こちら満腹堂【BL】
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#306 [ひとり]
【第十七話/ちょ、いびき!?お客様ぁぁぁ!!!】
ちょっと前まで頻繁だった根岸との飲みの回数が減ったのには理由があった。
「四卓様お会計でーす」
「お待たせ致しましたぁーこちら熱いのでお気をつけ下さい」
「オーダーお願いしまーす」
「二卓様だし巻きお待ちー」
騒がしい店内。客の入りはピークだ。
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#307 [ひとり]
次々に出る料理と、同じ数下げられてくる空の皿。
それをさばきながらも頭の中ではもんもんとした気持ちを整理しようと必死だ。
あぁ、チクショウ。
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#308 [ひとり]
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「根岸、今日暇?」
裏口のベンチで一服しているところを発見して声をかけた。
「あ、三田さん、はざす」
「はよ、で、今日暇かよ?」
聞くと根岸は手にしていた携帯をパタンと畳んで言った。
「すんません、今日先約があるんです」
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:10/01/04 09:13 :F01B :5D9948e6
#309 [ひとり]
「そか、わぁった」
「すんません」
「いいって」
その時はそれだけで終わった。別にまた声かけりゃいいし、先約なら仕方ないと思ったから。
でも──
「根岸ー今日さ」
「あ、すんません今日もちょっと」
*****
「おいこれから・・」
「もう帰らないといけないんで」
*****
「根ぎ・・」
「お疲れしたー」
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#310 [ひとり]
いくら寛大な俺だって、流石に三度も連続で断られたら腹も立つ。つぅか腹が立つ。何様だ、あの野郎。
それから暫くは飲みに誘うこともしなかった。そうすりゃまた例の『あれ?』みたいな視線でチラ見してくんだろどうせ?わかってんだよ。くらいに高をくくって。
ところが。
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:10/01/04 09:14 :F01B :5D9948e6
#311 [ひとり]
来る日も来る日も根岸は仕事が終わると早々に身支度を済ませ、店を後にした。
何かがおかしい。
そしてその何かを、俺はついさっき目撃したんだ。
シフトが早番だった俺は、ランチのメニューのかかれたブラックボードを中に仕舞おうと店の入り口に出ていた。
「よっこいせ」
言ってやや腰をかがめたその時──
「ゆうちゃん、聞いてる?」
すこし張った可愛らしい声がして、何気なく中途半端な体制のまま視線を向ける。何だあれ。
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:10/01/04 09:14 :F01B :5D9948e6
#312 [ひとり]
再生停止した画面のようにピタリと止まった動き。俺の視線の先には声の通りの可愛らしい女の子と
「根岸・・・?」
こちらに向かってくる遅番の根岸。
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:10/01/04 13:57 :F01B :5D9948e6
#313 [ひとり]
俺は持ち上げかけていたブラックボードを下に置き直し、咄嗟にその陰に隠れた。
って何やってんだ俺。別に隠れる必要なんてないのに。もう一度陰から顔半分出してみる。いた。遠目で何喋ってっかはわかんねぇけど、ありゃ百パー根岸だ。
てか、腕・・・
「組んでるし」
全身白っぽい服で完全武装した女の子が、根岸の腕に自分の腕を絡めていた。うっわぁ〜・・・
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:10/01/04 13:58 :F01B :5D9948e6
#314 [ひとり]
つまり
「そゆことね」
彼女ができたか。
「なるほど」
納得している間にも、根岸と女の子は着実に店に近付いていた。今物陰からニュッと出て行くのも気不味い。
俺は咄嗟にしゃがんだ体制のまま、店の中まで戻るという妙案を思い付いた。
うっ、この体制結構腰にくんな・・・
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:10/01/04 13:59 :F01B :5D9948e6
#315 [ひとり]
キツいながらもなんとか無事戻れた店の中
「お前何してんの?」
顔を上げるとひろむがいた。
「何その格好、新しい遊び?」
俺のウンチングスタイル歩行法(と、名付けよう)を見たひろむは、怪訝な顔で言う。
「違げぇよ!"家政婦は見た"んだよ!!!!」
怒鳴りながら立ち上がる。あ、やっぱ腰痛って。
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:10/01/04 14:00 :F01B :5D9948e6
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