こちら満腹堂【BL】
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#308 [ひとり]
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「根岸、今日暇?」

裏口のベンチで一服しているところを発見して声をかけた。

「あ、三田さん、はざす」

「はよ、で、今日暇かよ?」

聞くと根岸は手にしていた携帯をパタンと畳んで言った。

「すんません、今日先約があるんです」

⏰:10/01/04 09:13 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#309 [ひとり]
「そか、わぁった」

「すんません」

「いいって」

その時はそれだけで終わった。別にまた声かけりゃいいし、先約なら仕方ないと思ったから。

でも──

「根岸ー今日さ」

「あ、すんません今日もちょっと」

*****

「おいこれから・・」

「もう帰らないといけないんで」

*****

「根ぎ・・」

「お疲れしたー」

⏰:10/01/04 09:13 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#310 [ひとり]
いくら寛大な俺だって、流石に三度も連続で断られたら腹も立つ。つぅか腹が立つ。何様だ、あの野郎。


それから暫くは飲みに誘うこともしなかった。そうすりゃまた例の『あれ?』みたいな視線でチラ見してくんだろどうせ?わかってんだよ。くらいに高をくくって。

ところが。

⏰:10/01/04 09:14 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#311 [ひとり]
来る日も来る日も根岸は仕事が終わると早々に身支度を済ませ、店を後にした。

何かがおかしい。
そしてその何かを、俺はついさっき目撃したんだ。

シフトが早番だった俺は、ランチのメニューのかかれたブラックボードを中に仕舞おうと店の入り口に出ていた。

「よっこいせ」

言ってやや腰をかがめたその時──

「ゆうちゃん、聞いてる?」

すこし張った可愛らしい声がして、何気なく中途半端な体制のまま視線を向ける。何だあれ。

⏰:10/01/04 09:14 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#312 [ひとり]
再生停止した画面のようにピタリと止まった動き。俺の視線の先には声の通りの可愛らしい女の子と




「根岸・・・?」

こちらに向かってくる遅番の根岸。

⏰:10/01/04 13:57 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#313 [ひとり]
俺は持ち上げかけていたブラックボードを下に置き直し、咄嗟にその陰に隠れた。

って何やってんだ俺。別に隠れる必要なんてないのに。もう一度陰から顔半分出してみる。いた。遠目で何喋ってっかはわかんねぇけど、ありゃ百パー根岸だ。

てか、腕・・・

「組んでるし」

全身白っぽい服で完全武装した女の子が、根岸の腕に自分の腕を絡めていた。うっわぁ〜・・・

⏰:10/01/04 13:58 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#314 [ひとり]
つまり

「そゆことね」

彼女ができたか。

「なるほど」

納得している間にも、根岸と女の子は着実に店に近付いていた。今物陰からニュッと出て行くのも気不味い。

俺は咄嗟にしゃがんだ体制のまま、店の中まで戻るという妙案を思い付いた。

うっ、この体制結構腰にくんな・・・

⏰:10/01/04 13:59 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#315 [ひとり]
キツいながらもなんとか無事戻れた店の中

「お前何してんの?」

顔を上げるとひろむがいた。

「何その格好、新しい遊び?」

俺のウンチングスタイル歩行法(と、名付けよう)を見たひろむは、怪訝な顔で言う。

「違げぇよ!"家政婦は見た"んだよ!!!!」

怒鳴りながら立ち上がる。あ、やっぱ腰痛って。

⏰:10/01/04 14:00 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#316 [ひとり]
「お前んなバイト始めたん?てかボードどした?」

「ものの例えだお前がやっとけ!!!!」

俺はそれだけ言い捨てて、裏口に煙草を吸いに行った。イライラした。

深くベンチに体を預けて、ゆっくりと煙を肺に送って、貯めて、吐く。どうにか気持ちを鎮めようとして。イライラの意味をわかりたくなくて。俺はただ、吸って、貯めて、吐いた。

⏰:10/01/04 14:04 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#317 [ひとり]
【休憩】

今晩は、ひとりです。

第十七話?だっけ?完結です。二話続けての三田目線です。見ちゃったよ彼、見ちゃったよ。根岸のやつやりますな。女子と三田の二股とは。むふふ、個人的に振り回し振り回される二人ってのが好きです。←聞いなry

⏰:10/01/04 20:01 📱:F01B 🆔:5D9948e6


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