triangle
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#61 [ロー]
「あ!なんだよその間?」

今度は俺が上になる番だったのに、急に大輔は振り向いて興味深々に目を輝かせた。


「なんもねーよ」


ぶっきらぼうに答えると、また大輔は頬をふくらませてみせた。
今度もやっぱりスルーで。

⏰:10/01/21 00:10 📱:SH01B 🆔:OLdjix/w


#62 [ロー]
「ストレッチ終わったか〜?」

ちょうどその時、練習開始時間から30分も遅れて湯川コーチがグランドに現れた。

「湯川ちゃん、おせーよ!」

大輔は俺のスルーにもめげず、頬を膨らませ続けていたが、湯川コーチの方を振りかえって文句をたれた。

「あ、悪りぃ」

全く悪いとは思っていないであろう笑顔で、湯川コーチは軽く答えた。腹が立つほどの爽やかさで。

⏰:10/01/21 00:12 📱:SH01B 🆔:OLdjix/w


#63 [ロー]
「ぢゃあ監督まだ来ないし、とりあえず外周でもするか。そーだな・・・」

湯川コーチはそこで言葉を切り、わざとらしく考えるような素振りをしてみせた。

「20週とか挑戦してみるか!」

1、2年生の集団のあちこちから小さなブーイングがもれる。

⏰:10/01/22 21:34 📱:SH01B 🆔:ZBvTVIA.


#64 [ロー]
「え、足りないって?」

湯川コーチが笑顔で続けた。
「おまえらチャレンジャー!ぢゃあ30週!」


今度はみんな声を失った。俺たちの通常の練習メニューでは外周10週だ。それだけでも十分きついのにその3倍。
湯川コーチは楽しくて仕方がない、といった顔だ。その顔を見て、俺は絶対初めからこのつもりだったのだと確信した。

⏰:10/01/22 21:36 📱:SH01B 🆔:ZBvTVIA.


#65 [ロー]
「湯川ちゃん、休み明けにそらねーよ!」

ほとんど諦めながらも大輔が一応の反発をしてみせた。
みんながほんの僅かな期待を込めて、湯川コーチの方を一斉に見た。


「休み明けだからこそ、だよ。」

問答無用といった感じで湯川コーチが答えた。最高の笑顔で。

⏰:10/01/22 23:35 📱:SH01B 🆔:ZBvTVIA.


#66 [ロー]
「出た、ドS・・・」
隣で大輔が呟いた。おそらく、このグランドにいる全員が同じことを、頭の中で呟いているのは間違いない。


湯川コーチはいつもこんな感じだ。俺らを扱くことが生きがいとでもいうかのようで、一度言ったことは決して曲げることはない。
高校生の時に、海外の大学の、サッカーをやってるやつなら誰もが憧れるようなクラブチームから、オファーを受けていたというくらいだから、コーチとしては最高なんだけど。
練習以外でもいろんな相談にものってくれるし、みんなの頼れる兄貴って感じで、なんだかんだ言いながらみんな湯川コーチを慕ってるし、尊敬している。

⏰:10/01/22 23:37 📱:SH01B 🆔:ZBvTVIA.


#67 [ロー]
「つかりた〜」

練習終了後、部室に入るや否や大輔が叫びドアの前に倒れこんだ。
結局あの後、俺たちは外周30週という未知なる世界に挑まされ、みんなが立派に走り終えてみると、それをさせた張本人の湯川コーチからは「え、まぢで走ったんだ。やっぱ人間に限界はねぇーな!」と爽やかに言われ、みんな人間には我慢の限界というものがあることを確信し、しかしその後も繰り返される湯川コーチのむちゃ振りに堪え続けた後は、やっぱり人間には限界というものはないのかもな、と悟った。

⏰:10/01/22 23:40 📱:SH01B 🆔:ZBvTVIA.


#68 [ロー]
「おい邪魔だから」

「つめてー!部長に向かってなんてこと言うんだよ?」

「元だろ?元」

俺がそう言うと大輔はしぶしぶ立ち上がり、着替えを始めた。

大輔はこんな性格だけど、意外としっかりしてて、面倒見もよくて、明るくみんなを引っ張るのが上手い。だから部長に選ばれた。正直サッカーは俺の方が上手いけど、俺はそういうのが苦手だから副部長。まあ、面倒だし、なりたくもなかったけど。

⏰:10/01/22 23:44 📱:SH01B 🆔:ZBvTVIA.


#69 [ロー]
「まじ疲れたよな〜」

「ああ」

練習後、大輔とふたりでラーメンを食べに行った寮への帰り道、大輔が呟いた。というか、さっきからこの会話しかしていない気がする。このやり取りの後、無言の時間が流れ、しばらくするとまた大輔が疲れたと言い、俺が同意を示す。

♪〜ネコとアヒルが力を合わせて〜♪♪♪♪♪


急に、パターン化された流れを奇妙な歌がぶち壊した。最近テレビでよく耳にする、某保健会社CMソングだ。

⏰:10/01/27 07:16 📱:SH01B 🆔:fMdzdzIs


#70 [ロー]
「・・・はあ?なんだよ!その着信音!?」

間抜けな歌詞に、ふいをつかれ声が大きくなる。

「いーだろ?これ。超女ウケいいから!いわゆる掴みね。掴み!」

大輔は満面の笑みで得意げに答えた。

・・・くだらない。

俺は呆れながら言った。
「早く出たら?」

⏰:10/02/02 19:25 📱:SH01B 🆔:XoyvE7Nk


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