こちら満腹堂【BL】
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#466 [ひとり]
去る間際、女の子の目が『マヂありえないって』と無言のメッセージを送ってきた。それは酷く白けきった表情で、でもいきすぎの上目遣いより何倍かましな顔に見えた。
てか、そんなん俺が言いたいさ。
「マヂありえないって・・・」
ボソッと零した一言は誰の耳にも届かずに、夜のネオンに吸い込まれた。
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:10/01/20 19:47 :F01B :LKvQxKtw
#467 [ひとり]
ひろむ達は俺を励ますためか、はたまた久々の風俗で浮き足立ってか、よし飲み直しだとか騒いでいる。
横一列に広がって肩を組む。もちろん俺も強制的に参加させられ、ひろむに肩をがっしり掴まれて逃げられない。
すれ違う人は皆他人に無関心そうで、幅をとって闊歩する俺達に特に迷惑がる様子もなく、前から後ろへ通過通過通過。
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:10/01/20 19:54 :F01B :LKvQxKtw
#468 [ひとり]
困ったことに母校の校歌をアカペラしだしたアホチントリオ。マヂでおやじくさいからやめて欲しい。
肩まで組まれて言い逃れなんてムリなんだろうけど、俺は関係なさげな顔で、歩き去る一人一人をぼんやり眺めていた。
こうしてすれ違うだけの人達にももちろんそれぞれの環境があって、立場があって、家族や恋人や仲間があって、悩みがあって。
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:10/01/20 19:59 :F01B :LKvQxKtw
#469 [ひとり]
でもそれはこうしてすれ違っただけじゃ当然わからないことだし、相手だって俺が事を成せなかったってゆう残念な事実も、俺のやるせなさもわかりっこない。
皆、どっから来て、どこに帰るんだろう。家に家族がまってるのかな。可愛いペットがいるのかな。それとも恋人がいて・・・・
根岸も今頃、彼女と同じ布団にくるまって、あのデカい手で頭とか撫でてるのかな。
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:10/01/20 20:06 :F01B :LKvQxKtw
#470 [ひとり]
あのちょっと見キツい目を緩ませて、見つめ合ったりしてるのかな。それから抱き合って・・・・
「ギャッ!!!!!」
「なんだよ三田、トカゲが潰れたみたいな声出して」
「トカゲって声でんの?」
「知んね、イメージだよ」
「ぐえ、想像しちゃった」
想像しちゃった。
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:10/01/20 20:12 :F01B :LKvQxKtw
#471 [ひとり]
俺の奇声からとかげが潰れた話しにシフトチェンジした三人は、楽しそうに話し続けている。
お陰で俺の異変に、誰も気づかなかったみたいで助かった。
って何よ俺の息子ぉぉぉお!!!!!ちょ、マヂこのタイミングなわけ?このタイミングで起立しちゃうわけ??どんなよそれぇぇぇえ!!!!
想定外だよ、ライブ〇゙アの社長もビックリの想定外っぷりだよ!!
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:10/01/20 20:40 :F01B :LKvQxKtw
#472 [ひとり]
気が動転した。
だってないだろ、さっき生の女の子と密室に二人っきりで、あんなにしてもらったのにうんともすんともなくて、
根岸と彼女のセ・・・セッ・・・・いや、まぁ、いいよ。
とにかくどうなってんだ俺の体は。何勃ちだよこれは。
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:10/01/20 20:48 :F01B :LKvQxKtw
#473 [ひとり]
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「ふっ」
「何吹き出してるんですか?」
殴り合って、抱き合って、キスをした。
チャリを挟んで、横に並んで歩く。俺達の間に、チェーンのチャカチャカゆうリズムが刻まれていく。
「あれは、そうゆう勃起かと思ってね」
「ぼ、は?」
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:10/01/20 20:54 :F01B :LKvQxKtw
#474 [ひとり]
根岸が近い。俺は気分がいい。
「いや、こっちの話し」
「気になるなぁ」
もうあと二時間もしないで、太陽が顔を出すだろう。このいい気分を持ち帰って、早く布団に潜り込みたい。
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:10/01/20 20:59 :F01B :LKvQxKtw
#475 [ひとり]
それから
「内緒」
「ケチ」
「うっせ」
「・・・・・・・うちで寝てく?」
「・・・・・・・うん」
それから、あの時の鈍感な自分に教えてやりたい。
「好きだからだよ」
「・・・え、なんて?」
「こっちの話し」
「なんですさっきから」
「内緒」
「ケチ」
「うっせ」
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:10/01/20 21:02 :F01B :LKvQxKtw
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