<<来栖>>
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#312 [nanoka]

助手席で眠りこけている俺を母が必死で起こしている場面。

記憶にある場面だった。

小学生の頃、同じ場面を実際に経験したことがある。

母は道に迷っている。と、すぐにわかった。

⏰:09/10/28 18:05 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#313 [nanoka]

毎週のように顔を出していた叔母さんの家へ向かう道で迷ってしまったのだ。

普通に考えたらあり得ない事態に母は震えた声で寝ている俺を起こしていた。

「拓真、拓真」

⏰:09/10/28 18:08 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#314 [nanoka]

母の必死の呼びかけに幼い頃の俺が目を開けた。

「何?」

不機嫌そうに母に問いかける。

「叔母さん家に着くまで起きてて」

⏰:09/10/28 18:10 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#315 [nanoka]

「は?何で?」

「いいから!何かおかしいのよ」

いつになく厳しい口調の母に、言い様のない不安に駆られたのを覚えている。

⏰:09/10/28 18:12 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#316 [nanoka]

母が怒っていたわけも今ならわかる。

知っている道に出ようと車を走らせても、同じ場所に戻ってきてしまっていたのだから。

母は何十回と墓地のまわりを走らされていたらしい。

⏰:09/10/28 18:15 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#317 [nanoka]

叔母さん家の前には川が流れているのだが、その向かいが母の迷っていた墓地にあたる。

ほんの5分ほどの距離で、別の日に改めて墓地を見た母が

「何で迷ったんだろう」

と呟いていたくらい近くだ。

⏰:09/10/28 18:28 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#318 [nanoka]

俺が目を覚ましてからのことは夢の続きを見るまでもなく覚えている。

「何でこんなとこで迷ってるの?」

と、文句を言いながら俺が道案内をしたのだ。

⏰:09/10/28 18:35 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#319 [nanoka]

叔母さん家には母と一緒に何度も来ていた。

墓地から叔母さん家までの道順も覚えていた。

「真っ直ぐ行って」
「そこ右」
「次も右」

⏰:09/10/28 18:37 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#320 [nanoka]

寝ていたところを起こされ機嫌の悪い俺は、そんな感じで道案内をし叔母さん家に着いた。

夢の中の俺も同じように、ふて腐れた顔で道案内をしている。

あー…。眠いんだろうな。と、苦笑しながら幼い頃の自分を眺めていた。

⏰:09/10/28 18:40 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


#321 [nanoka]

一つだけ記憶と違っていたのは、俺が言う先の道に男が立っていたことだ。

右と言えば右に進んだ道に左と言えば左に進んだ道に男が立っている。

男は俺に次に進む方向を指差して教えている。

⏰:09/10/28 18:44 📱:P906i 🆔:lksf9tkg


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