こちら満腹堂【BL】
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#1 [ひとり]
BLが嫌いだ
BLってなぁに?
BL?おいしいの?

とゆう方は回れ右でお願いします。


誹謗中傷は受け付けません。

.

⏰:09/12/06 20:03 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#2 [ひとり]
たとえば切り傷や火傷がいくつもある筋張った手だとか

たとえば雨の日には斬新な外ハネをみせるその癖毛だとか

たとえば酒と煙草でややしゃがれたその声だとかを


意識し始めたのはいつからだったろうか


.

⏰:09/12/06 20:09 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#3 [ひとり]
思い出そうとしたところでそれは酷く曖昧で

『今日この日を以て』なんてはっきりしたことはなく

ただぐだぐだのらくらした日々の中で、徐々に俺を侵食して今に至ったんだろう。


.

⏰:09/12/06 20:14 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#4 [ひとり]
自分でも気付かない程に緩く、静かに、確実に。


今はもう、後戻りしたくても道がわからないくらいまで来てしまった。


手遅れ。どうしてくれるんだ、



アホ。

.

⏰:09/12/06 20:20 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#5 [ひとり]
「アホ!?!?ちょ、おま、店長に向かって何て口のきき方すんだろねこの子は!!!!」

「あ、すんません、声出てましたか」

「出てたよ!確実傷付いたよ今!!もう嫌だ!!!!誰コイツ採用したのー!!ひろむっお前か!!!!」

「いや、お前もいたかんね」

.

⏰:09/12/06 20:31 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#6 [ひとり]
ここは厨房
今は4時

俺達は仕込みをしている。

大鍋から立つ湯気が熱ちぃ。

.

⏰:09/12/06 20:43 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#7 [ひとり]
「ハイ、確かにいましたよ三田さん。」

「え!?マヂでか!?!?」

「ホラみろ、てか店長のお前がいない訳ねーだろさ」

「そっすよ、テンチョー」

「・・・お前の"テンチョー"て何か響きがムカつくんだけど」

「そっすか?テンチョー」

.

⏰:09/12/06 20:48 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#8 [ひとり]
「もういいってそれ」

そう笑いながら俺の横でアホほどジャガイモの皮を剥いているのは店長の三田さん。

俺の、好きな人。






男だけど。

.

⏰:09/12/06 21:59 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#9 [ひとり]
「まぁ下にアホ呼ばわりされないように励みたまえよ」

と口を挟むのは弘(ヒロム)さん
三田さんの幼なじみで、共同経営者だ。


「ひろむのその発言が既に俺をバカにしてると思いまーす」

「いいから早よ芋むけ」

「・・・・」


二人の何気ないやりとりにも、自分には入り込めない空気を感じて黙ってしまう俺は、マヂ相当キテると思う。


⏰:09/12/07 20:11 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#10 [ひとり]
俺の気なんか知らずに、
まぁ知られちゃ大変まずいんだが。二人の会話は展開されていく。

ますます俺は黙るしかない。




このもやもやを、どうしてくれようか。


⏰:09/12/07 20:19 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#11 [ひとり]
【休憩】


今晩は、ひとりです。


とりあえずここまでをプロローグとさせて戴きます。初心者なもんで文章力なんてからきしはなくそですが、読んでやんよという暖かいお心の方がいましたら、どうぞお付き合い下さいまし。

でわでわ、更新していきますん。

⏰:09/12/07 20:29 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#12 [ひとり]
【第一話/お通しカットとか認めない】




「根岸ーもうそっち終わりー?」

「はい」

「こっちもバッチよ、んぢゃ閉めますかー」

「おーお疲れお疲れー」

「あーマヂ腰いかれた」


野郎の声が飛び交う
閉店後のここは満腹堂。


⏰:09/12/07 20:37 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#13 [ひとり]
ここは男子率が非常に高い店だ。

経営責任者の弘さん
店長の三田さん
キッチンチーフの滝さん
ホールチーフの長谷部さん

と、バイトが三名
俺こと根岸と
大学生の津久井
それに紅一点、ノジコさん

⏰:09/12/07 20:44 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#14 [ひとり]
「根岸ー今からべぇやんちで飲むかんなーバックレんなよ」

とはノジコさん。紅一点のはずの彼女は、本物の男以上に男気に溢れた姐さんだ。

因みにべぇやんとは長谷部さんのこと。

⏰:09/12/07 20:51 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#15 [海斗っち]
とってもおもしろです
更新頑張ってくださいね
応援してます

⏰:09/12/07 23:25 📱:SH905i 🆔:1.n4fm7U


#16 [ひとり]
【お返事】

>>15

海斗っちさん

ありがとうございます^^
今日もカタツムリほどのスピードですが、更新予定なんで、よろしくです(´_ゝ`)ぽよーん

⏰:09/12/08 19:35 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#17 [ひとり]
>>14

