こちら満腹堂【BL】
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#272 [ひとり]
「そりゃまだ人間がサルだった頃から・・」
「その頃は残念だけどまだコタツも家もなかったと思いますよ」
「バッ、おっま何もわかってねぇのな、彼らには地球とゆう星そのものが大きな"我が家"だったんだ!」
「そういう話してるんじゃないから今」
「とにかく、そんくらいセオリーって意味さ」
「・・で、家って長谷部さんちでやるんですか?」
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:10/01/01 22:41 :F01B :C52atI8E
#273 [ひとり]
「いや、お前んちかうちんち」
「あ、・・・・そう」
「うん」
何てことだろう。これってもしや巷で言うところの"おうちデート"じゃなかろうか。
「で、どっちでやる?」
「どっちでもいいけど、材料何もないですよ」
「心配すんな、うちに田舎のばぁちゃんから山ほど野菜届いたんだ」
「あぁ、それで」
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:10/01/01 22:41 :F01B :C52atI8E
#274 [ひとり]
なんだ、俺の勘違いかよ。つまりおうちデートじゃなくて、処理班て事か。
「うん、ばぁちゃんの野菜うまいから、根岸にも食わせてやろうと思って」
「・・したら三田さんちのほがいいんじゃないですか」
「そうな、うん、したら俺んちで」
言って三田さんは仕事に戻って行った。
三田さんが使うのはいつも反則技ばかりだ。期待させて落として、結局また期待させられて浮かれてる俺。まいったね。
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:10/01/01 22:42 :F01B :C52atI8E
#275 [ひとり]
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「お疲れしたー」
「お疲れー」
今日は皆一斉に店じまい。弘さんがシャッターを下ろし鍵を閉めるのを待つ。
「うし、で、皆今日どうするんだ?」
閉めたシャッターをチェックしながら弘さんが言った。
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:10/01/01 22:42 :F01B :C52atI8E
#276 [ひとり]
「津久井は?」
「俺明日一限から入ってるんで」
「俺暇よ」
「あたしも」
「じゃ俺んち?」
「そうするかー根岸は?」
「いや、俺はちょっと」
「そかぁー三田、お前は来るべ?」
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:10/01/01 22:43 :F01B :C52atI8E
#277 [ひとり]
弘さんに問い掛けられて、三田さんは一瞬チラッと俺を見た。それから
「今日なんか調子悪りぃから帰るわ」
「また風邪かよ?」
「わかんね、だと不味いからさ」
「だな、んじゃ俺達だけで行きますか」
「あ、俺も途中まで」
そうして弘さん、滝さん、長谷部さん、ノジコさん、それに津久井は、駅の方向に向かって歩き出した。
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:10/01/01 22:45 :F01B :C52atI8E
#278 [ひとり]
その後ろ姿が豆粒大になるまで二人で見送ってから
「嘘つきめ」
「そりゃそっちでしょ、いつ具合悪くなったんです」
「うるせー、行くぞ」
駅とは反対の方向に向けて歩き出した。
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:10/01/01 22:49 :F01B :C52atI8E
#279 [ひとり]
三月。暦の上では春かもしれないが、まだまだ俄然寒く、防寒対策が欠かせない。
「俺んちにお前が来るのってさ、チャーハン時以来だよな」
すっかりお馴染みになったポジション。自転車を挟んで右に三田さん、左に俺。
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:10/01/01 23:01 :F01B :C52atI8E
#280 [ひとり]
「そうでしたかね」
「『そうでしたかね』っておま、白々しいー」
「だって俺的にはチャーハンより告った事のが印象強くて」
「・・あぁ、まぁ、そうね」
横目で盗み観ると、三田さんは視線を宙に泳がせながら、顎髭を指腹でジョリジョリしていた。
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:10/01/01 23:12 :F01B :C52atI8E
#281 [ひとり]
この横からのアングル、俺的にかなりベストアングルだったりする。何がいいって、鼻の角度がいい。上向き過ぎず下向き過ぎない、程よい傾斜。本人は脂取り紙三枚半はかたいという自称ギッシュな鼻であるが、こうして見る限りそこまでとは思えない。
惚れた弱みか、未だ冬を主張するこの冷え切った夜気のせいか。男相手にこんな表現は似つかわしくないかもしれないが、横顔の三田さんは綺麗だ。
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:10/01/02 00:23 :F01B :Kzhnaq.I
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