こちら満腹堂【BL】
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#49 [ひとり]
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程よくスプリングの効いたベッドの上、ふかふかと柔らかく肌に馴染む布団の中で。ブラインドの隙間から差す陽に瞼を灼かれ目が覚めた。
いつもの部屋で迎える、いつも通りの朝。
背を反らすように、ゆっくりと伸びをする。
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:09/12/10 20:29 :F01B :CoaqmSpo
#50 [ひとり]
その際横に張った肘の右側に、布団とも壁ともつかない感触。まだ薄らぼんやりした頭でもわかる違和感にそちらを向いて、
「!!??!!??」
寝起きドッキリ。冗談ぬきに息が止まった。鼻がつきそうな至近距離に、寝息をたてるおっさんが一匹。
「三田さん・・」
どうやらあのまま寝てしまったらしい俺の横で、壁に背をつけて狭さもお構いなしに爆睡している。
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:09/12/10 20:29 :F01B :CoaqmSpo
#51 [ひとり]
その表情(カオ)は普段の三田さんが嘘のように幼い。
普段はギャーギャー騒がしく、おっさんキャラを全面に押し出してるこの人は、実はかなり造りが繊細だったりする。線も細く、飯食ってんのかよと思うほどだ。
そんな新鮮な様を堪能してハッと我に返れば、リハの時間が迫っている。
「やっべ」
俺は慌ててベッドから飛び出した。
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:09/12/10 20:30 :F01B :CoaqmSpo
#52 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
第一話はこれで完結です。中途半端ですんませんが、それも含めてだらだらなひとりスタイルとゆーことで、ご容赦くだせぇ。
二話目は三田目線で書くつもりですので、宜しく。
意見や感想頂けると小躍りして喜びます。
ぴよーん
:09/12/10 20:35 :F01B :CoaqmSpo
#53 [ひとり]
【第二話/女子は必ずサラダを頼む】
ガキん時の俺は凄げぇ女顔で、チビだった。挙げ句泣き虫のヘナチョコだった。だからクラスの男子にはからかわれ、女子には「可愛い」を日々連呼された。
言っとくけどさ、思春期の童貞男に「可愛い」とか吐くのは「死ね」と同義だかんね。マヂ男のプライドずたぼろだかんね。
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:09/12/10 21:10 :F01B :CoaqmSpo
#54 [ひとり]
それでもヘナチョコな俺は当然自分の力だけでその窮地を打開できるはずもなく。
悩みに悩み、考えに考え抜いて一つの結論に達した。
そうだ、ヤンキーになろう。
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:09/12/10 21:14 :F01B :CoaqmSpo
#55 [ひとり]
ちょうどいいところに幼なじみで二こ上のひろむがいた。当時高校一年生だったアイツは、既にそっちの街道を爆進中で、今見たら腹筋痙攣、100バー爆笑もんだけど、パンチに短ランがトレードマークだった。
俺は訴えた。ヤンキーになりたいんだと。ヤンキーになって誰からも舐められない男になりたいんだと。
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:09/12/10 21:27 :F01B :CoaqmSpo
#56 [ひとり]
ひろむのつてで念願かなってヤンキーの仲間入りを果たした俺は、荒れに荒れた。中二の夏。我ながら駆け抜けてたと思うよ、うん。
全然泣かなくなったしね、喧嘩だって拳平らになるくらいやったしね、女子にもモテたしね、ケバいヤン女にばっかだけどね、うん。
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:09/12/10 21:38 :F01B :CoaqmSpo
#57 [ひとり]
まぁまぁ前置きが長くなったけど、とにかくそんな感じで俺は舐められたくない一心で背伸びしてきたわけです。
社会に出てからも舐められないようにって一心で髭とか生やしてみて今日に至るわけです。
それが
「アレ?お前髭どしたよ」
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:09/12/10 21:47 :F01B :CoaqmSpo
#58 [ひとり]
「──」
「あん?」
「起きたらなくなってたんだよ!!!!」
「意味わかんね」
俺だって「意味わかんね」っての。
朝、満腹飲みして根岸んちに泊まった朝。気付くと俺の顎髭が、俺の鎧と言っても過言じゃあない顎髭が、
忽然と消えた。
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:09/12/10 21:54 :F01B :CoaqmSpo
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