こちら満腹堂【BL】
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#180 [ひとり]
「そうですか」

「うん」


その時、時計の針はちょうど夕方の四時を指していて、確かに後から来るんだろうと俺は納得して、宴の輪に加わった。




それから五時になり──六時───七時───八時────


来ない。

⏰:09/12/20 22:50 📱:F01B 🆔:rtGpV4jQ


#181 [ひとり]
「アイツ何やってんだ?」

流石に皆が三田さんの不在を気にしだした。

「ちょっと誰か連絡してみたの?」

ノジコさんが言うと

「電話しても出ないんだよ」

と弘さんが答えた。

⏰:09/12/20 23:23 📱:F01B 🆔:rtGpV4jQ


#182 [ひとり]
「まったく何やってんだよアイツ」

何時もながら男勝りな口振りのノジコさん。

「あ、酒ねぇ・・・」

今の本題は三田さんの不在であって、まったく関係ない事なんだが、もう数時間前から出来上がっている滝さんは気にする風もなく思ったままを言う。

「ねぇ、酒ないんだけど」

横に座っていた俺の頬をグイグイと人差し指で押してくる。

⏰:09/12/20 23:31 📱:F01B 🆔:rtGpV4jQ


#183 [ひとり]
「根岸ー酒たんねぇー」

これは完全な悪酔いだ。今日の年越しという一大イベントに浮き足立って、開放的になりすぎているらしい。


「はいはい、分かりましたから」

俺は滝さんをなだめすかして

「ちょっと酒買ってきます」

と腰を上げた。

⏰:09/12/20 23:48 📱:F01B 🆔:rtGpV4jQ


#184 [ひとり]
津久井が「俺も行こうか」と声をかけてくれたが、そこはやんわりと断って、一人寒空の下へ。

東京の空は狭い。

31日のこんな時間までやってる店なんてデカいスーパーかコンビニくらいで、いつも行き着けの倉本(個人経営の酒屋だ)は蟻一匹の侵入たりとも許さないといった感じにシャッターをぴったり下げきっている。

⏰:09/12/21 18:39 📱:F01B 🆔:Sipkur5Y


#185 [ひとり]
そうなるとやはり国道を挟んだ向こう側のコンビニまで行くしかない。

俺はマフラーを持ってこなかった事を遅蒔きながら後悔した。


国道沿いにでると思いの外車が走っていて、向こう側へ行くために昇った歩道橋から見下ろしたそれらのテールランプが、時期外れのイルミネーションみたいだった。


もうクリスマスは終わったんだよ。

そのままじっと観察していると、だんだんと行列する虫の目玉みたいにも、血管をながれる赤血球みたいにも見えてきた。

⏰:09/12/21 18:46 📱:F01B 🆔:Sipkur5Y


#186 [ひとり]
「なんか、気持ち悪り・・・」

どうやら軽く酔ったようだ。視線を下から上へ。さっき長谷部さんちのそばで見上げた時より、空が近い。


あの人、どこで何やってんだろ──


bbb・・・・bbb・・・・

⏰:09/12/21 18:51 📱:F01B 🆔:Sipkur5Y


#187 [ひとり]
寒さを凌ぐため上着のポケットに突っ込んでいた右手に携帯のバイブが当たった。

大方滝さん辺りが酒の催促か、ついでにつまみも買ってこいかのメールでもよこしたんだろう。

緩い動作でポケットから携帯を引き抜き折りたたみ式の携帯を開く。ディスプレイ画面にはメールの着信が一件。

⏰:09/12/21 19:22 📱:F01B 🆔:Sipkur5Y


#188 [ひとり]
受信ボックスに入った状態で俺は一瞬固まった。




from 三田さん
Re:根岸よ、
─────────

家来て


────end─────


⏰:09/12/21 19:26 📱:F01B 🆔:Sipkur5Y


#189 [ひとり]
【休憩】

今晩は、ひとりです。

第十話も完結。クリスマスとかイベント性がもりもりな行事は完全スルーで年越しのお話をお送りしました。そして次話に続きます。

ちょっと補足しますと、滝と長谷部は、弘や三田と同高です。して弘、滝、長谷部はタメです。三田だけが学年違います。え、どうでもいい?んなこと言わないで下さいな〜´∀`誰

⏰:09/12/21 19:32 📱:F01B 🆔:Sipkur5Y


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