こちら満腹堂【BL】
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#821 [ひとり]
【休憩】
はい、皆様こんにちは。
大変、大変お待たせいたしました。
ひとりです。
あれ?誰も待っていないですって?
そうかーそうだと薄々感じてはいたんだよなー。だよなー、そりゃそうだよなー。
・・・でも!そんな中でもあげて下さった 、少数派の皆様のために!!
更新して参ります。
ありがとうございます!ありがとうございます!!!
:12/09/16 12:44 :Android :8K9twFOI
#822 [ひとり]
【第三十六話/梅は苦手だけど、練り梅はいけるの】
三田さんが変だ。
あの人の場合、いつも変だけど、今日は特に変だ。なんつーか、
挙動不審。
店にお客さんが入って来る毎に、何故か小走りで確認しに行く。何度も、何度も。
いやいや、あんたの持ち場はキッチンだろうが。
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:12/09/16 12:50 :Android :8K9twFOI
#823 [ひとり]
そしてまた。
『らっしゃーせー!』
津久井の声に反応して、表に行こうとしてるし。
『はいはい、ストップストップ』
いい加減に目障りだ。行ったり来たり、気が散って仕方ない。
丁度俺の横で、豆腐サラダの仕上げにかかっていた三田さんの、肩を掴んで動きを制した。
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:12/09/16 12:54 :Android :8K9twFOI
#824 [ひとり]
『ん?何だよ?』
「なんだよ」はこっちの台詞だ。
『何をそんなにソワソワしてるんですか、友達でも来るんですか』
すると、何故か三田さんは狼狽えだした。
『と、と、友達、うん、友達・・・かなー』
なんだ。「かなー」って。
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:12/09/16 13:07 :Android :8K9twFOI
#825 [ひとり]
で、またフロアに行くし。駆け足だし。
その日は、終始そんな感じで落ち着きがない三田さんを、横目でチラチラ見ながら1日が終わった。
客引きよく、レジ金の差異もなし。
腕の時計に目をやれば、時間はまだ11時半を少し過ぎたところ。
こんな日にはきっとまた・・・
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:12/09/16 13:19 :Android :8K9twFOI
#826 [ひとり]
『姐さんが言うことは〜?』
突然、声を張った滝さん。
『『『ぜった〜い!!!!』』』
それに続くオーディエンス。
やっぱり、そうなるんだ。
『では!』
『いざ参らん!』
『長谷部城へ!!!』
長谷部城とは。なんとも守りの緩そうな名前だ。
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:12/09/16 13:24 :Android :8K9twFOI
#827 [ひとり]
肩を組んだ滝さんとノジコさんを先頭にして、店をでる一向。
もちろん参加するんだろうと、三田さんを探すと、一人店の隅。何か紙切れのようなものを凝視している。
真一文字に結んだ口元。
『三田さん』
入口のドアを開いて声をかける。が、返答がない。電池が切れたかの様に、微動だにしない。
『三田さん!』
『・・・へっ!?ん!?!?何だ、どした!?!?』
『早く、皆外で待ってますよ』
『あぁ・・おうよ』
「悪りぃ悪りぃ」と言いながら、チンタラとこちらに向かって歩いてくる三田さん。
本当に、今日は変だ。
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:12/09/16 22:19 :Android :8K9twFOI
#828 [ひとり]
俺が出勤して間もなくはこんな調子じゃなかった筈だ。
いつからだろうか。どの辺りから様子が・・・
───────ブラックボード
そうだ、仕舞いに行くと出ていって、いやに戻りが遅くて、それで────────
あの時、何かあったんだ。俺は直感した。
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:12/09/16 22:27 :Android :8K9twFOI
#829 [ひとり]
丁度、ドアを開いて待つ俺を、横切ろうとした三田さん。まるっきり、心ここにあらず。といった風だ。
はぁ、と溜め息をついて、自分の足元に視線を落とした。
『ちょっと、早く出てくださいってば、閉めますから』
落とした視界の隅に、中途半端に立ち止まった三田さんの足を捉えて。
言いながら、顔を上げた俺の目の前の三田さんは、さっきまでの脱け殻のような様から一転。何故かバッキバキに目玉(メンタマ)をひんむいていた。
戦慄く口元。
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:12/09/16 22:48 :Android :8K9twFOI
#830 [ひとり]
『す・・・・す・・・・・』
『す?』
必死になって、何事か言おうとする、その人の視線を辿れば。
鼻を掠める、仄かな香り。
真っ暗な夜に、パン、とそこだけスポットライトを当てたような。
世界が一気に華やいだ感覚。
三田さんは、振り絞るように。
『すみれ───────!』
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:12/09/16 22:50 :Android :8K9twFOI
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