こちら満腹堂【BL】
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#320 [ひとり]
「何それ、てかどう思う今の話し?」

「あぁ、確かにザクロとイチヂクってキャラ被るよね」

「ちょっと全然聞いてなかったの?信じらんない!!だからね───」

「アキ、明日また聞くから、今日もう帰んな」

俺はとうとう限界が来てこう切り出した。

⏰:10/01/04 23:22 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#321 [ひとり]
「えぇ〜まだいいじゃん!!」

「ダメ、俺明日早番だし」

「ケチ〜」

「ホラ、送るからコート着て」

言って壁に掛けていた白いコートを放ると、渋々といった感じでそれを拾って立ち上がった。

⏰:10/01/04 23:24 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#322 [ひとり]
「明日また来ていい?」

「ダメっつっても来るんだろ」

「正解〜ぃ」

やっぱり。正解したところで、目糞程も嬉しくはないんだけど。

二人で外へ出ると、アキは当然のように俺の腕に自分の腕を絡めてくる。

「寒っむ!!」

「そんなペラペラの服着てりゃーな」

⏰:10/01/04 23:46 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#323 [ひとり]
3月の頭。予告通り近くに越して来たアキは、正月に会った時とはガラッと印象が違っていた。

高三の夏までバリバリの体育会系で部活に打ち込んでいたその面影すら今はなく、エクステとかいう人工の毛をくっつけた頭や、なんちゃらネイルとかいう人工爪をキラッキラに飾り付けた指先、更に片目だけでも人工睫毛(ツケマって言うらしい)を三枚だか四枚だか装着した化粧の濃い顔は、本当に『え、どなた様ですか?』だった。

⏰:10/01/04 23:47 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#324 [ひとり]
「可愛いっしょ?」

俺が"ペラペラ"と指摘したミニ丈のワンピースの裾をチョコっと持ち上げて笑いかけるてくる。

「短すぎ、風邪ひきそ」

俺は愛想もなしにそう答えた。

「え、何それ心配してくれてんの?」

アキはどこまでも果てしなくプラス思考だ。

⏰:10/01/04 23:47 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#325 [ひとり]
アキが越してきてから、三田さんと飲みに出かける回数が格段に減った。っつうかパタリと無くなってしまった。多分、三田さんちで鍋をしたあの日が最後だ。

何度も誘ってくれたのにそれを悉(コトゴト)く断り続けていたら、お誘いの声すらかけてくれなくなった。まぁ、当たり前と言えば当たり前なんだが。

アキもまだ入学したばかりで、新しくできた友達や入ったサークル、どんな環境に自分が居るのか、話せる肉親が必要なんだろうと思う。思うから、暫くはそんなアキに付き合おうって決めたんだ。だけど

⏰:10/01/04 23:48 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#326 [ひとり]
「じゃ、おやすみなさい」

「はい、おやすみ」

初めての一人暮らしに彼女が選んだのは、俺んちからすぐのところにある築年数も浅そうなサーモンピンクのアパート。その階段を二階へと駆け上がって行く。ブーツのヒールが、カンカンと鋭い音を立てた。

鍵を開け、ノブを回す。そして家の中に入ったところまで見届けてから俺は帰路につく。

⏰:10/01/04 23:50 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#327 [ひとり]
「参った・・・」

帰り道は自然と溜め息が零れる。まさか冗談でなく、毎日うちに入り浸るなんて。いくら覚悟していても、叔父さんや叔母さんに『頼むね』と言われても、流石にこれじゃあやってられない。

かと言って、もう来るなとも言えないし、妹みたいなアキが可愛い存在である事もまた確かで・・・・

「あ゙ぁ゙〜〜〜もう!なんだかなぁぁぁぁ」

俺の阿藤〇イにも匹敵し得る『なんだかなぁ』が、帰り道に虚しく響き渡った。

⏰:10/01/04 23:52 📱:F01B 🆔:5D9948e6


#328 [ひとり]
【休憩】

今晩は、ひとりです。

二話越しでの根岸サイド。従兄弟のアキが再登場です。根岸って存外に身内思いなんです。はい。

ちなみアキが高校で所属していたのは、硬式テニス部でした。前衛でした。はい、補足情報でしたぁ〜

⏰:10/01/05 00:03 📱:F01B 🆔:SDc/X0Lc


#329 [ホシ]
三田さんの気持ち‥なんかせつなぁーいォ

⏰:10/01/05 08:45 📱:Sportio 🆔:VMqmuYas


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