こちら満腹堂【BL】
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#192 [ひとり]
「・・・・・・・・・・・・」
やはり反応がない。
連打してみようか、
ピンポーン・・・・ピンポーン・・・・ピポピポピポピポン
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ここまで無視だとこっちも意地になってくるな。
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:09/12/21 20:54 :F01B :Sipkur5Y
#193 [ひとり]
そうして再びどっかのケンシロウのごとく連打を繰り出そうと指を構えたところで、ノブが内側から回されるのが見えた。
外開きのドアにぶつからないように一歩身を引いて待つと、中から小さく背中を丸めた三田さんが現れた。
グレーのスウェット上下の上にパーカーとチェックのチャンチャンコというしゃれた出で立ち。
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:09/12/21 21:01 :F01B :Sipkur5Y
#194 [ひとり]
「ちゃ、チャンチャンコ・・・」
「よう、根岸」
「なんなんすか、いきなり家来いって」
「まぁ、上がれ」
三田さんは俺の返事を待たずに中に引っ込もうとする。
「ちょ、何なんすか」
・
:09/12/21 21:31 :F01B :Sipkur5Y
#195 [ひとり]
再度繰り返した俺の問い掛けに、緩慢な動作でこちらへ振り返った三田さん。
「いいから、取り敢えず中入れって、寒みぃ」
よく見たら、小刻みに震えていた。
「わかりました」
唇も、なんかガサガサして青っぽい。
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:09/12/23 09:05 :F01B :SdPnyTWc
#196 [ひとり]
リビングに通されると、そこは暖房の効き過ぎたティッシュ王国だった。
「・・・・思春期なんすか」
「違うわアホタレ」
散乱するティッシュティッシュティッシュ・・・
確定だ。
「じゃあ、風邪なんすか」
「そうだアホタレ」
「合ってても間違っててもアホタレなんですね」
・
:09/12/23 09:06 :F01B :SdPnyTWc
#197 [ひとり]
不満そうな口振りを装ってみても、内心では久々に口を利いて貰えた事を素直に喜んでいる俺がいる。なんて健気なんだろう。おしんにも勝る健気さじゃないかと思う。
「熱は?」
「熱なんて計ってもあ〜俺こんなに熱ある〜って余計凹むだけだから計らない」
ガラガラな声して
「何屁理屈こねてんですか、ちゃんと計って下さい」
・
:09/12/23 09:06 :F01B :SdPnyTWc
#198 [ひとり]
「引き出しの二番目」
「・・・・・はいはい」
「体温計取ってこい」って事らしい。自分は肩まですっぽり布団にくるまって、ティッシュ王国開拓のため未開封のティッシュ箱を新たに引き寄せた。
「引き出しってこっち?」
「うん」
二つ並びで置かれた高さの違う渋い茶の棚。その低いほうの二番目の引き出しを漁りながら、背で三田さんが豪快に鼻をかむ音を聞く。
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:09/12/23 09:07 :F01B :SdPnyTWc
#199 [ひとり]
「あった」
目当てのものを手に布団の脇にしゃがみ、三田さんの前に差し出した。
「根岸〜鼻かみすぎで切れたしコレ」
俺の差し出した体温計より、今鼻をかんだことで切れた鼻の下が気になるらしい。
「いいからまず計ってみて下さい」
「痛てんだよ地味にー」
「赤チン塗っときな、赤チン塗れば何でも治してくれるから」
「何お前その保健室のババァ的発想」
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:09/12/23 09:13 :F01B :SdPnyTWc
#200 [ひとり]
「俺の学校の保険医は若いお姉さんでしたよ」
「やめてその"へ〜お前の学校の保険医オバチャンだったんだ〜"顔、マヂムカつくから」
「白衣の下のボディーラインがまさにサンクチュアリっつーかなんつーか・・・・何?」
気が付くと、三田さんが何とも言えない顔でこちらを見ていた。
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:09/12/23 20:28 :F01B :SdPnyTWc
#201 [ひとり]
なんだろう、敢えてその顔に台詞を当てるなら
「は?」
だろうか。または
「え?」
が近いか。
それから体調が優れない身でありながら、満面のスマイル。
・
:09/12/23 20:34 :F01B :SdPnyTWc
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