「いや、俺明日ちょっと用が・・」

ダウンのフードを被りながら語尾を濁す。
明日はダチとライブがあるから、昼過ぎからリハなんだ。

「用とか言ってどうせ女だろ!?却下却下!!!!」

三田さんがオーバーに手を降って言う。
俺の首に腕を巻きつけ、グッと距離が近くなる。

「店長命令だから、うん。」


⏰:09/12/08 21:09 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#18 [ひとり]
別に明日は女とどうこうあるわけじゃなければ、
三田さんがそんなつもりで言ってるんじゃない事もわかってる。

わかってるのに、

女より自分を優先しろと言われてるように錯覚して、勝手に嬉しくなって、だから、

「ちょ、わかりましたから、首苦しい」

俺は面倒くさそうなふりで了承してしまう。

⏰:09/12/08 21:58 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#19 [ひとり]
それから結局、長谷部さんちに満腹堂スタッフ一同が集結。


畳のそこかしこに転がる空き缶と、誰がいつつけたのかジブリのアニメがBGM替わりに流れる部屋で、折り重なるようにして雑魚寝を決め込む野郎共。ノジコさんはちゃっかり長谷部さんの布団を占領している。

⏰:09/12/08 22:09 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#20 [ひとり]
壁の時計は深夜2時を少し過ぎたところ。

俺は佳境に入ったアニメを観るともなしに眺めた。女の子と男の子が早朝の坂道をチャリで2ケツしている。

「マヂこれ好きだわ〜」

俺の横に胡座をかいた三田さんは、発泡酒片手に感動しているよう。声が上擦っている。

⏰:09/12/08 23:03 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#21 [ひとり]
恐らくこのアニメを流した張本人はこの人に違いない。

「お前好き?みみすま」

「はい?」

聞き慣れない単語に俺は聞き返した。

「なんすか、それ」

「みみすまだって、み・み・す・ま!!」

別に聞こえなかった訳じゃないのに、三田さんはもう一度謎の単語を繰り返した。顔が真っ赤だ。

⏰:09/12/08 23:08 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#22 [ひとり]
「いや、知らないんで」

「いや知らないとかじゃなくてさ〜、好きかどうかって話しさ」

「はぁ・・・」

そう言われても知らないものを好きか嫌いかなんて答えられる訳がない。曖昧に返事をする俺を余所に、三田さんは勝手に喋り続けた。

⏰:09/12/08 23:13 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#23 [ひとり]
「いいよな〜青いよ〜春だよ〜駆け抜けてるよこれ〜」

「・・・・はぁ」

「お前も覚えがあるだろ根岸、進路に悩み、恋に悩み、ってさ」

「・・・・いや、俺は特には」

実際俺は進路で悩んだ事も、色恋に悩んだ事もなかった。
何となく進学して、何となく彼女をつくり、何となく別れた。

「ないわけねーだろよオイ」

⏰:09/12/08 23:20 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#24 [ひとり]
そう言い切れるほど、あんたは俺の何を知ってるんだ。

「俺、基本なんとなくでここまで来てるんで」

「嘘つけカッコつけ〜可愛いあの娘にメロメロドキュンで悩んだ日々があっただろ?」

「いや、来るもの拒まずですから」

⏰:09/12/08 23:33 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#25 [ひとり]
実際そうだった。
付き合ってくれと言われるから付き合ったし、別れようと言われるから別れた。

「でたよっ!!モテ男発言!!!!」

三田さんが顔をしかめて俺を指差す、その指を払って聞き返した。

「そういう三田さんは経験あるんすか?」

⏰:09/12/08 23:44 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#26 [ひとり]
「俺?」

聞かれた三田さんは一瞬動きを止めて、それからヘラッとだらしなく笑った。

「そりゃあるべよ、好きだけど好きって気持ちが恥ずかしくってさ、無駄にチョッカイかけて嫌われたりね〜」

「ふーん」

「ふーんておま、聞いといて素っ気なさすぎじゃね?その態度」

⏰:09/12/08 23:53 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#27 [ひとり]
「いや、マヂ俺そういう経験ないんで」

ウソをついた。
本当は、まさに今がそうだ、今の俺が。

「嫌みなヤツだなーお前は」

三田さんが好きで、悩んで、ちょっかいかけて、そっけなくして。
全部が、独りよがりで。

「根岸も一度くらい経験したらわかるよ」

もうわかってる。

「いいぞ〜そういう甘酸っぱいのも」

全然よくねぇよ、苦しいんだよチクショー。

⏰:09/12/09 00:03 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#28 [ひとり]
「俺、明日マヂ用あるんで帰ります。」

