死神の約束
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#1 [ゆきな]
私達は死神

翼の折れた死神達


願いが叶うのなら 光を

この身体が消えるほどの光をください

⏰:09/11/03 17:24 📱:SH001 🆔:rGmrN.4M


#2 [ゆきな]
『疲れた〜…』
今日も“報告書”を手にして飛び回る私。名前は…ルナということにしておく。名前なんてあまり使わないから意味がないのだ。

私が任されている仕事(つまり報告書に関してである)は自殺者の後片付け。事故・病気など色々な分野があるなかで、何故か1番嫌な“自殺”担当になるなんて…やっかいな話だ。


バシッ
「お前今日の分まだだろ」

『いったー…』

私の頭を分厚い紙で叩いたのは事故担当のレイ。憎たらしい奴。まぁでも1番喋るのはこいつかもしれない。

ってそれよりも気になるのはその報告書の分厚さである。

『まさかそれ…』
「そ。お前のだよ。頑張れよな」
手をヒラヒラとさせて飛んでいったレイに憎らしさを感じた。

『ったく多すぎでしょ』

⏰:09/11/03 17:36 📱:SH001 🆔:rGmrN.4M


#3 [ゆきな]
この紙を受け取る度に…見る度にこの世界は腐っている。と思う。

何て汚い 世界なんだろう。

『駄目だ…』
こんな事を考えても意味がないことは分かっている。やめよう。

私は少し頭を横に振って次の仕事場所へと向かった。

⏰:09/11/03 18:24 📱:SH001 🆔:rGmrN.4M


#4 [ゆきな]
ここはビルの屋上。たった今一人の男が飛び降りた。
うん。報告書通り…

笹川太一 43歳
死因:飛び降り
原因:リストラ

報告書の内容はこんな感じ。後は顔写真が貼ってある。死んだ人にこんな事思うのはいけないかもしれないが…なんていうか冴えない、いかにも弱そうな人だな。

「えっ…何だこれ」
身体が死んで抜けた“魂”
これを地獄に届けるのが私の仕事。

『えーっと笹川太一さんですね。今から地獄に送るんで』
魂の頭に手をかざすと、消える。

『はぁ…』

⏰:09/11/03 18:40 📱:SH001 🆔:rGmrN.4M


#5 [ゆきな]
ビュー

『あ…ありえない』
私は強風で飛ばされた紙を見て呆然とした。運が悪い。


「あーあ。ちゃんと拾えよ?」
いつの間にか後ろにいたレイに驚きながらも、

『分かってるわよ』
アスファルトの地面に向かって飛んだ。

⏰:09/11/04 07:09 📱:SH001 🆔:phpnXEx.


#6 [ゆきな]
地上を行き交う人間達は、白い息を吐きだしながらポケットに手を入れて足早に歩いている。

“寒さ”を感じない私でも今が冬と分かる。

『あーあ…随分散らばったな』
アスファルトに散らばった紙を見て、もうこのまま天界に帰ってしまおうかと思ってしまう。

まぁそんな事できないんだけど。

⏰:09/11/04 20:29 📱:SH001 🆔:phpnXEx.


#7 [ゆきな]
すり抜けて行く人間を気にせず紙を集めていた私は、呼ぶ“声”に気づくはずがなかった。




『はぁ…これで全部かな』
分厚い紙を持っている自分の手を見てよく頑張ったと褒めてやりたい。
“力”を使えば多分5秒で集まるのだが、なんせ地上での力の使用は禁止なのだ。

