こちら満腹堂【BL】
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#397 [ひとり]
それをすんなり手のひらを返したもんだから、『マヂ』と『本気』が同義だって区別もつかないくらいに喜んでくいついてきた。
かかった!!!!
俺は糸が引いたその瞬間を見逃さず、素早くリールを巻いた・・・・ってのはものの例えで
「だから今は帰ってろ」
とすかさず要求したんだ。
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:10/01/12 21:10 :F01B :sF.a5tXc
#398 [ひとり]
「えーいいけど今から一人で何すんの?」
「一人?」
おいおい何言ってんだよ。一人な訳ないだろ俺は今から三田さんに・・・
いない。
「あの横にいた人なら帰ったよ」
「帰った!?!?」
「うん、ダッシュで」
「ダッ・・・・」
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:10/01/12 21:11 :F01B :sF.a5tXc
#399 [ひとり]
畜生。またかよ。
「大人のダッシュってなんかウケ・・てちょっとゆうちゃん!!??」
俺は店の脇に止めていたチャリに反射的に跨ると、乱暴にそれを漕いで三田さんの後を追った。
アキがなんか叫んでる声が少し遠くに聞こえたけど、今はそれどころじゃないんだ。
なりふり構わず立ち漕ぎ。
風のビュッビュッと切れる音を、断続的に聞きながら。
早く
早く
早く
頭の中で
何度も何度も繰り返した。
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:10/01/12 21:12 :F01B :sF.a5tXc
#400 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
いよいよ!!!!ってところでアキ登場(`∀´)
またも三田は逃げました。しかもダッシュで。
追う根岸逃げる三田。そして置いてきぼりのアキ。なんかもう、皆、ドンマイだよ!!!!は
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:10/01/12 21:43 :F01B :sF.a5tXc
#401 [ひとり]
【第二十三話/エイヒレは長くしゃぶったもん勝ち】
ハァ──ハァ──ハァ──
「どんだけ足速いんだよ」
慣れない立ち漕ぎに上がった息で呟いた。いっても相手は生身でこっちはチャリだ。全力で漕げばすぐに追い付くだろうと践んでいたのに。
「見つけた」
煙草ばっかぱかぱか吸って体力なさげな三田さんは、予想以上の健闘を見せて。その後ろ姿を視界に捉えることができた頃には、こっちの体力が尽きかけていた。
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:10/01/14 01:17 :F01B :eoTDsMHM
#402 [ひとり]
煙草ばっか吸ってるのは三田さんばかりじゃないって事か。
『もうここまで来れば─』とでも思ったのだろう。呑気にテクテク歩くその後ろ姿に向けて、俺はラストスパートをかけた。
「三田さん!」
あぁ、漕ぎながら大声出すと脇腹が痛い。
呼び掛けに振り向いた三田さんは俺の姿を認めると、口が『げ!!』という形に動いた。
『げ』じゃねんだよもう逃がさねぇぞ。
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:10/01/14 01:19 :F01B :eoTDsMHM
#403 [ひとり]
ところが三田さんも粘り強いというか往生際が悪いというか・・
「あ、ちょっと!!!!」
今まで通って来たやや幅の広い道から、前動作もなくいきなり横道に入った。しかもまたダッシュで。
なんなんだあの人は。
昔はやんちゃしてましたとか言いながら、実は真面目な陸上部員だったんじゃないかと疑ってしまう。
もちろん自分も後を追うべくすぐその脇道に入ろうとした。したのだが。
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:10/01/14 01:22 :F01B :eoTDsMHM
#404 [ひとり]
「うおっ!!!」
咄嗟にかけたブレーキで直撃は避けたけど。
「っぶねー。」
前輪からやや強い衝撃が、ハンドルを握る両手を始めとして全身に伝わってくる。三田さんが何の考えもなしに飛び込んだと思ったそこには"自転車・バイク進入禁止"と掛かれたポールが、道のど真ん中に鎮座していたのだ。
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:10/01/14 01:24 :F01B :eoTDsMHM
#405 [ひとり]
「あぁ!!もう!!!!」
俺はヤケクソ気味に自転車をその場に捨て置いて、ポールを飛び越え三田さんの後を追った。
そこは細く長く、道と呼ぶにはあまりにお粗末で、民家と民家の間に辛うじてできた"隙間"と言ったほうが正しいような、碌に舗装もされていない道だった。
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:10/01/14 01:28 :F01B :eoTDsMHM
#406 [ひとり]
塀に囲まれて日の当たらないそこは所々ぬかるんでいる。足を捕られながらそれでも俺は、前へ前へと足を動かした。
随分長い。
ひたすら続く一本道に、このままどこまで続くのだろうと思った矢先。俺の視界の真ん中に、白っぽい点が現れた。
出口だ。
おそらくあの白いものは街灯の光。その点めがけて走った結果。やはり新しい道にでた。
ちゃんと街灯で照らされて、舗装された道らしい道。
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:10/01/14 01:36 :F01B :eoTDsMHM
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