こちら満腹堂【BL】
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#670 [ひとり]
「ウッ・・・ブフッツ・・オゲェェエ!!!!」
三田さんは余念がない。アキの気配が完全に消えるまで、暫く演技を続けた。
「・・・・・行った?」
「はい、ご苦労様です」
「おう」
「どうします?」
「んーお前先戻っといて」
「分かりました」
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:10/04/20 08:45 :F01B :X3tyuUEE
#671 [ひとり]
俺は渋々ながら、少し先に皆の元へ戻り、アキに重ねて三田さんはゲロってるけど大丈夫ですと伝えた。
内心、かなり凹んだ。そりゃそうだろ。あと一歩って時にあれじゃあ・・・
そんな俺にアキが意気揚々こう提案してきた。
「買い出し行こう」
本当はそんな気分じゃないけど、皆の手前断れないし、少し外の空気を吸えば気持ちも上向くかと付いてきてみた。みたんだが。
「結構歩いた気ぃしない?」
「そうだな」
行きも帰りも頭ん中はさっきの三田さんの痴態で一杯。
「はぁ・・・」
小さな溜め息は、誰の耳にも届かず宙に消えた。
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:10/04/20 08:55 :F01B :X3tyuUEE
#672 [ひとり]
【休憩】
おはよーございます、ひとりです。
短いですが第三十話完結です。アキってば、またまたいい所で登場しちゃいましたね、可愛い奴です(´∀`)アーァ
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:10/04/20 08:58 :F01B :X3tyuUEE
#673 [ひとり]
【第三十一話/マグロのカマって、なんか盛りだくさん】
長谷部さんちで飲みをしてからもう一週間が経とうとしている。忙殺されそうな日々が続いていた。来月、またライブに出て欲しいと助っ人の依頼が入ったのだ。学生時代に組んでいたメンバーからの誘いとあっては断るわけにもいかない。
満腹堂と家とスタジオを行き来する日々で、気付けば辺りの景色はすっかり葉桜が目立つようになっている。
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:10/04/20 09:09 :F01B :X3tyuUEE
#674 [ひとり]
五月がすぐそこまで来ている。
満腹堂の裏口に置かれたベンチにかけて、紙切れを広げた。
五月の確定シフト。
三田さんに渡された時、こう謂われた。
『アキの誕生日、お前の休みにしといたから、祝ってやれ』
その言葉通り、二十二日の欄には根岸、休、と印刷されていた。
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:10/04/20 09:14 :F01B :X3tyuUEE
#675 [ひとり]
こんなん謂ったら確実に怒るだろうが、ぶっちゃけ忘れていた。アキの誕生日。
でも三田さん、何でわざわざ俺が休みとってまで祝ってやらなきゃなんないんすか?
謂われた時俺は素直に返した。
だってそうだろ。大学の友達だって少なくないアキの誕生日を、従兄弟がしゃしゃりでてわざわざ祝うってのは妙な話だ。
俺の疑問に、三田さんは何事かもごもご謂っていたけれど、よく聞き取れなかった。聞き返そうとしたら『この話はしまいだ』と請け合ってくれなかった。
何なんだ、まったく。
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:10/04/20 09:20 :F01B :X3tyuUEE
#676 [我輩は匿名である]
あげます
:10/04/20 19:17 :SH03A :☆☆☆
#677 [ひとり]
>>676匿名さん
あげありがとうございます(´_ゝ`)
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:10/04/21 00:24 :F01B :pGKtM.9w
#678 [ひとり]
「火、貰える?」
不意に差した影と頭上から降る声に顔を上げれば、目の前にノジコさんがいた。
「どうぞ」
俺はケツ一つ分横にずれながら、パンツのポケットから取り出したジッポをカチンと開けて着火した。
ベンチの開けたスペースに腰を落ち着けて、ノジコさんは灯したライターから火をとると、真上に向けて煙を吐いた。
「邪魔した?」
「いえ、全然」
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:10/04/21 00:32 :F01B :pGKtM.9w
#679 [ひとり]
「そう、なんかやたら難しい顔してたから」
「基がサスペンス顔なんで」
「あぁ、確かに"崖"、"二時間スペシャル"で検索したらヒットしそうな顔してる」
「それ、船越○一郎ですよね?」
「わかった?」
どうでもいい会話をしながら旨そうに煙草を吸うノジコさんを横目で見てたら、俺も吸いたくなってきて一本取り出す。
実際それは旨かった。
空は、よく晴れている。
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:10/04/21 00:39 :F01B :pGKtM.9w
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