⏰:09/11/05 07:35 📱:SH001 🆔:zxzHSQTI


#8 [ゆきな]
私は寝ない

天界でも寝る人は多いのだが、別にで体に支障はないから寝なくても大丈夫

だから私は眠らない



夜になっても地球は静かにならなくて

そのざわめきが何だか私を安心させる

⏰:09/11/06 18:01 📱:SH001 🆔:h8SmDiPU


#9 [ゆきな]
「ルナ!」
私と同じ自殺担当のカナが数枚の紙切れを渡してきた

『どうしたのこれ?』
昨日とは明らかに違う報告書の量。例えるなら昨日が国語辞典で…今日がノート、といったところだろうか

「今日人手足りてるからそれだけでいいよ」

『本当?ラッキー』
出来れば昨日と半分ずつにしてほしかった…が過ぎた事は仕方がない

⏰:09/11/06 20:48 📱:SH001 🆔:h8SmDiPU


#10 [ゆきな]
私の仕事は案の定一時間程度で終わった

『うーん…暇かも』
やることがなさすぎる
まぁそれだけ自殺する人が少ないのだから、良いことなのだけれど。

⏰:09/11/07 22:47 📱:SH001 🆔:/onOpHjo


#11 [ゆきな]
「あれ?もう終わったのか」

『レイか…』

「何だよその言い方」

『あんたはまだ残ってるみたいだね』
レイの手に残る紙を見ると分かる。昨日の私と入れ替わったみたい

⏰:09/11/08 15:05 📱:SH001 🆔:jA1KeI2M


#12 [ゆきな]
「手伝え」

『やだ』

「何で」

『めんどくさいじゃない』

「じゃあ一枚だけ」
顔の前で両手をあわすレイを見ると、少し気持ちが揺らぐ

どうしようかな…

⏰:09/11/09 13:04 📱:SH001 🆔:r15Gw22M


#13 [ゆきな]
『…じゃあ一枚だけね』
しぶしぶ紙を受けとって飛んで行くと後ろから「悪ぃなー」と言ってるレイの声が聞こえた

⏰:09/11/09 18:37 📱:SH001 🆔:r15Gw22M


#14 [ゆきな]
佐々木ゆか36歳
死因:衝突事故
原因:本人の飲酒運転

『本人か…』
まぁ自業自得だね

現場はあまり人通りのない道だった

⏰:09/11/09 18:48 📱:SH001 🆔:r15Gw22M


#15 [ゆきな]
相手の小さい女の子は泣いていて、この人が避けて助かったことが分かる

魂が出てこないから即死じゃない
ってことは…病院かな

いつの間にか周りには人がたくさん来ていて救急車の音も聞こえてきた

⏰:09/11/10 07:15 📱:SH001 🆔:m8gMnuek


#16 [ゆきな]
耳障りなガヤガヤとした人の声
あぁ。やだな
この感覚
耳の中でゴォーっと響く音がする

いつものことだ
自然に鳴り止むのを待とう
大丈夫

⏰:09/11/11 07:29 📱:SH001 🆔:oQ7oiXp2


#17 [ゆきな]
私は 大丈夫


きっと 大丈夫

⏰:09/11/11 17:39 📱:SH001 🆔:oQ7oiXp2


#18 [ゆきな]
病院に着くと女の人は急いで運ばれて行った。私がいる時点で助からないことは分かっているのに…見えないからしょうがない

不思議なことに駆け付けた人が一人もいない
だいたいこういう場合は家族が急いで来て、泣きながら待っているものだ。

⏰:09/11/11 22:57 📱:SH001 🆔:oQ7oiXp2


#19 [ゆきな]
手術中のランプが消え、疲れた顔をした医師が出て来ると同時に“魂”が私の前に現れた

『佐々木さんですね』
私が声を発すると、女はこっちを見て
「あぁ。死んだのね私」と言った

『珍しいですね。普通は少し戸惑うものなんですけど』

⏰:09/11/13 19:48 📱:SH001 🆔:IX698kDo


#20 [ゆきな]
「いいの。分かってたから」
私はこの言葉の意味が分からなかった。俯いて力無く笑う表情を見ると、意味を聞くことなど無意味な気がして…

「私は地獄に行くかしら」

『…はい』

「そうか…」

『ではあなたを送ります』
手を頭にかざす寸前の出来事だった。


女は私を見て言った。


「あの子を頼むわ」

『え…』
言葉が発っせられた時にはもう私が送った後だった。

⏰:09/11/13 22:11 📱:SH001 🆔:IX698kDo


#21 [BATI∀]
見てます(^.^)
頑張ってください☆ミ

⏰:09/11/14 00:46 📱:P10A 🆔:SUawCAb2