遣り場のない気持ちを目の前のこの人にぶつけてしまいそうで、俺はそそくさと腰をあげた。

「え、なした急に?」

突然の行動に、俺を見上げる三田さんはポカン顔だ。

「いや、用事があるから、帰って寝ないと」

「ここで寝てきゃいいべ」

「風呂も入りたいんで、荷物もあるし」

「今2時過ぎよ?」

「チャリあるし」

⏰:09/12/09 00:15 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#29 [ひとり]
「いいから今日はここで寝てけって、俺が朝起こしてやっから」

腕を捕られた。

「いや、本当、帰ります」

「いや、本当ムリだし」

意味がわからない。

顔真っ赤で完全に酔っ払いだし、俺より5つも年が上のアラサーおやじだし、なのになんか帰るなとか腕掴んで上目遣いされて俺心臓バクバクいってんだけど。マヂで、

意味がわからない。

⏰:09/12/09 00:25 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#30 [ひとり]
三田さんの無意識の行動に、一々ムダな考えを巡らせては一喜一憂する。

帰るなと言われて喜んでいる俺と、何も知らずに無責任な事言うなと憤る俺が混在して、ぐちゃぐちゃだ。

いっそ今ここで言ってしまおうか。

あんたが好きだ

って。

⏰:09/12/09 09:19 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#31 [ひとり]
長谷部さんちの、酒の匂いが充満して換気もされてないこの部屋で。
みんなが横で寝ているこの部屋で。
『みみすま』とやらのエンディングロールが流れるこの部屋で。

あんたが好きなんだ

って。





そんなん

⏰:09/12/09 09:24 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#32 [ひとり]
「言えるわけねぇし・・・」

「ん?」

「いや、とにかく帰るんで離して下さい」

「店長の俺がこんなに言ってんのにお前は帰んのかよ根岸ー」

「帰ります」

「そっけなー」

三田さんは言いながら掴んでいた俺の腕を放るようにして離した。

⏰:09/12/09 09:30 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#33 [ひとり]
「じゃ、お疲れした」

俺が言って後ろの扉へ向かおうとすると

「おぅ、待てコラ」

「なに?」

「なにじゃなくて、送るし」

三田さんはふらふらと立ち上がった

「うぁ゙!!足痺れた気持ち悪りぃー」

それから痺れたらしい足にできるだけ刺激を与えないように、変な歩き方で俺に近付いてきた。

「ホレ、帰るんだろ?」

⏰:09/12/09 09:38 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#34 [ひとり]
「送るってあんた、俺チャリなんだってば」

「だからその辺までだよ、俺も風に当たりてぇし、付き合え」

そして俺より先に部屋を出ていってしまった。

「・・・・・・勝手だなぁ」

仕方なしに後に続く。

⏰:09/12/09 09:42 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#35 [ひとり]
「ちべ(冷)てぇー」

「もう12月っすからね」

「12月かよー1年早えーなオイ」

「その発言、かなりおっさんじみてますよ」

「ほっとけ!!」

俺達はチャリを挟んで横並びで歩いた。
二人分の白い息が、尖った冬の空気に溶けて消える。

⏰:09/12/09 09:48 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#36 [ひとり]
「今年のクリスマスも、このままじゃクソスマスで終わりそうだなー」

「三田さん彼女作んないんすか?」

「お前はっ倒されたいの?作んないんじゃねーよできねんだよ!!」

「ふーん」

「はい出た!!根岸の"ふーん"返し!!!!」

「あんた声デカいって」

⏰:09/12/09 09:55 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#37 [ひとり]
もう既に三時になろうかというところ、寝静まった家々。俺達以外誰もいない道に三田さんの声はよく響いた。

「つぅかあんたそろそろ戻らないと」

「え?」

「いやだって、あんま行くと帰り面倒いでしょ」

「あ〜〜〜・・・・うん」

「・・・・・・・あんた」

「そうだね、帰り道がね、うん」

そっかそっかと頷く姿に、嫌な予感がよぎる。

「あんた俺を"送ってる"ってこと忘れてたでしょ」

現にもう一駅分は歩いてきてしまっている。

⏰:09/12/09 10:17 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#38 [ひとり]
「店長にあんたとか言わないのー」

「話し逸らさないで下さい」

「んー・・・・うん、まぁアレだよ、つまり」

目が右へ左へ泳ぎに泳ぎまくっている。
俺の予感は確信に変わった。

「根岸んち泊め「嫌です」

最後まで言わせずに遮ると、口をものっそい勢いでへの字に曲げた。

⏰:09/12/09 15:06 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#39 [ひとり]
「お前言わせろよそこは」

「だって嫌っすもん」

「送ってやった俺の優しさをそんなぞんざいに蹴っていいのか」

「"やった"っつーかムリと付いてきただけでしょーが」

「んなッッ!!!!元も子もない事言うなよ!!!!」

「事実でしょーが!!!!」

立ち止まり、向き合った俺達は言い合いになる。正面から見た三田さんの顔はもう酔いが引いたようで白っぽく、闇にぼんやり浮かび上がっている。その中にあって、鼻の頭と少し覗いた耳だけが赤い。

