こちら満腹堂【BL】
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#232 [ひとり]
「俺がメールで呼び出したんだわ、ごめん」
「みたいね、やっと連絡ついたと思ったら『今三田さんちで風邪みたいだから来てあげて下さい』だもんよ」
近所迷惑も考えないで、性急にチャイムを鳴らしまくっていた根岸。扉一枚隔てた先で、あん時どんな顔してたのかってふと思った。
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:09/12/27 21:22 :F01B :Hmc8sEFw
#233 [ひとり]
「でもお前も珍しいな、俺じゃなくて、根岸呼ぶってのは」
「・・こないだ、ホラ、髭そられた事であの野郎は俺に借りがあったかんね」
嘘だ。根岸を家に泊めたあの日、確かにチャーハン食ってチャラにしたのに。頭で思っても、口が勝手に嘘を並べ立てる。
「まだんな事言ってんのかよ」
ひろむは『小学生か』って言って笑った。俺も『うっせほっとけ』と言って笑ったけど。
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:09/12/27 21:23 :F01B :Hmc8sEFw
#234 [ひとり]
考えてみれば、何で根岸を呼んだんだろう?
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年が明けて、三ヶ日と一日経った今日、俺は気付いた。いや、気付いてはいたんだ。ただその事実を認めたくないから、気付かないふりをしていただけ。
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:09/12/27 21:25 :F01B :Hmc8sEFw
#235 [ひとり]
ぶっちゃければそれは
『甘え』
根岸がまさか本気で俺に気があるなんて・・・そう否定しながら、心のどっかじゃ俺を好いてるかもしれない根岸なら、風邪っぴきの自分のもとに駆けつけるに違いないって考えがあったんだ。例えそれが大晦日の、夜八時を軽く超えた時分でも。
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:09/12/27 21:29 :F01B :Hmc8sEFw
#236 [ひとり]
身体が弱ってたからとか、あの時は無意識だったからとか、そんなんは言い訳にしかならない。俺は俺の都合で根岸の気持ちを利用して、その上否定したんだから。
自分で自分に吐き気がする。最低だ。
もう嫌われて、口聞いてくんねぇかもしんないけど。やっぱここは一回ちゃんと謝っとかないと、俺の気が済まない。
「って結局また自分かよ」
自分本位な考えしかできないなんて、つくずくうんざりしてしまう。
「とにかく明後日・・・」
コタツの中、テーブルの上に顎を載せて、一月のシフトが書かれた用紙に目を走らせる。『根岸』の欄、六日の枠内には『遅』と印刷されていた。
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:09/12/27 21:32 :F01B :Hmc8sEFw
#237 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
十三話完結致しました。反省する三田でしたね、うん。悪いことは悪いって認められる人は、人間としての伸びしろがまだあるんだって先生思うよ!!!!アレ?こんな台詞前にどっかで聞いたような・・・・・(゚ω゚)←
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:09/12/27 21:41 :F01B :Hmc8sEFw
#238 [ひとり]
【第十四話/すいません、お絞りもう一つ下さいって言う女子は世話好き】
一月六日。今年初出勤の満腹堂に到着したのは午後四時半過ぎ。早番のスタッフと新年の挨拶を交わす。
「あけおめことよろー」
こんな程度の軽い感じで。その中には三田さんもいて、俺はなるべくそっちを見ないように意識した。
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:09/12/28 15:52 :F01B :rkwSdkYA
#239 [ひとり]
気持ちを否定されてショックだった。でも間が空いて冷静になれた・・・・・気でいた。なのに
「やっぱうぜ」
可愛さ余ってなんとやら。視界の隅にチラつく三田さんに苛立つ。その事で、思ってる以上に自分が傷ついてるんだと知らされた。
「俺ってナイーブ」
「何ブツクサ言って、気味悪いよ」
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:09/12/28 15:52 :F01B :rkwSdkYA
#240 [ひとり]
振り返ると、俺と同じ遅番出勤の津久井がいた。
「あけおめ」
「おめ」
気心の知れてる者同士であればある程、形式ばった挨拶は照れ臭い。
「で、なに根岸って独り言キャラだっけか?」
「いやまぁ、色々とあったんだわ」
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:09/12/28 15:53 :F01B :rkwSdkYA
#241 [ひとり]
「例のあの子?」
「まぁ」
「まだ避けられてんの?」
「いや、逆」
「逆って・・避けてんの?」
「うん」
「『うん』って、何やってんの君達は」
「何やってんだろうね」
「俺が聞いてるんだけど」
「自分でもよくわかんね」
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:09/12/28 15:53 :F01B :rkwSdkYA
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