#22 [ゆきな]
初☆感想ありがとうございます(o^∀^o)
頑張りますね~

⏰:09/11/14 10:12 📱:SH001 🆔:OJ6f7byk


#23 [ゆきな]
何だったのかな…


こんな魂は初めてだった

私に頼み事をするなど、普通じゃありえないのだ
そもそもあれは頼み事のうちに入るのだろうか。もしかしたら咄嗟に出た意味のない言葉かもしれない

…うん。きっとそう

⏰:09/11/14 10:16 📱:SH001 🆔:OJ6f7byk


#24 [ゆきな]
そう言い聞かせたもののやっぱり少し気になって、仕事でミスをしてしまう日が続いた

でも私の思いとは裏腹に、周りでは何も起こらない
んー…何か拍子抜け

まぁ起こらない方がありがたい事なのかもしれない

⏰:09/11/14 20:07 📱:SH001 🆔:OJ6f7byk


#25 [ゆきな]
でもそれは突然だった

いや、本当は前々から決まっていたのかもしれない



とにかく私にある“出会い”があった

⏰:09/11/16 17:43 📱:SH001 🆔:d6tEznjY


#26 [ゆきな]
『はー…』

最近意外と言ったらいいのか、仕事がスムーズに進んでいた。にもかかわらず…ため息の原因は“事故”である


今までにないぐらいの急がしさらしく、私達も担当関係なく手伝う事になった。

本当に忙しくて、死神なのに私死ぬんじゃないかなと思った程だ。


でもまぁ死ぬ訳なくて、やっと一段落して空中のお昼寝(といっても寝転がるだけで実際に眠ってはいない)をしている

⏰:09/11/18 19:52 📱:SH001 🆔:TOoakhxU


#27 [ゆきな]
空には一羽の鳥がくるくると円を書くように飛んでいる

私にある“予想”が浮かんだ。もしかしてこの鳥…


糞する気じゃないだろうか


一回思ってしまうとそう考えずにはいられない

⏰:09/11/21 16:00 📱:SH001 🆔:EJ5RAx5c


#28 [ゆきな]
危険だと感じて私は移動することにした

しばらく飛んでいると忙しそうにしているレイの姿を見かけた。
やばい…あの様子じゃまだ仕事終わってない
私は咄嗟に河原の側の橋の下に隠れた

やっぱり忙しいみたいでレイはすぐに飛んでいった

『危なかった…』
見つかってたら絶対手伝わされた。せっかく私の仕事が終わったのにまた手伝うなんてごめんだ

⏰:09/11/21 16:29 📱:SH001 🆔:EJ5RAx5c


#29 [ゆきな]
「…い」

それにしてもあの顔は相当いらついてたな

「おい」

今考えればレイに見つからなかったことが奇跡かも

「おい」

あーそうか。私って今日運がいいんだ



「おい!!!!」

⏰:09/11/21 20:13 📱:SH001 🆔:EJ5RAx5c


#30 [ゆきな]
『…え?』

何だこの状況…

あまりにうるさい声に振り返ると、少年がこっちを見ている。いや、“こっちを見ている”という表現は適切じゃないな

正確にいうと“何かを見ている”んだ

⏰:09/11/21 20:24 📱:SH001 🆔:EJ5RAx5c


#31 [ゆきな]
何があるんだろう…誰かいたっけ?と顔を向き直しても緑の河原が広がっているだけ

ここには この少年と私しかいなかった


「いつまで無視する気だよ」


『もしかしてもしかしなくても…私に言ってる?』

少年の目はばっちり私に向けられてる



「あんた意外に誰がいるんだ」

⏰:09/11/21 20:45 📱:SH001 🆔:EJ5RAx5c


#32 [ゆきな]
『……え』

どうして

『何で私が見えるのよ…』

「見えるんだからしょうがねぇだろ。頭大丈夫かよ」

む…ムカつく
何なのこの少年。馬鹿にしたような笑いに私の怒りは最高潮だ

⏰:09/11/22 16:12 📱:SH001 🆔:3IfSh0e6


#33 [ゆきな]
『私を誰だと思ってんのよ』
別にこんなことを言えるほど偉くもないのだが、これはまぁ…強がりってやつ


「知らね。コスプレマニアとか?」

…は?
何でコスプレなのよ…
私の疑問たっぷりの目を感じとったのか、少年は驚いた顔で指差した


「それ、」

⏰:09/11/22 16:50 📱:SH001 🆔:3IfSh0e6


#34 [ゆきな]
あぁ。
この人が言う“物”はあれだった

私の大嫌いな

真っ黒い…“羽”


