こちら満腹堂【BL】
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#87 [ひとり]
わからなくなってしまった。
でも確かに、バレたらいっそ楽になれるのかな、と思わなくもない。
気持ちを隠して接することが、日ごと苦しくなっている。そのせいか、日々あの人について考える時間が増えているのも事実だ。
きっかけさえあれば、もう気持ちを打ち明けてしまいそうだ。
そうなったら、あの人はどんな顔するんだろう。
今みたいに「センスねぇなぁ」なんて言って呆れるんだろうか。
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:09/12/12 12:32 :F01B :ql9Mw/7E
#88 [ひとり]
【休憩】
今日は、ひとりです。
第三話はこれにて完結です。言いたい、言えない、揺れる根岸でした。チャンチャン
そしてまるきり気付かない三田でした。そりゃそーだ、三田はノンケだもの。まぁ、根岸も基本はノンケだけど。そんな設定ですた。はい。
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:09/12/12 12:57 :F01B :ql9Mw/7E
#89 [りんご]
更新されてるー☆
わーい\(^∀^)/
おもしろいです!
:09/12/12 13:36 :SH903i :ESdadqyQ
#90 [ひとり]
>>89りんごさん
りんごさんだーヾ(゚∀゚)ノヒャーイ
またまたコメ嬉しすでっす(>∀<)
今からまたちょと更新しますねぇ
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:09/12/12 15:55 :F01B :ql9Mw/7E
#91 [ひとり]
【第四話/だし巻き卵のおいしさよ】
ランチと夜の営業の合間。
雨の上がった満腹堂裏のベンチで軽く一服。店内で火照った身体に、冬の風が心地いい。
「横いい?」
声がして視線を向けるとノジコさんがいた。
「お疲れさまです」
「お疲れ」
スキニーで脚線美が強調された長い足を組むと、俺の横で煙草に火をつける。
旨そうに、ゆっくりと深く煙を吸った。
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:09/12/12 15:56 :F01B :ql9Mw/7E
#92 [ひとり]
それから徐にノジコさんは口を開く。
「根岸さー何かあった?」
「え、なんすか急に」
こういう勘が鋭いとこ、ドキッとする。しかも聞き方がストレート。回りくどい事が嫌いな彼女らしい。
「いや急っつーか結構前から気になってたんだわ」
「・・・・・・・」
「・・言いたくなきゃムリと聞くような野暮なことはしないよ」
「安心して」と軽く笑ったノジコさん。俺はその言葉に本当に安心して、気づけばとんでもない質問をしていた。
「ノジコさんは、女の人好きになったりしますか?」
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:09/12/12 15:57 :F01B :ql9Mw/7E
#93 [ひとり]
予期せぬ俺の質問に固まったノジコさんは、そのまま鼻から煙をフスーっと吹き出した。
「すんません、息なり変な事聞いて」
気まずくなって謝る俺。
「何で謝るの?」
「いや、だって」
「全然変な事じゃないじゃん」
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:09/12/12 15:57 :F01B :ql9Mw/7E
#94 [ひとり]
「・・・・」
「あたし両刀だし」
「りょ!?・・それって」
「バイだよ」
思わぬカミングアウトに、今度は俺が固まった。
「驚きすぎだから」
何でもないように、実際ノジコさんにすればそれは当たり前の事なのかもしれないが、ケラケラと笑った。ノジコさん、よく笑う人。
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:09/12/12 15:58 :F01B :ql9Mw/7E
#95 [ひとり]
「マヂすか」
「マヂっす、引いた?」
「いや、全然。悩んだり、なかったんすか?」
「ん〜・・・ないといえば嘘になる・・かなぁ」
少し遠くを見るようにしてノジコさんは続けた。
「でも好きになったらさぁ、もう手遅れなんだよねぇ」
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:09/12/12 15:59 :F01B :ql9Mw/7E
#96 [ひとり]
今の俺に、 その台詞はズシンと響いた。
「俺もそう、思います」
「だろ?」
俺の顔を見て、満足そうに言った彼女は、また旨そうに煙草を吸う。
「はい」
俺もそれに習って短くなった残りに口をつけた。
再び見上げた雨上がりの空。雲間から一筋、光がさしている。
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:09/12/12 16:02 :F01B :ql9Mw/7E
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