こちら満腹堂【BL】
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#827 [ひとり]
肩を組んだ滝さんとノジコさんを先頭にして、店をでる一向。


もちろん参加するんだろうと、三田さんを探すと、一人店の隅。何か紙切れのようなものを凝視している。

真一文字に結んだ口元。


『三田さん』


入口のドアを開いて声をかける。が、返答がない。電池が切れたかの様に、微動だにしない。


『三田さん!』


『・・・へっ!?ん!?!?何だ、どした!?!?』


『早く、皆外で待ってますよ』


『あぁ・・おうよ』


「悪りぃ悪りぃ」と言いながら、チンタラとこちらに向かって歩いてくる三田さん。

本当に、今日は変だ。

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⏰:12/09/16 22:19 📱:Android 🆔:8K9twFOI


#828 [ひとり]
俺が出勤して間もなくはこんな調子じゃなかった筈だ。


いつからだろうか。どの辺りから様子が・・・




───────ブラックボード


そうだ、仕舞いに行くと出ていって、いやに戻りが遅くて、それで────────


あの時、何かあったんだ。俺は直感した。

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⏰:12/09/16 22:27 📱:Android 🆔:8K9twFOI


#829 [ひとり]
丁度、ドアを開いて待つ俺を、横切ろうとした三田さん。まるっきり、心ここにあらず。といった風だ。


はぁ、と溜め息をついて、自分の足元に視線を落とした。




『ちょっと、早く出てくださいってば、閉めますから』


落とした視界の隅に、中途半端に立ち止まった三田さんの足を捉えて。

言いながら、顔を上げた俺の目の前の三田さんは、さっきまでの脱け殻のような様から一転。何故かバッキバキに目玉(メンタマ)をひんむいていた。


戦慄く口元。

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⏰:12/09/16 22:48 📱:Android 🆔:8K9twFOI


#830 [ひとり]
『す・・・・す・・・・・』


『す?』



必死になって、何事か言おうとする、その人の視線を辿れば。






鼻を掠める、仄かな香り。




真っ暗な夜に、パン、とそこだけスポットライトを当てたような。


世界が一気に華やいだ感覚。




三田さんは、振り絞るように。







『すみれ───────!』

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⏰:12/09/16 22:50 📱:Android 🆔:8K9twFOI


#831 [ひとり]
【休憩】


こんばんは。わんばんこ。ひとりです。


第三十六話、完結いたしました。
遂に現れた!彼女の名はすみれ!!!
名前からして儚げ!女子力はカンストッッ!ってかんじです ( ゚∀゚)・∵.グハッ


あーあーどうなんだーどうすんだー。
ひとりにも収集がつかない予感がムンムンです ( ゚∀゚)HA-HA-HA

⏰:12/09/16 23:04 📱:Android 🆔:8K9twFOI


#832 [ひとり]
【第三十七話/二次会の相談はよそでしてくれ】



これって、夢?それとも、幻?



グイッ



『痛デデデデデッッツ!?!!!?───ってぇなァァア!!!!』


突然の頬の痛みに、「何すんだコノヤロー」と身をよじる。いつの間にか横にいた滝が、俺の頬肉をねじりあげていた。


『いや、夢かなんかかと思って・・・』


信じられないといった表情(カオ)で、一点を見つめる。なら、自分の頬をつねればいいだろ。加減がないんだよ、このバカ。


頬のピリピリした痛みを、掌でゴシゴシと擦って紛らせる。





やっぱ──────
本物だもんなぁ──────



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⏰:12/09/17 10:31 📱:Android 🆔:l7CvryUY


#833 [ひとり]
どういった経緯でかわからないが、気付くと俺は長谷部の家の、いつもの部屋に居た。


なにも変わらない見慣れた空間に、一つだけの違和感。その原因、すみれは俺の正面で笑っている。


両側には、ひろむとべぇやん。二人が何か言う毎に、「あはは」と、笑いかたのお手本のように、綺麗に笑って見せる。




「で、望は元気だった?」


傍観していた俺。突然自分に話題を振らないでくれ!てか、そんなに見つめないで!穴が開くから!!ホールが空いてしまうからッッツ!!!!

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⏰:12/09/17 10:49 📱:Android 🆔:l7CvryUY


#834 [ひとり]
『おぉう、おう、元気元気!』


「おぉう」って何だし。声、裏返ってんじゃねーよ。恥ずかしいな、俺。


『こいつは元気だけが取り柄だからな!』


滝くん、君は黙っていようか。すみれもね、「そうだった」とか同調しないで、調子乗るから。



『ねぇ、ところで私、突然お邪魔しちゃって大丈夫だったの?』


『あぁ、大丈夫大丈夫!』


考えなしの滝が即答した。


『コイツらは、職場の連中だからよ』


『そうなの、ごめんなさいね、突然こんなに夜分遅くにお邪魔してしまって。私、美丘すみれと言います。美しい丘の美丘に、名前は平仮名ですみれ。よろしくね』


すみれは、慣れた感じでサラッと自己紹介をした。それを受けて。


『私のことはノジコって呼んで、皆そう呼ぶから。よろしく、すみれさん』


『俺、津久井って言います。津久井真希。すみれさん、めっちゃ美人っすね!この人達にこんな美人の知り合いがいたなんて・・』

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⏰:12/09/17 11:22 📱:Android 🆔:l7CvryUY


#835 [ひとり]
『一言余計なんだよ』


左隣に胡座をかいていたひろむが、津久井の頭をこづく。


『痛てッッ!』


それを見たすみれは、口元にそっと手を添えて、控えめにクスクスと笑っている。


『で、君は?』


『俺は・・』


次に、すみれが声をかけたのは───────


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⏰:12/09/17 11:58 📱:Android 🆔:l7CvryUY


#836 [ひとり]
『根岸っていいます。初めまして』


『初めまして、根岸くん。よろしくね』


『はい、よろしくお願いします』






心臓に悪いわッッツ!



何これッッッ!?何この感じッッッ!?
いやいや、別に二人にしたら何気ないやり取りだ。落ち着け、落ち着くんだ望。


俺の心の臓は、ものっそい勢いで暴れまくっている。


昔の彼女と、今の、彼氏?

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⏰:12/09/17 11:58 📱:Android 🆔:l7CvryUY


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