『うるさい』

「え…」

『…話かけないでよ』

⏰:09/11/22 18:12 📱:SH001 🆔:3IfSh0e6


#35 [ゆきな]




「おーいルカ?」
目の前で手をヒラヒラとさせるレイに返事をせず考え込む

どうしよう…やはり言い過ぎただろうか…。うん、初対面であの態度はやり過ぎたかもしれない


そう。あの後私はあの少年の謝ろうとしていた声を振り払って立ち去ってしまったのだ

⏰:09/11/24 20:32 📱:SH001 🆔:jZ.HcSKQ


#36 [ゆきな]
私は何かモヤモヤして、結局あの場所に来てしまった

どうしよう…
来たもののあの子いないし

⏰:09/12/06 17:26 📱:SH001 🆔:leMRMXDU


#37 [ゆきな]
私は何気なく、近くにあったベンチに腰かけた

それにしてもここはいい場所だ

何となく、そう思った

⏰:09/12/06 17:43 📱:SH001 🆔:leMRMXDU


#38 [ゆきな]
風もほどよく、私がここに…まるで“存在”しているかのような錯覚に襲われる

一つ向こう側の道を歩くカップルに

犬を散歩させている親子

老人は私と同じように座ってぼーっと川を眺めている
でも表情はどこか穏やかだ

この微笑ましい風景に


私は似合わない

こんな私がいては いけない

⏰:09/12/06 21:46 📱:SH001 🆔:leMRMXDU


#39 [ゆきな]
急に辺りは闇になった

いや、“私の目の前だけが”と言った方が正しいかもしれない



「お前…この前の女だろ」

へ?
暗闇から少し顔をずらして見ると、あの少年が袋を持って立っていた

⏰:09/12/06 21:49 📱:SH001 🆔:leMRMXDU


#40 [ゆきな]
『あ…少年だ』

私の口から発した言葉に見るからに不愉快な顔をする


「何だよ少年って」

『……だって少年じゃん』

⏰:09/12/06 21:50 📱:SH001 🆔:leMRMXDU


#41 [ゆきな]
「お前だってそんなに変わらねーだろ」



いや、実際私の方が…何倍上なんだろ?でもこの少年から見たら私は同い年ぐらいらしい

うん…ちょっと嬉しいかも

⏰:09/12/07 14:25 📱:SH001 🆔:xYYFFL.M


#42 [ゆきな]
それにしても…

『君本当に私が見えるんだね』

⏰:09/12/07 21:27 📱:SH001 🆔:xYYFFL.M


#43 [なつき]
この小説おもしろ-い

⏰:09/12/08 01:17 📱:SO903i 🆔:hTI7N6Ak


#44 [ゆきな]
ありがとうございます。y

⏰:09/12/08 14:09 📱:SH001 🆔:1szktLm6


#45 [ゆきな]
「だから言っただろ」
私の隣に腰をかける少年。


………ん?ちょっと待って。
この少年には私が見えるけど、他の人には見えない。ってことは周りから見たら「え、何あの男の子ー1人で喋ってる」

みたいな感じなんだよね?

