<<来栖>>
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#412 [nanoka]

そう言って蒼井さんは微笑んだ。

「聞くよりも見る方が早いかもしれませんね」

と、蒼井さんが手にしたのは真っ黒くくすんだ数珠だった。

⏰:09/11/08 15:56 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#413 [nanoka]

「こんなこと言うと手品みたいになってしまいますけど、みなさん手に取って確認してみて下さい」

蒼井さんはまず亮太に数珠を手渡した。

しばらくその数珠を眺めていた亮太が横にいた優ちゃんに渡し、順番に全員が数珠を手に取った。

⏰:09/11/08 16:02 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#414 [nanoka]

最終的に蒼井さんの手に戻ってきた数珠は、最初と同じように真っ黒だった。

「それじゃあ…」

と、両手で蒼井さんはその数珠を包み、静かに目を閉じた。

⏰:09/11/08 16:03 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#415 [nanoka]

次に蒼井さんが手を広げた時には数珠は透明になっていた。

「これが僕の力です」

と、蒼井さんは微笑んだ。

一瞬の沈黙後、蒼井さんが質問攻めにあったのは説明するまでもないかな。

⏰:09/11/08 16:06 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#416 [nanoka]

全部の質問に一つ一つ丁寧に答えていく蒼井さんは、かなりがっちり彼らの心を掴んだようだった。

蒼井さんってすごくいい人という尊敬の眼差しが俺でもわかるくらい熱烈に送られていた。

一通り彼らの質問が落ち着くまで俺は黙ってカクテルを口に運んでいた。

⏰:09/11/08 16:13 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#417 [nanoka]

蒼井さんの話にしきりに感心し異様なまでに盛り上がっている様子を、俺は少し得意気な気持ちで眺めていた。

蒼井さんが褒められると、何だか嬉しい。

そんな和やかな雰囲気を変えたのは空さんの何気ない一言だった。

⏰:09/11/08 16:20 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#418 [nanoka]

「何か蒼井さんって枢先生と正反対って感じだね」

その言葉に、騒がしかった店内に沈黙が訪れた。

場が凍りつくという状況を俺は生まれて初めて経験した。

⏰:09/11/08 16:21 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#419 [nanoka]

「その枢先生のこと聞かせてもらえませんか?」

少し遠慮がちに蒼井さんが口を開くまで、誰一人言葉を発しなかった。

「枢先生というのは…」

⏰:09/11/08 16:23 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#420 [nanoka]

説明したのは亮太だった。時折空さんが捕捉しながら話は進んだ。

悪いモノを吸収する体質と俺は理解した。

吸収しても浄化していたが突然それがうまくいかなくなり今は入院中だという。

⏰:09/11/08 16:26 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


#421 [nanoka]

彼らがそれを自分たちのせいだと責任を感じているということもわかった。

たしかに、蒼井さんと逆の体質のように思えた。

蒼井さんの場合…

と、そこまで頭の中で整理した時、蒼井さんが口を開いた。

⏰:09/11/08 16:28 📱:P906i 🆔:FS//AjSY


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