こちら満腹堂【BL】
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#606 [ひとり]
>>605

ゆきなさん

安価ありがとございます(゚∀゚)イヤン

⏰:10/03/13 08:42 📱:F01B 🆔:LbnwAcyw


#607 [ひとり]
>>604

適当にえらんだグラスの中身を口に含んで、アキの動向を観察する。卒アルに手を伸ばした。するとべぇやんが『他のアルバムも好きに見ちゃって』と言い出した。更に目を爛々とさせたアキは、直感的に黄色のアルバムに手をかけた。て・・・・・え、それって。


いやいやいやいや不味いよ!!
ちょ、おっまマヂ何考えてんですかコノヤロォォオ!!!!

それは、俺のアルバムだった。女が得てして過去の写真を見たがるように、世の男達は得てして過去の写真を取って置くものなんだ。いや、知らんけど。

⏰:10/03/13 08:42 📱:F01B 🆔:LbnwAcyw


#608 [ひとり]
俺はそうだよって話し。

昔、学生の時分に好きになった娘がいた。学校は違った。年は、俺の一つ上で、でも頼りなくて、俺がいなくちゃ、とか思ってた。少し身体が弱くて、消えちまうんじゃないかってくらい透き通った白い肌をしていた。でも彼女が微笑うと、パッと辺りが鮮やかになる。そんな華のある娘だった。

それまで・・ってのは、ヤンキーになってから暫く。"彼女"と言えばヤン女かじりのギャルか、ただのギャルか、はたまた筋金入りのヤン女か。

だからあの娘の存在は、俺の中でとても新鮮で、なんか甘酸っぱかった。

⏰:10/03/13 08:43 📱:F01B 🆔:LbnwAcyw


#609 [ひとり]
あの当時はあの娘が全てで、あの娘で最後だって思ってた。"これから先もずっと"って。

まぁ、それが叶わなかったから、今の根岸と俺の関係があるんだけど。

少しばかりの彼女との思い出。それを捨てきれず、かといって自分で持っておくのはしんどくて、べぇやんちにこっそり持って来て、紛れさせていたもの。黄色のアルバム。

それが今、アキの手の中に。

⏰:10/03/13 08:43 📱:F01B 🆔:LbnwAcyw


#610 [ひとり]
「ちょ、バカお前それはやめとけって!」

気付いた時には、声が出ていた。

「なしたよ突然、ビックリすんだろ」

正面に居る滝が面食らった顔で文句をたれる。俺自身、無意識に出た声の張り具合に焦ってるんだけど、んなことはお首にも出さずに。

「いや、別に卒アルだけでいんじゃねぇかと思って」

さり気なさを装って、サラッと笑ってみせた。

⏰:10/03/15 00:04 📱:F01B 🆔:yIafTo3o


#611 [ひとり]
「アキちゃんいいから気にしないで、好きにみちゃって」

俺のスマイルを無に返すように無視を決め込んだ滝の野郎が、アキに余計なことを謂っている。お前は黙っとけ!!

「おいマヂそれは見てもつまんねぇから仕舞ってこいて!」

本当につまんねって。つまんねぇっつーか、根岸がいるんだから、そこわかれチクショー!!!!

「のんちゃんにそんな事いう権利ないでしょ、これは長谷部さんのものなんだから!」

⏰:10/03/15 00:41 📱:F01B 🆔:yIafTo3o


#612 [ひとり]
違うんです僕のなんです。頼むからマヂで、マヂごめんなさいやめて下さい。

「いいから!」

「よくない!」

厭な感じの脇汗かいてきた。

「いい子だから!それをこっちに渡しなさい!!」

「何その口調キモイんですけどぉ!!」

⏰:10/03/15 00:43 📱:F01B 🆔:yIafTo3o


#613 [ひとり]
「キモイ言うな!傷付くだろーがコノヤロー!!」

「別にのんちゃんが傷付いても私痛くも痒くもないし〜」

「つべこべ抜かしてねぇでいいからよこせ!!」

ツカツカとアキの傍に寄ると、黄色のそれを奪い取るようにひっ掴んだ。が、それはアキにしたら予想していた行動だったらしく、ぐっと力を込めていたアキの手からアルバムを奪取することに失敗した。

「ちょっと引っ張らないでよ破けるぅ〜!!!!」

⏰:10/03/15 00:46 📱:F01B 🆔:yIafTo3o


#614 [ひとり]
両側からアルバムを掴んで引き合う。周りで皆が笑ってるけど、オイィィィイ!!!!笑いごとじゃないんですけどッッ!!!こっちゃガチなんですけどマヂでェェエ!!!!!

別に彼女のことがまだ好きとか、そんなんじゃないけど。でも誰にだって綺麗な思い出の一つや二つあるじゃん!!!!踏み込まれたくないテリトリーってあるじゃん!!!!

頭の中で自分の行動を正当化しながら、一番見られたくない奴の方に眼をやる。

あれ?いねぇし。

⏰:10/03/15 09:10 📱:F01B 🆔:yIafTo3o


#615 [ひとり]
さっきまで居たはずの場所に居ない。便所、かな。まぁいい、助かった。

そうして一瞬気を抜いたそのタイミングで、アキは渾身の力を込めた。

「そんな見られたくないものでも入ってん、の!?!?」



「「あ・・・」」

『の』のところでぐんと引っ張られて、俺の指先からアルバムはあっけなく逃げていった。アキの方でも俺がここに来てあっさり離すなんて思わなかったんだろう。

⏰:10/03/15 09:11 📱:F01B 🆔:yIafTo3o


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