それはちょっと…まずいんじゃないかな

『…君離れた方がいいよ』

⏰:09/12/08 14:14 📱:SH001 🆔:1szktLm6


#46 [リーたん]
 読んでます
 まぢいい感じです
 頑張ってください

⏰:09/12/08 14:48 📱:N03A 🆔:☆☆☆


#47 [ゆきな]
ありがとうございます(^ω^)
頑張りますね

⏰:09/12/08 19:56 📱:SH001 🆔:1szktLm6


#48 [ゆきな]
「何で」
怪訝な顔をしてこっちを見る少年。いや、これはむしろ睨まれているに近いかも

『頭おかしい人に見られるよ』
そうだ。これは親切なのに、少年の表情は変わらない

「まぢで言ってんのか」

⏰:09/12/08 19:58 📱:SH001 🆔:1szktLm6


#49 [ゆきな]
『どういう意味?冗談な訳ないじゃん』

「本当にお前は誰にも見えないのか?」
少年はこっちに向けていた顔を正面に戻した。横顔は……少しかっこよく見えたけど、あえて口には出さないでおこう

私も正面に顔を向けて言った
『見えないよ』

⏰:09/12/08 23:07 📱:SH001 🆔:1szktLm6


#50 [ゆきな]
「俺…目おかしいのか」

真剣な顔をしていう少年に私は吹き出してしまった

『大丈夫でしょ』

⏰:09/12/09 15:12 📱:SH001 🆔:AMilb6bk


#51 [ゆきな]
あ、でも私が見えるのって普通じゃないから…やっぱり少年の目はおかしいのかな?

⏰:09/12/09 21:31 📱:SH001 🆔:AMilb6bk


#52 [ゆきな]
私が考えこんでいるとふいに少年が口を開いた


「……この前は悪かったよ」
一瞬なんのことか分からなくて、頼りない記憶の迷路を少したどった


そうだ。私も本来の目的は謝ることだった

『こっちこそごめん』

⏰:09/12/09 21:41 📱:SH001 🆔:AMilb6bk


#53 [ゆきな]
「何でお前があやまるんだ」

『いやー…だって初対面であれはダメだったかなって』
さすがにあの態度は大人気ないと思う。この少年の倍以上歳をとっているのに…

「あーあれは俺が悪かったんだからいい」

…と言われても『だよねーやっぱり君が悪かったよねー』なんて言えない

『じゃあ…半分半分ってことで』
うん。これが正解だ


「あぁ」

⏰:09/12/09 21:47 📱:SH001 🆔:AMilb6bk


#54 [ゆきな]
「ん」
目の前に差し出された、私の視界を黒くしたあの物体

これは…紙袋?

『何これ』

⏰:09/12/09 21:50 📱:SH001 🆔:AMilb6bk


#55 [ゆきな]
「開けりゃ分かる」


いや…そりゃそうでしょ。開けてないから聞いたんだし。笑

と思いながらガサガサと紙袋を開けてみる




『…………パン?』

⏰:09/12/11 18:33 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#56 [ゆきな]
これはどう見ても…パンだよね。でも、何ていうか似合わない…この少年がパン屋さんの可愛らしいドアを開けて、ましてや
「クロワッサン二つ下さい」

なんて、想像しただけで……わ…悪いけど




「何笑ってんだよ」

⏰:09/12/11 18:40 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#57 [ゆきな]
見るからに不機嫌な顔
というか笑ってたのばれてたんだ。自分的には頑張って……笑いをこらえていたつもりだったのに


『ごめんごめん。何ていうか…君とパン屋さんって………「不似合い」


「って言いてえんだろ?」

ビ…ビンゴ
もしかしてこの少年はエスパーなのか?

⏰:09/12/11 18:47 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#58 [ゆきな]
『君クロワッサン好きなの?』

「別に」

『だって買ってるじゃん』



「…はぁ」

何で溜息ついてるんだろう
別に変な事は聞いていない…よね?

⏰:09/12/11 18:56 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#59 [ゆきな]
「お前にやる」


ん?聞き間違い…?

『え?』


「だーかーら!お前にやる為に買って来たんだろ」

『な…何で?』

「この前の…あれだよ」


あれ…あれ………あっ!
もしかして、お詫びのしるしってやつ?

⏰:09/12/11 19:03 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#60 [ゆきな]
聞こうと思ったけど、チラッと横を見たら少年が“聞かないでくれ”って顔をしてたからあえて聞かない事にした。

『…ありがとうね』

「あぁ」


うん…この少年はいい子だな。母親になった気分だ。

⏰:09/12/11 19:06 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#61 [ゆきな]
『あ、そういえば君名前何ていうの?』
少年から貰ったクロワッサンを頬張りながら、ふと思った事を聞いてみた。
“君”とか“お前”で会話するのはちょっと嫌かもしれない。まぁ私が少年って言っておいてあれなんだけどね。


