<<来栖>>
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#110 [nanoka]

「最近、うるさくてちょっと寝不足なんだ」

と、市原さんは目を擦った。

「近所で工事でもやってるんですか?」

⏰:09/10/19 19:20 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#111 [nanoka]

「あぁ…まぁそんなとこかな」

一瞬の間、俺は眠れない理由は工事じゃないんだろうなと思った。

サラリーマンが寝る時間帯にやる工事なんてそうそうあるわけもないし。

⏰:09/10/19 19:23 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#112 [nanoka]

「それは大変ですね」

と答えたきり蒼井さんが再び黙ると、市原さんは心を決めたという感じで

「ほんとは…」

と、口を開いた。

⏰:09/10/19 19:24 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#113 [nanoka]

「耳鳴りが酷いんだ。眠れないくらい」

病院行けばいいのに。って単純な俺とは逆に蒼井さんは真剣な表情をしていた。

「でも不思議なことにこの店入った瞬間、ピタッと耳鳴りが収まったんだ」

⏰:09/10/19 19:27 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#114 [nanoka]

あぁ、だから…。と俺は妙に納得した。

急に耳鳴りが止まったから驚いた顔をしてたのか。

「治ったのかとビックリして一度外に出てみたんだけど治ってはないみたいだ」

⏰:09/10/19 19:30 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#115 [nanoka]

耳鳴りについて説明を終えた市原さんは最後に独り言のように

「ここから出たくない」

と、呟いた。

⏰:09/10/19 19:32 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#116 [nanoka]

「耳鳴りがする時って…」

蒼井さんが口を開くと、市原さんが項垂れていた頭を少し上げた。

「近くに霊がいるって話は聞いたことありますか?」

⏰:09/10/19 19:34 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#117 [nanoka]

「え…」

市原さんは一瞬面食らったような顔をしたが、すぐに

「よくある都市伝説みたいなもんだろ」

と、笑った。

⏰:09/10/19 19:35 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#118 [nanoka]

「その話、あながち間違いではないんですよ」

「えっ?」

「正確には霊が喋っている声なんですけどね」

こんな話をしている時でも蒼井さんは笑顔を絶やさない。

⏰:09/10/19 19:38 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


#119 [nanoka]

「ただ霊の声って普通の人にはうまく聞き取れないことが多いんですよ。耳鳴りみたいな“音”としてしか変換できないんです」

俺は市原さんの顔色を伺うように視線を移した。

⏰:09/10/19 19:41 📱:P906i 🆔:SzarbkRI


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