こちら満腹堂【BL】
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#236 [ひとり]
身体が弱ってたからとか、あの時は無意識だったからとか、そんなんは言い訳にしかならない。俺は俺の都合で根岸の気持ちを利用して、その上否定したんだから。
自分で自分に吐き気がする。最低だ。
もう嫌われて、口聞いてくんねぇかもしんないけど。やっぱここは一回ちゃんと謝っとかないと、俺の気が済まない。
「って結局また自分かよ」
自分本位な考えしかできないなんて、つくずくうんざりしてしまう。
「とにかく明後日・・・」
コタツの中、テーブルの上に顎を載せて、一月のシフトが書かれた用紙に目を走らせる。『根岸』の欄、六日の枠内には『遅』と印刷されていた。
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:09/12/27 21:32 :F01B :Hmc8sEFw
#237 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
十三話完結致しました。反省する三田でしたね、うん。悪いことは悪いって認められる人は、人間としての伸びしろがまだあるんだって先生思うよ!!!!アレ?こんな台詞前にどっかで聞いたような・・・・・(゚ω゚)←
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:09/12/27 21:41 :F01B :Hmc8sEFw
#238 [ひとり]
【第十四話/すいません、お絞りもう一つ下さいって言う女子は世話好き】
一月六日。今年初出勤の満腹堂に到着したのは午後四時半過ぎ。早番のスタッフと新年の挨拶を交わす。
「あけおめことよろー」
こんな程度の軽い感じで。その中には三田さんもいて、俺はなるべくそっちを見ないように意識した。
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:09/12/28 15:52 :F01B :rkwSdkYA
#239 [ひとり]
気持ちを否定されてショックだった。でも間が空いて冷静になれた・・・・・気でいた。なのに
「やっぱうぜ」
可愛さ余ってなんとやら。視界の隅にチラつく三田さんに苛立つ。その事で、思ってる以上に自分が傷ついてるんだと知らされた。
「俺ってナイーブ」
「何ブツクサ言って、気味悪いよ」
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:09/12/28 15:52 :F01B :rkwSdkYA
#240 [ひとり]
振り返ると、俺と同じ遅番出勤の津久井がいた。
「あけおめ」
「おめ」
気心の知れてる者同士であればある程、形式ばった挨拶は照れ臭い。
「で、なに根岸って独り言キャラだっけか?」
「いやまぁ、色々とあったんだわ」
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:09/12/28 15:53 :F01B :rkwSdkYA
#241 [ひとり]
「例のあの子?」
「まぁ」
「まだ避けられてんの?」
「いや、逆」
「逆って・・避けてんの?」
「うん」
「『うん』って、何やってんの君達は」
「何やってんだろうね」
「俺が聞いてるんだけど」
「自分でもよくわかんね」
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:09/12/28 15:53 :F01B :rkwSdkYA
#242 [ひとり]
「返事まだ貰ってないってこと?」
「貰うもなにも、否定されたし」
「・・・・・何それ」
「俺が酔って言った冗談だって、なかった事みたいにされてた」
「うわ〜・・・んでどしたん」
「んなのもっ回告るに決まってんじゃん」
「なのにまた答えは貰えなかったのかよ」
「うん、俺逃げたしね」
「はぁ?」
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:09/12/28 15:54 :F01B :rkwSdkYA
#243 [ひとり]
「だってムカつくじゃん、せっかく勇気だして告ったのに、その気持ち否定されるとか」
「一応聞くけどさ、二回目ん時何て告ったん?」
「カッとなってよく覚えてないけど、好きだっつってんだろ的な・・・・あ、あとムカつくとか・・うぜぇって言ったかも」
それを聞いて津久井は顔をしかめた。
「最悪・・・・それ告ったんじゃなくて怒ったんじゃん」
「怒らせたのはあっちだし」
「同じ事だよ」
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:09/12/28 15:55 :F01B :rkwSdkYA
#244 [ひとり]
「・・・・・・・」
そのまま中途半端に会話が途切れたロッカールームは静まりかえる。俺と津久井が立てる、布の擦れる音だけ。
着替えが済んだ俺が先に出ようとすると、まだボタンを留めてる途中の津久井が口を開いた。
「とにかくさ、いい加減楽になったら?」
「・・ありがと」
「おう」
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:09/12/28 15:55 :F01B :rkwSdkYA
#245 [ひとり]
そうだ、いい加減楽になりたい。否定する程ありえないってんなら、それはもう絶望的なんだろうが、それでも俺は三田さんの口からちゃんと聞きたいんだ。ちゃんと、振ってほしい。
俺は決心して、厨房で寸胴を掻き回す三田さんの背中に話しかけた。
「三田さん」
「ん?うおっっっ!!!!びっくしたぁー!!!!」
振り向いた先にあったのが俺の顔だったのがいけないらしい。
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:09/12/28 16:02 :F01B :rkwSdkYA
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