「ユキヤ」


『どういう漢字?』

「空から降る雪に弓矢の矢」

随分お洒落な名前だなー。雪ってことは…

『冬生まれでしょ!?』

⏰:09/12/11 19:26 📱:SH001 🆔:ExLhPqzg


#62 [ゆきな]
「知らねぇ」

なんだ…てっきりそうかと思ったのに

「お前は」

『え…あぁ名前?』

「それ以外に何があんだよ」

馬鹿じゃねぇのって思われてるのは、視線と笑い方で分かる

く…くっそー…
やっぱりムカつく

⏰:09/12/12 09:48 📱:SH001 🆔:AYYlPu46


#63 [ゆきな]
『教えない』

「は?」


ムカついて咄嗟に出た言葉だけど…少年の顔を見ると、やっぱり答えておけば良かったと思う。

でも今更後にひけない。


「おい。お前こっち見ろよ」

⏰:09/12/12 20:25 📱:SH001 🆔:AYYlPu46


#64 [ゆきな]
『見たじゃん』

「一瞬な一瞬。すぐ目そらしたじゃねぇか」

う…図星だけに何も言えない

⏰:09/12/12 21:51 📱:SH001 🆔:AYYlPu46


#65 [ゆきな]
ここはひとつ…………逃げよう



『じゃあね少年』

勢いよく地面を蹴り、まだ食べていない方のクロワッサンを頬張りながら空中へ飛ぶ。少年の声が聞こえた気がするけど…うん。聞こえてないふりを使おう。

⏰:09/12/12 22:05 📱:SH001 🆔:AYYlPu46


#66 [なつき]
気になる-。。。

⏰:09/12/19 16:50 📱:SO903i 🆔:Krr7FHQA


#67 [ゆきな]
すいませんホ最近忙しくて更新できてませんでした(∋_∈)

⏰:09/12/19 20:31 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#68 [ゆきな]
ようやく結構高い所まで来たけど…下は振り返らずに天界へ戻った




『あ!やばい…』

すっかり忘れてた…。

結局少年は私とずっと話してた訳で、てことは完全に独り言言ってた変な奴になっちゃったんだ。

⏰:09/12/19 20:36 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#69 [ゆきな]
う〜ん…
まぁ何とかなるかな

なんて人事のような考えしか頭にはない


それにしても、
『クロワッサンおいしかった』

あれは何処で売ってるんだろ
って言っても買えないんだけどね

⏰:09/12/19 21:12 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#70 [ゆきな]
「ルーナ」
『うわっ』

びっくりした…
レイはいつも突然でてくる。

『やめてよ。驚かすの』

こんなこと言っても無駄なのだが。
「今日何処行ってたんだよー」
やっぱりレイは私の話全然聞いてない。

『はぁー…さぁね』

⏰:09/12/19 21:23 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#71 [ゆきな]
「カナが探してたぞ」

てことは…
『追加の報告書あったんだ?』
「あぁ。ルナのお陰で手伝わされたよ」
皮肉を言いつつもレイの顔はあまり怒っていない。

『ごめんごめん』
でも一応謝っておこう

⏰:09/12/19 22:08 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#72 [ゆきな]
「じゃあこれで前に、ルナが手伝ってくれた分ちゃらなー」

そう言ってレイは飛び去った
『私が手伝った分の方が多いっつーの』

まっいいけどさ

⏰:09/12/19 22:14 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#73 [ゆきな]



夜の風が私にあたる



うん、今日は何だかいい日だった



そう思った。

⏰:09/12/19 22:16 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#74 [ゆきな]



私達に暖かさなどない

あるのは小さな希望と

大きな恐怖なのだ


⏰:09/12/19 22:18 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#75 [ゆきな]
「ルナ!昨日何処にいたのよ」

