こちら満腹堂【BL】
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#300 [ひとり]
そんで今日、根岸がうちに来た。男同士、何に気を遣う事もなく、ただ鍋をつついて、テレビを観て、合間にチョコチョコと下らない話をする。
無口でもないが、おしゃべりでもない根岸。俺の話しに笑ったりツッコんだりする根岸。鍋の灰汁を掬ったり、具を皿によそう根岸。酒を美味そうに飲む根岸。
根岸といるのは、楽だ。
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:10/01/03 19:42 :F01B :dtBpp/ps
#301 [ひとり]
うん、楽。まぁたまに心臓に悪い発言が飛び出る事もあるけど。さっき、うちに来る途中、いきなり『可愛いね』とか言いやがった時は本当に軽いパニックだった。何がパニックかって、真顔でんな事ぬかす根岸に対してもだが、それより何より、言われて悪い気がしなかった自分にパニックだ。
───それから飲んで食って気付けば深夜二時。どうせこの時間じゃ泊まってくんだろうと、二人分のビールのプルトップを開けたところで、根岸が言った。
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#302 [ひとり]
「したら俺、そろそろ帰りますね」
「え?」
寝耳に水だった。
「ほら、もう二時だし、明日もあるし」
明日があるって言ったって、二人して遅番じゃん。だったら
「泊まりゃいいのに」
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:10/01/03 19:43 :F01B :dtBpp/ps
#303 [ひとり]
「いや、酒の勢いで何かやらかしたら三田さんに悪いんで、今日は」
ダウンに袖を通しながら言う根岸はもう帰る気満々だ。確かに何かされても困るんだけど・・・なんだよ、
「・・・・・・そっか」
俺は玄関先まで見送りに出た。
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#304 [ひとり]
靴を履く根岸の背中をぼんやり見つめながら、ついさっき二缶も開けてしまったビールをどうしようかと考えた。
靴紐を結び終えた根岸がこちらに向き直って『じゃあ』と片手を挙げたので、俺もつられて『じゃ』と片手を挙げた。
「「・・・・・・・・」」
何だよ、この沈黙。送り出す俺が先に何か言うべきなのか。
「・・おじゃましました」
考えているうちに、先手を打ったのは根岸。
「うん、また来い」
俺はそう返すしかない。
「はい」
言ってさっさと出て行ってしまった。なんだよ。
ガチャ──
鍵の音がやけにデカく聞こえる。俺、何がしたいんだろ。てか、あいつにどうしてほしかったんだろ。
なんだ、胸がざわつく
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:10/01/03 19:44 :F01B :dtBpp/ps
#305 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
第十五話十六話完結いたしましたぁ\(∀)/
てか十五話で休憩入れんの忘れてた(・∀`)テヘッ
また気分で三田目線してみました。チョコチョコ変わって読みにくかったらごめんなさい。三田の気持ちに微妙な変化が。どうなりますやら、乞うご期待☆
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:10/01/03 19:49 :F01B :dtBpp/ps
#306 [ひとり]
【第十七話/ちょ、いびき!?お客様ぁぁぁ!!!】
ちょっと前まで頻繁だった根岸との飲みの回数が減ったのには理由があった。
「四卓様お会計でーす」
「お待たせ致しましたぁーこちら熱いのでお気をつけ下さい」
「オーダーお願いしまーす」
「二卓様だし巻きお待ちー」
騒がしい店内。客の入りはピークだ。
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:10/01/04 09:12 :F01B :5D9948e6
#307 [ひとり]
次々に出る料理と、同じ数下げられてくる空の皿。
それをさばきながらも頭の中ではもんもんとした気持ちを整理しようと必死だ。
あぁ、チクショウ。
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#308 [ひとり]
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「根岸、今日暇?」
裏口のベンチで一服しているところを発見して声をかけた。
「あ、三田さん、はざす」
「はよ、で、今日暇かよ?」
聞くと根岸は手にしていた携帯をパタンと畳んで言った。
「すんません、今日先約があるんです」
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:10/01/04 09:13 :F01B :5D9948e6
#309 [ひとり]
「そか、わぁった」
「すんません」
「いいって」
その時はそれだけで終わった。別にまた声かけりゃいいし、先約なら仕方ないと思ったから。
でも──
「根岸ー今日さ」
「あ、すんません今日もちょっと」
*****
「おいこれから・・」
「もう帰らないといけないんで」
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「根ぎ・・」
「お疲れしたー」
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