチラチラと市原さんを観察していた。

黒のスーツ。仕事終わりなのかネクタイはしていなかった。

髪は茶色で短髪。歳は20代後半だろうか。ごく普通のサラリーマンに見えた。

⏰:09/10/19 19:13 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#108 [nanoka]

一時間くらい経ってから、ようやく市原さんは口を開いた。

少し赤みがかった頬になり目も心なしかトロンとしていた。

お酒はあまり強くないようだった。

⏰:09/10/19 19:15 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#109 [nanoka]

「静かでいいな、この店」

俺にではなく、正面に立っていた蒼井さんに向けられた言葉だった。

「ありがとうございます」

蒼井さんはお得意の微笑みを返しながらそう答えた。

⏰:09/10/19 19:18 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#110 [nanoka]

「最近、うるさくてちょっと寝不足なんだ」

と、市原さんは目を擦った。

「近所で工事でもやってるんですか?」

⏰:09/10/19 19:20 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#111 [nanoka]

「あぁ…まぁそんなとこかな」

一瞬の間、俺は眠れない理由は工事じゃないんだろうなと思った。

サラリーマンが寝る時間帯にやる工事なんてそうそうあるわけもないし。

⏰:09/10/19 19:23 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#112 [nanoka]

「それは大変ですね」

と答えたきり蒼井さんが再び黙ると、市原さんは心を決めたという感じで

「ほんとは…」

と、口を開いた。

⏰:09/10/19 19:24 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#113 [nanoka]

「耳鳴りが酷いんだ。眠れないくらい」

病院行けばいいのに。って単純な俺とは逆に蒼井さんは真剣な表情をしていた。

「でも不思議なことにこの店入った瞬間、ピタッと耳鳴りが収まったんだ」

⏰:09/10/19 19:27 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


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