私の首を掴んでいる人物は、もちろんカナ

『ごめん。やぼ用でさ』

「ったく探したんだから」

手の力が緩んで私は解放された。ふう…危うく絞め殺されるとこだった。

⏰:09/12/19 23:21 📱:SH001 🆔:qLLNxuEY


#76 [ゆきな]
「はい、」
差し出された報告書の量は…冗談だと思いたい

『ま…まぢで?』

「当たり前でしょ。昨日どっか行ってたんだから、皆の倍働いてもらわないと」

⏰:09/12/20 07:02 📱:SH001 🆔:6W.ALiBI


#77 [ゆきな]
『えー…』

「何?文句なんてないよねー?」

カナは笑ってるように見えるけど…この顔は確実に怒ってる

『…全然文句ないです』

「だよね。じゃ頑張ってー」

ヒラヒラと手を降る。
それにしても…
『重い』

まるで岩を抱えて飛んでるみたい。いや、言い過ぎたかも。

…そうだ。“クラス全員のノートを先生に届けるように頼まれた学級委員長”って感じ。

⏰:09/12/20 14:59 📱:SH001 🆔:6W.ALiBI


#78 [ゆきな]
これ、時間かかるよね…。

まぁ自業自得だからしょうがないか

⏰:09/12/21 19:21 📱:SH001 🆔:6CygZfho


#79 [ゆきな]
しかたなく“ノート”を持って飛び立つ

仕事はいつもよりピリピリしていた。っていっても私の気分がなんだけど。

⏰:09/12/22 10:29 📱:SH001 🆔:qkIx.WIA


#80 [ゆきな]
『ふー…』

ようやく半分の報告書を配り終えた。あー手が痺れる。残っている半分を見てまたため息が漏れる。


「ルナーまだ終わってないのかよ」

上を見ると手をブラブラとさせてこっちを見るレイの姿。自分が終わったからって…ムカつく。

⏰:09/12/24 16:23 📱:SH001 🆔:uu6v.IAI


#81 [ゆきな]
『そんなとこいないで手伝って』

「昨日手伝ったっつーの。」

『お願い!せめて20枚ぐらい…「嫌」

「まっ頑張れよなー」

飛び立つ後ろ姿は憎たらしい。今からどうせ昼寝するくせに。っていっても今はこの世界は午後4時。

何て言うんだろ…夕寝?

⏰:09/12/24 17:16 📱:SH001 🆔:uu6v.IAI


#82 [ゆきな]
もういいや。
レイなんてほっといてさっさと残りを片付けよう。

⏰:09/12/26 10:24 📱:SH001 🆔:jg2xlS6Y


#83 [ゆきな]






……………



……………
『づがれだー!!』

誰もいない空に向かって大声で叫ぶ。私の腕は石みたいにぶらさかっている。今は夜の11時。あれからずっと飛びっぱなしだった。

⏰:09/12/26 22:05 📱:SH001 🆔:jg2xlS6Y


#84 [ゆきな]
こんな時間に地上に寝転んでいる死神なんてそうそういないと思う。私以外にだけど。でも中々悪くないなーこんなのも。



『そういえば少年どうしてるかな…』

今日は会っていない。というか二回しか会った事ないんだけど。
もうあそこにはいないよね…。


………行ってみよう

⏰:09/12/27 16:50 📱:SH001 🆔:VmX3Tw/g


#85 [ゆきな]
意外と私が寝転んでいた場所からあの河原までは近かった。

『うわー…真っ暗』
昼とは全然

⏰:09/12/27 17:11 📱:SH001 🆔:VmX3Tw/g


#86 [ゆきな]
[すいませんソ途中で投稿してしまいました汨アきから書きます

⏰:09/12/27 17:13 📱:SH001 🆔:VmX3Tw/g


#87 [ゆきな]
違う。少し憂鬱な気分になった。

その気分を紛らわそうと辺りを見ても、少年の姿はない。まぁ当たり前か……。こんな時間に普通河原に来ないよね。

⏰:09/12/27 17:17 📱:SH001 🆔:VmX3Tw/g


#88 [ゆきな]
うん…むしろ来てたら…変な人か、ただの馬鹿だよね。


あーあ…でもつまんない。私一人でここにいるなら、変な人でも馬鹿でも来てほしいかも。

ベンチに座って前と同じように川を眺めてみる。昼はあまり流れる音が聞こえないけど、(私が気にしてないだけかもしれないが)こうやって誰もいなかったらすごく鮮明に聞こえる。