⏰:09/12/09 19:43 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#40 [ひとり]
「泊めろ!!」

「嫌です!!」

「泊めろって!!」

「嫌ですってば!!」

頼むから大人しく帰ってくれ。俺はこのもやもやを、密室に二人きりで隠し通せる自信がなかった。

「頑なかっっ!!!!」

「そりゃあんたでしょ!!!!」

⏰:09/12/09 19:51 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#41 [ひとり]
「うるせぇな!!!!!」

「「!!!???」」

突然頭上から浴びせられた怒鳴り声に、ハッとそちらを仰ぎ見れば

「テメェら今何時だと思ってんだっっ!!!!とっとと帰ってクソして寝ろっっっ!!!!」

道路沿いのボロなアパートの一室から、冬場にも関わらずランニングシャツ一丁のおっさんが俺達を睨み下ろしている。

「「すんませーん」」

俺達は駆け足でその場を後にした。

⏰:09/12/09 19:58 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#42 [ひとり]
───
──────
─────────

「おじゃましまーすよっ」

「・・・・・・」


結局、三田さんは俺んちまで付いて来た。
鼻歌まじりに履き潰したティンバーのブーツを脱ぎ捨てる三田さん。

「お前んち何かいい匂いすんな」

「・・・・あぁ、アロマたいてるんで」

「うっわ〜恥ずかしいヤツだな〜」

「意味わかんねぇし」

⏰:09/12/09 20:04 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#43 [ひとり]
今だ赤みを帯びた鼻をひくひくさせて部屋の匂いを無遠慮に嗅ぎまくっている。

「いいから早く中入って下さい」

「へいへい、あ、便所貸して〜」

「・・・・嫌です」

「よし、じゃーここで「そこ、左側です」

「あいよー」

言ってトイレに駆け込んだ。

⏰:09/12/09 20:11 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#44 [ひとり]
「・・・・・ふぅ」

俺はフードを脱いで、その場にへたり込んだ。

「どうすんだよコレ・・」

マヂで途方に暮れた。密室に、好きな人と二人。これはかなり宜しくない展開だ。

とにかくアレだ、変な気が起きる前に寝てしまおう。

⏰:09/12/09 20:16 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#45 [ひとり]
そうと決まれば善は急げだ。ダウンとデニムは脱ぎ捨てて、とにかく着替えとバスタオルをひっ掴み風呂場へ向かう。と、

「・・・何やってんすか」

「いや、風呂借りようかと思って」

「したら先に一言あるでしょーよ」

「あ、借りまーす」

「遅せぇし・・・コレ、使って下さい」

「おぅ、さんきゅ」

⏰:09/12/09 21:10 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#46 [ひとり]
俺は自分のために持ってきたタオルと部屋着を脱衣所に置いて、ひとまずリビングへ退散。ベッドに倒れ込んだ。

「本当に勘弁してくれよ」

思わず声が漏れた。

俺んちの脱衣所で、勝手に風呂借りようとした三田さん。勝手に服脱いでた三田さん。

「身体・・・・」

見てしまった、あんな不意打ちで。まぁ、上裸だけだけど。

⏰:09/12/09 21:18 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#47 [ひとり]
でも、バッチリ目に焼き付けてる俺。しっかり反応してる俺。ボクサー一丁だったから、バレないように腰を引き気味にして退散した俺。






重傷だ。

⏰:09/12/09 21:22 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#48 [ひとり]
寝床はこのシングルベッドが一台。

三田さんにはここで寝てもらって、俺はカーペットで雑魚寝だな。

できるだけあの人に近づかないように、見ないようにしよう。

そうしよう。

頭ん中でシュミレーションしながら、身体がズンと重たくなるのを感じた──

⏰:09/12/10 20:28 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#49 [ひとり]
──
────

程よくスプリングの効いたベッドの上、ふかふかと柔らかく肌に馴染む布団の中で。ブラインドの隙間から差す陽に瞼を灼かれ目が覚めた。

いつもの部屋で迎える、いつも通りの朝。

背を反らすように、ゆっくりと伸びをする。

⏰:09/12/10 20:29 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#50 [ひとり]
その際横に張った肘の右側に、布団とも壁ともつかない感触。まだ薄らぼんやりした頭でもわかる違和感にそちらを向いて、


「!!??!!??」


寝起きドッキリ。冗談ぬきに息が止まった。鼻がつきそうな至近距離に、寝息をたてるおっさんが一匹。

「三田さん・・」

どうやらあのまま寝てしまったらしい俺の横で、壁に背をつけて狭さもお構いなしに爆睡している。

⏰:09/12/10 20:29 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


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