こちら満腹堂【BL】
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#418 [ひとり]
浮遊感。
スローモーションで展開する視界。
脳みそを直接掴まれて揺さぶられたような衝撃。
あ、俺殴られた。
それに気付いた時、俺の体は冷たいコンクリの道路と仲良しになっていた。
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:10/01/14 21:19 :F01B :eoTDsMHM
#419 [ひとり]
それから遅れて、左頬にぐっと熱が集まるのを感じた。
うわぁ〜口ん中絶対切れてるってコレ。
横っ飛びに倒れ込んだ地面に唾を吐けば、予想通り。街灯の光を受けた唾液に混ざって、赤いものが目について。
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:10/01/14 21:53 :F01B :eoTDsMHM
#420 [ひとり]
カッとなった俺はゆっくり立ち上がると、対峙した三田さんの右頬へ、めり込む程のパンチを見舞った。
ゴッ
骨と骨のぶつかり合う音。
「っ──痛てぇだろコラ」
流石と言うか何というか。体格差からみたら俺が断然優位な筈なのに、三田さんは拳の衝撃をまともに喰らっておきながら、ぐらつくだけに留まった。
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:10/01/15 09:09 :F01B :ShyQlI2A
#421 [ひとり]
そして
「しつけんだって!」
ゴッ
また喰らわされた。三田さんの一発は重い。
だから俺も
「話し聞けっていってんだろ!!」
ゴッ
同じ箇所を続けざまに殴ったら、さっきよりやや応えたようだ。
「だから今更逃げた奴が調子いんだよ!」
ボッ
脇腹をいかれて、少しむせた。
「ゲホ・・いつ俺が逃げたんだ!」
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:10/01/15 09:10 :F01B :ShyQlI2A
#422 [ひとり]
ボッ
俺も正面からボディーに一発ぶち込んだ。
「ゴホッ、ゲホ・・お前さ」
痛みやり過ごすように中腰姿勢で両膝に手をついた三田さんは、真下に視線をやったまま言った。
「彼女できたんだろ?」
「は?」
いつ俺に彼女が?"明太にぎりだと思ったら中身がツナマヨだった"ってくらい予想外で、俺は構えていたガードを下ろした。
そこへ
「隠したってもう知ってんだよ!」
ゴッ
また一発。
油断したせいで、簡単によろけた俺は、尻餅ついて尾てい骨を強か打った。
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:10/01/15 09:11 :F01B :ShyQlI2A
#423 [ひとり]
「っ───」
痛すぎて声がでない俺の腹の上に、乱暴な動作で馬乗りになった三田さん。
「お前が!!」
「好きだって!!」
「言った!!」
「くせに!!」
「やっぱ!!」
「女が!!」
「いいん!!」
「だろ!!」
言葉と言葉の間に飛んでくるパンチを、左右の頬にモロに喰らいながら、
やべぇ、殴り殺されるかも。
とかリアルに思った。
それから
三田さんになら、それもありかも。
とも思った。
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:10/01/15 21:54 :F01B :ShyQlI2A
#424 [ひとり]
それから
でもやっぱり殺されるんなら、その前にちゃんと伝えたいって、思い直して。
「好きだよ」
殴られながら言ったその台詞は酷く弱々しくて、不格好で、なんか薄っぺらに聞こえた。
それでも、それは三田さんの耳にも届いたようで。順番に振り下ろされていた両腕は、ぴたりと動きを止めたんだ。
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:10/01/15 21:55 :F01B :ShyQlI2A
#425 [ひとり]
「殴られすぎて幻覚でも見えてんの?」
鼻から息を抜くようにして、三田さんは『はん』と俺を嘲笑った。
「違う、幻覚なんか見てない」
「俺は茶髪の巻き髪した覚えも、白いブリブリなコート着た覚えもねぇ」
「え、何それ?」
「白々しい、さっき店に来ただろ!!」
「さっき・・・・え、何が?」
ゴッ
また殴られた。
「だから彼女が来てただろ!!!!」
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:10/01/15 21:55 :F01B :ShyQlI2A
#426 [ひとり]
さっき来た───
茶髪の巻き髪────
白─────
ブリブリなコート───
頭の中で少しずつ言葉のパーツを集めて。
彼女─────
組み立てて。
彼女──────
組み立てて。
かの・・───────え?
「えぇぇぇぇぇえ!?!?!?」
・
:10/01/15 21:57 :F01B :ShyQlI2A
#427 [ひとり]
「うっせぇな!何だよ急に!!」
「え、ちょ、マヂえ?彼女?アイツが・・ちょ、ムリムリムリだよマヂ冗談キツいって、っていうかなんでアキ・・え、本当に、え、えぇぇぇぇぇぇえ!!!???」
突然雄弁になった俺に、やや怯む三田さん。
「何だよマヂ意味わかんねぇよ!彼女なら潔く彼女だって認めろ!!!!」
「いや、それはできません」
俺はノーの意思表示に片手を胸の高さに挙げた。
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:10/01/16 08:34 :F01B :S6jD0iTs
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