こちら満腹堂【BL】
最新 最初 全
#577 [ひとり]
目を大きくして辺りを伺っている。確かに誰でも他人の家に初めて上がった時は、大抵興味津々で、色々見てしまうものだ。アキがそうして好奇心の色を貼り付けた目で観察する部屋の中、何かに視線が止まって、動かなくなった。
それから傍に腰を下ろしていた俺に身を寄せて、耳打ちしてくる。
「ねね、ゆうちゃんゆうちゃん」
「ん?」
「あれあれ、あれって卒アルだよねきっと?」
控えめに指差す先には、確かに卒業アルバムらしいかっちりした濃紺の本が一冊。漫画がごちゃごちゃ詰め込まれた本棚の中に、居心地悪そうに収まっていた。
・
:10/03/01 09:03 :F01B :vbyvgOo6
#578 [ひとり]
「多分そうなんじゃね」
今まで気にした事もなかったが、よくよく見ればそれ以外にもアルバムたらしき本が数冊、漫画と漫画の間にあるのを見つけた。
「あれ見たい!長谷部さん、あそこにあるのアルバムですよね?」
「え、あぁ、そうそう」
いいタイミングでリキュールやサイダーを両手に抱えて部屋に入って来た長谷部さんに、アルバムが見たいとアキがせがんだ。
「別にいいけど、笑わないでね」
・
:10/03/01 09:04 :F01B :vbyvgOo6
#579 [ひとり]
長谷部さんは快く了承してくれる。それから運び込んだアルコールを数個あるコップに注ぎ分けて、サイダーやら牛乳やらと割りながら
「他の写真も同じ棚にあるから、好きに見ちゃっていいぞ」
と、漫画で飽和状態の棚を顎でさした。
「やった、ありがとうございます」
アキは待ってましたと言わんばかりの素早い動作で嬉しそうに目当ての棚を物色し始める。すると
「ちょ、バカお前それはやめとけって!」
俺の右隣で寛いでいた三田さんが、突然声を張った。
・
:10/03/03 08:57 :F01B :vBSyG5To
#580 [ひとり]
「なしたよ突然、ビックリすんだろ」
滝さんが面食らった顔で文句をたれた。
「いや、別に卒アルだけでいんじゃねぇかと思って」
三田さんは場を取り繕うように笑って答えたが、もともと隠し事ができない人だ。何か見られなくないものがあるんですと、顔に書いてある。バレバレ。
そしてそれが卒業アルバムではなく、アキがランダムに手にしたアルバムだって事まで容易く理解ができた。
・
:10/03/03 08:58 :F01B :vBSyG5To
#581 [ひとり]
「アキちゃんいいから気にしないで、好きにみちゃって」
笑顔を貼り付けたままの三田さんはスルーして、アキに話かけた滝さん。この人も三田さんが隠しだい何かがそこにあるんだって確信のもと、面白がっているのがこれまたバレバレだった。
「おいマヂそれは見てもつまんねぇから仕舞ってこいて!」
「のんちゃんにそんな事いう権利ないでしょ、これは長谷部さんのものなんだから!」
「いいから!」
「よくない!」
ここ最近ですっかり板に着いたじゃれ合いがまた始まって、俺はここでもかとうんざりする。
・
:10/03/03 09:00 :F01B :vBSyG5To
#582 [ひとり]
「いい子だから!それをこっちに渡しなさい!!」
「何その口調キモイんですけどぉ!!」
「キモイ言うな!傷付くだろーがコノヤロー!!」
「別にのんちゃんが傷付いても私痛くも痒くもないし〜」
「つべこべ抜かしてねぇでいいからよこせ!!」
「ちょっと引っ張らないでよ破けるぅ〜!!!!」
周りで皆が笑っている。もうなんか、二人の活き活きした様を見るのが耐えるに難い・・・・頭、冷やそ。思い立ち表へ出ようと、無言で部屋を後にした。
・
:10/03/03 20:57 :F01B :vBSyG5To
#583 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
第二十八話完結です。またちょっとした行き違いが生じ始めたようです。ここからどう展開しようか、いつも行き当たりばったりで書いてるもんで、ひとり自身まだ検討もつきませんが、どうにかうまいこと着地したい!!しゅわっち
・
:10/03/03 21:15 :F01B :vBSyG5To
#584 [我輩は匿名である]
更新まってます★
:10/03/04 00:10 :SH906i :☆☆☆
#585 [ひとり]
>>574匿名さん
応援ありがとござます(^ー^)
・
:10/03/05 09:02 :F01B :ZO9Mc9Sg
#586 [ひとり]
安価ミス(゚Д゚;;)スマソ
:10/03/05 09:03 :F01B :ZO9Mc9Sg
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194