<<来栖>>
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#307 [nanoka]
「本来の力…ですか」
「よく赤ちゃんや小さい子供は霊が視えるって言うじゃないですか」
その手の話は何度か聞いたことがあったので、俺は頷いた。
:09/10/28 17:43
:P906i
:lksf9tkg
#308 [nanoka]
「成長するにつれて視えなくなることが多いんですけど、僕と接しているうちに力が戻ってしまうみたいなんですよ、困ったことに」
「困るんですか?」
霊感があるなんて人によっては自慢する人もいるし、喜ぶ人もいるのでは…って思った。
:09/10/28 17:47
:P906i
:lksf9tkg
#309 [nanoka]
「視えないほうがいいこともあるんですよ」
というのが蒼井さんの答えだった。
霊感が開花しすぎて辞めてしまった子や、単純に怖い話が苦手で辞めた子がほとんどらしい。
:09/10/28 17:49
:P906i
:lksf9tkg
#310 [nanoka]
「あ。だから…」
俺はようやく面接の時に、蒼井さんにされた質問の意味が理解できた気がした。
「みんな三ヶ月ももたずに辞めてしまうんですよ。だから拓真くんがうちで働いてくれて助かってます」
:09/10/28 17:52
:P906i
:lksf9tkg
#311 [nanoka]
その日の夜、懐かしい夢を見た。
「拓真、起きて」
という母の声から夢が始まった。
母の運転する車で叔母さんの家に向かう途中だ。
:09/10/28 18:02
:P906i
:lksf9tkg
#312 [nanoka]
助手席で眠りこけている俺を母が必死で起こしている場面。
記憶にある場面だった。
小学生の頃、同じ場面を実際に経験したことがある。
母は道に迷っている。と、すぐにわかった。
:09/10/28 18:05
:P906i
:lksf9tkg
#313 [nanoka]
毎週のように顔を出していた叔母さんの家へ向かう道で迷ってしまったのだ。
普通に考えたらあり得ない事態に母は震えた声で寝ている俺を起こしていた。
「拓真、拓真」
:09/10/28 18:08
:P906i
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#314 [nanoka]
母の必死の呼びかけに幼い頃の俺が目を開けた。
「何?」
不機嫌そうに母に問いかける。
「叔母さん家に着くまで起きてて」
:09/10/28 18:10
:P906i
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#315 [nanoka]
「は?何で?」
「いいから!何かおかしいのよ」
いつになく厳しい口調の母に、言い様のない不安に駆られたのを覚えている。
:09/10/28 18:12
:P906i
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#316 [nanoka]
母が怒っていたわけも今ならわかる。
知っている道に出ようと車を走らせても、同じ場所に戻ってきてしまっていたのだから。
母は何十回と墓地のまわりを走らされていたらしい。
:09/10/28 18:15
:P906i
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