こちら満腹堂【BL】
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#415 [ひとり]
今まで通ったこともないような場所を道から道へ。右へ左へ。
多分三田さん、俺をまくために自分でもわからないで滅茶苦茶に走ってるんだと思う。
にしても速いな。なんなんだよその脚力は。
少しでも気を抜けば、見失ってしまうだろう。
「三田さ・・・・待って!!!!」
「待たない!!!!」
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:10/01/14 21:17 :F01B :eoTDsMHM
#416 [ひとり]
「ちょ・・・マヂで・・・話聞けって!!!!」
「タメ口きくな!!!」
距離を詰められず、一定距離を保ったまま走り続ける。
「お願いだから!!!!」
「来るな!!!!」
クソっ脇腹痛ってぇ。
「逃げんな三田コラァ!!!!」
「テッメ・・・!!呼び捨てしてんじゃねぇ!!殴られてぇのかコラァ!!!!」
大声上げながら全力疾走する俺達は、きっと端から見たら異様な二人なんだと思う。
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:10/01/14 21:18 :F01B :eoTDsMHM
#417 [ひとり]
「上等だ・・こいよ三田ぁぁあ!!!!」
売り言葉に買い言葉。
すると三田さんはピタッと足を止め瞬間こちらに振り向いた。
「え?」
まさか止まるなんて思ってなかったから。"車は急に止まれない"。"根岸も急には止まれない"。勢いのついている俺は、立ち止まった三田さん目掛けてグングン距離を縮めた。そして遂に───
「ぐっ───!!!!?」
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:10/01/14 21:19 :F01B :eoTDsMHM
#418 [ひとり]
浮遊感。
スローモーションで展開する視界。
脳みそを直接掴まれて揺さぶられたような衝撃。
あ、俺殴られた。
それに気付いた時、俺の体は冷たいコンクリの道路と仲良しになっていた。
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:10/01/14 21:19 :F01B :eoTDsMHM
#419 [ひとり]
それから遅れて、左頬にぐっと熱が集まるのを感じた。
うわぁ〜口ん中絶対切れてるってコレ。
横っ飛びに倒れ込んだ地面に唾を吐けば、予想通り。街灯の光を受けた唾液に混ざって、赤いものが目について。
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:10/01/14 21:53 :F01B :eoTDsMHM
#420 [ひとり]
カッとなった俺はゆっくり立ち上がると、対峙した三田さんの右頬へ、めり込む程のパンチを見舞った。
ゴッ
骨と骨のぶつかり合う音。
「っ──痛てぇだろコラ」
流石と言うか何というか。体格差からみたら俺が断然優位な筈なのに、三田さんは拳の衝撃をまともに喰らっておきながら、ぐらつくだけに留まった。
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:10/01/15 09:09 :F01B :ShyQlI2A
#421 [ひとり]
そして
「しつけんだって!」
ゴッ
また喰らわされた。三田さんの一発は重い。
だから俺も
「話し聞けっていってんだろ!!」
ゴッ
同じ箇所を続けざまに殴ったら、さっきよりやや応えたようだ。
「だから今更逃げた奴が調子いんだよ!」
ボッ
脇腹をいかれて、少しむせた。
「ゲホ・・いつ俺が逃げたんだ!」
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:10/01/15 09:10 :F01B :ShyQlI2A
#422 [ひとり]
ボッ
俺も正面からボディーに一発ぶち込んだ。
「ゴホッ、ゲホ・・お前さ」
痛みやり過ごすように中腰姿勢で両膝に手をついた三田さんは、真下に視線をやったまま言った。
「彼女できたんだろ?」
「は?」
いつ俺に彼女が?"明太にぎりだと思ったら中身がツナマヨだった"ってくらい予想外で、俺は構えていたガードを下ろした。
そこへ
「隠したってもう知ってんだよ!」
ゴッ
また一発。
油断したせいで、簡単によろけた俺は、尻餅ついて尾てい骨を強か打った。
・
:10/01/15 09:11 :F01B :ShyQlI2A
#423 [ひとり]
「っ───」
痛すぎて声がでない俺の腹の上に、乱暴な動作で馬乗りになった三田さん。
「お前が!!」
「好きだって!!」
「言った!!」
「くせに!!」
「やっぱ!!」
「女が!!」
「いいん!!」
「だろ!!」
言葉と言葉の間に飛んでくるパンチを、左右の頬にモロに喰らいながら、
やべぇ、殴り殺されるかも。
とかリアルに思った。
それから
三田さんになら、それもありかも。
とも思った。
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:10/01/15 21:54 :F01B :ShyQlI2A
#424 [ひとり]
それから
でもやっぱり殺されるんなら、その前にちゃんと伝えたいって、思い直して。
「好きだよ」
殴られながら言ったその台詞は酷く弱々しくて、不格好で、なんか薄っぺらに聞こえた。
それでも、それは三田さんの耳にも届いたようで。順番に振り下ろされていた両腕は、ぴたりと動きを止めたんだ。
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:10/01/15 21:55 :F01B :ShyQlI2A
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