⏰:09/12/28 12:19 📱:SH001 🆔:S1hDUWBs


#89 [ゆきな]
ふと下を見ると、ぐしゃぐしゃにされた紙が目に入った。

『ポイ捨てか…』
全く…こんな綺麗な河原で捨てるなんて、一体どんな奴なんだろ。

広い上げて近くにあったごみ箱に投げ入れた。

…つもりだったのに虚しくも紙は跳ね返って返って来た。
『う…うざい…』

どうしてこんなに綺麗に跳ね返ってくるのよ。

⏰:09/12/28 12:59 📱:SH001 🆔:S1hDUWBs


#90 [ゆきな]
『よしっ』
もう一度挑戦しようと紙を拾いあげると、ぐしゃぐしゃの中から見えるある言葉が目に入った

“雪矢”

⏰:09/12/28 14:55 📱:SH001 🆔:S1hDUWBs


#91 [ゆきな]
『これって…』

少年の名前だ。何で?
な…中身って見ていいのかな…。

いや、これは悪魔で個人情報だから見ちゃだめかも。

⏰:09/12/29 22:48 📱:SH001 🆔:7xPIaz8I


#92 [ゆきな]
うん。見ずに捨てよう。













や…やっぱりちょっと見たい…。

…こんな所に捨ててるのが駄目なんだよ。

『ごめんね。見ますっ!』
誰もいない中で自分の声だけが響いた。

⏰:09/12/30 10:24 📱:SH001 🆔:F/ixHsvk


#93 [ゆきな]
くしゃくしゃの紙をそっと開く。

“名もない誰かさん”

という文字と、書きかけの絵だった。

⏰:09/12/30 13:20 📱:SH001 🆔:F/ixHsvk


#94 [ゆきな]
何の絵なんだろう…
絵は9割未完成で、顔の輪郭と髪しか書いていない。
その右下に私が見た少年の名前があった。
てことは…この絵は少年が書いたんだよね。

⏰:09/12/30 15:26 📱:SH001 🆔:F/ixHsvk


#95 [ゆきな]
『ぎゃっ!!!』



突然奪われた紙
ばっと後ろを振り向くと、マフラーで口元がうまっている少年の姿があった。

軽く放心状態の私。だって、何でここにいるの。
思っていることが口から出ないほど驚いていた。


「何て顔してんだよ」

⏰:09/12/30 23:15 📱:SH001 🆔:F/ixHsvk


#96 [ゆきな]
『え…だって少年…てか紙……』

いや、それより

『それより何でいんの…。』

ダウンのポケット手を入れて横にドカッと座る。よく見ると鼻が少し赤い。
「いちゃ悪いか」

⏰:09/12/30 23:18 📱:SH001 🆔:F/ixHsvk


#97 [ゆきな]
『悪くはないけど…今何時?』

「夜」

当たり前だろというように答える少年。いや…夜ってことは私でも、というか誰でも分かると思う。この人どっか抜けてるんじゃないかな…。うん、多分そう。

⏰:10/01/03 11:01 📱:SH001 🆔:gmL6cERc


#98 [ゆきな]
『君…馬鹿だね』


「え?」
“何がだよ”と目が言っている。本当に分からないのか…


『まぁいいや』

⏰:10/01/05 12:06 📱:SH001 🆔:j5mvGZAg


#99 [ゆきな]
『あっ!それより紙返して』
危ない危ない…忘れるところだった。

少年に向かって手のひらを出しても、全く反応はない。

『早く』

「お前のじゃないだろ」


う…それはそうなんだけど…

⏰:10/01/05 12:13 📱:SH001 🆔:j5mvGZAg


#100 [ゆきな]
「もう捨てたしな」

『え!』

「…」


『嘘でしょ』
よく考えれば取られたのは見たけど、捨てたのは確実に見ていない。


「さぁな」

⏰:10/01/05 21:08 📱:SH001 🆔:j5mvGZAg


#101 [ゆきな]
はぁ…こうやってはぐらかされるのにもちょっと慣れてきた。
ん…もしかして少年はここにあの紙取りに来たのかな?だって真っ先に紙奪ったし…。絶対そうだ!でも捨ててあったのにな…うーん

「さっきから何考えてんだ」

『いや…何で紙捨てたのに取りに来たのかなーと思って』

⏰:10/01/06 20:38 📱:SH001 🆔:x6821XkI


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