こちら満腹堂【BL】
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#526 [ひとり]
直感だった。三田さんが照れるような事なら、自分が関係あるんじゃないかなんて、とんだ自惚れだなと半分思いながらも。そしてその自惚れた直感は、どうも三田さんの確信をついていたようだ。
「・・・・・・・うるせ」
「耳真っ赤だけど」
「うっ・・・」
「白状しちゃいなよ」
「・・・ねぼ・・した、から」
観念したのか、つかえながらも口を開いた。
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:10/02/10 21:53 :F01B :FBG14ABw
#527 [ひとり]
どうも寝坊して、面接に行けなかったらしい。バイトの面接は毎度決まって午前中の、ランチ前の時間だ。ノジコさんはどうか知らないが、俺も津久井も、実際面接してもらったのは午前中の割と早い時間帯だったのを覚えている。
「寝坊って、んな事あったんですか?」
「ん、あった」
「そんなん言ってくれたら俺が電話で起こしてあげたのに」
「そりゃムリだろ」
「え、何でですか」
「だってお前も爆睡してたし」
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:10/02/10 22:11 :F01B :FBG14ABw
#528 [ひとり]
「あ、そうなんだ」
「うん」
「それすいません、いつの話しっすか?」
「俺らが・・つ、きあった、日」
なるほど。
つまり俺達が例の追いかけっこをやっていた次の日が、アキの面接日だったのか。そりゃあ俺には起こせないな、三田さんの横で昼過ぎまで確かにぐーすかやってたんだから。
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:10/02/11 01:08 :F01B :9n8RKG36
#529 [ひとり]
「しかも俺さ──」
三田さんの話しにはまだ続きがあった。
「ん?」
「俺一回目ぇ覚めたんだわ」
「あ、そうなんすか?でも、したら何で・・・」
「根岸が『行くな』って言った」
「えぇ!!??」
なんだそりゃ、それは初耳すぎる。てか、まるきりそんな記憶はない。
「覚えてねぇのかよ」
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:10/02/11 01:09 :F01B :9n8RKG36
#530 [ひとり]
三田さんの恨めしそうな視線に、今度は俺が言葉を詰まらせた。
「そのー・・・つまり、言っちゃえば・・・・お、ぼえてはー・・ない、です」
白状すると、そんなんわかってたわと言わんばかりにデカい溜め息を吐かれて、恐縮してしまう。
「お前ねぇ」
「本当に記憶ないんです、てかんな譫言、無視してくれたらよかったのに」
「そりゃ俺だって根岸が離してくれたらそうしてたさ」
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:10/02/11 01:10 :F01B :9n8RKG36
#531 [ひとり]
でも、と三田さんは繋げた。
「俺が目ぇ覚めて布団から出ようとしたら、後ろっから羽交い締めするみたいに抱きつかれて、『行くなよ』とか言うから、だから・・・・」
自分で言いながらその時の事でも思い出したのか、今度は顔面までもが紅潮しだした。
おいおい、無意識の俺何してくれてんだ。まさか羽交い締め以上の何か、やらかしてはいるまいな。
一瞬思ってヒヤッとした。
「だから俺、面接あるって言ったんだ、なのに全然聞かなくて『そんなのいいからここに居ろよ』って、き、き、キス、されて」
いよいよ顔面の赤みがピークを迎えて、それは首までも染め上げる勢いだった。
あ、湯気出るかも。
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:10/02/11 01:11 :F01B :9n8RKG36
#532 [ひとり]
「だからお前がいけねんだよ根岸コノヤロォォオ!!!」
恥ずかしさの臨界点を超えてしまったらしい三田さんは、唐突に、叫ぶように俺に食ってかかった。
確かにそうだ、そうなるわ。
『ごもっともです。』としか、返す言葉が見つからない。
「申し訳ない」
「本当にな!!おかげであの日はひろむに一日中ぐちぐち言われて、散々だったんだ」
「・・申し訳ない」
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:10/02/11 01:12 :F01B :9n8RKG36
#533 [ひとり]
俺は、不正を暴かれた政治家よろしく、繰り返し繰り返し陳謝した。
「本当に申し訳ないです、そして記憶ないです」
「バカ」
「はい、ごめんなさい」
「・・・・・とにかくだ、そういう訳あって面接はひろむ一人でやったわけ」
「はい」
「で、採る採らないは俺が決めるって言われれば、バックレた俺は何にも言えねぇよ」
「はい」
「蓋を開けてみりゃ『根岸アキです』って訳だ」
「はい」
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:10/02/11 01:12 :F01B :9n8RKG36
#534 [りんご]
あげます(・ω・)
:10/02/17 01:57 :SH903i :sXavEeNs
#535 [我輩は匿名である]
あげます
:10/02/17 03:19 :SH02A :NfuyhUpk
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