無題【BL】
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#105 [我輩は人間である]

そのままがむしゃらに突っ走ってきた道のりは、そう悪くもなく良くもなくで、何回も警察にお世話になった。

それでも同じ境遇にいた人たちとつるんで、それだけが千鶴の居場所だったのだ。

しかし、それもあっけなく崩れた。

ただ金持ちというだけで僻まれて、金づるなんじゃないかと自分を追い込むようになってから、千鶴はたった一つの居場所にも居れなくなった。


千鶴は孤独だった。

⏰:10/04/14 01:43 📱:S001 🆔:☆☆☆


#106 [我輩は人間である]



実は家庭教師が家を訪ねてきたのは今回だけではない。
二人来て二人共千鶴を知るなりリタイアしていっている事を経験しているからこそ、大政もすぐに引き下がってくると思ったのだ。

つられるのは結局金に目が眩んだからで、他に理由はない。
俺じゃなくみんながみんな金なんだ。


大政は立ち上がった。
「そうだな…」

ゆっくり千鶴に近付いて、威嚇した猫のようにゴロゴロと鳴きそうな顔に思わず苦笑する。

⏰:10/04/15 02:04 📱:S001 🆔:☆☆☆


#107 [我輩は人間である]

「50点」
「…は?」
「来月の中間で一個でも50点取れたら辞める」
「…は?」

二週間位しかない期間の中で……?
バカじゃないのか。

千鶴は数秒固まってから吹き出して笑いながら手をヒラヒラと顔の前で振る。
冷蔵庫からコーラを出してキャップを捻りながらもまだ笑う千鶴に大政はム、と眉を寄せた。

「言っとくけど俺バカだから。50点なんて中学の期末……、期末。中二の期末の国語以来だからな?59」

⏰:10/04/15 02:38 📱:S001 🆔:☆☆☆


#108 [我輩は人間である]

フンと鼻を鳴らして千鶴は得意気に言う。

「じゃあ無理だ」
「は?」
「そんなんなら無理だ無理。やっぱ40に引き下げよう」

やっぱし50点はな…、とわざとらしく呟きながら額に手を当てる。両目を覆うように隠してチラリと指の隙間から千鶴を観察した。

さっきからコロコロと言葉が変わって動揺しているというより、大政から見下された感がさっきの言葉で強かったのか気にくわない反応を見せている。

黒目がこちらに向いた瞬間大政はかかったと確信した。

「50点で!!みくびんじゃねーぞコノヤロー」


まさか本当に引っかかるとは。

すぐにかかった目の前の獲物があっさりと捕まりすぎて、可笑しくて笑いを堪える大政であった。

⏰:10/04/15 05:50 📱:S001 🆔:☆☆☆


#109 [我輩は人間である]





「違う違う。ここ代入して、」
「……あ゛ーっ、もうっ」

リビングに千鶴の呻き声にも似た声が響いた。
まんまと大政の作戦にハマって五日目。
男二人、参考書や大政がまとめたノートを見ながら今は数学のお時間だ。

どんなに頭がクラクラして参考書に書いてあることが意味不明だったとしても、自分から話に乗ったので逃げ出すことは嫌だった。
売られた喧嘩は買うのが千鶴の考えで、逃げ出すなんてプライドが許さない。

喧嘩じゃ強いのに…、今にもパンクしそうな頭の中で千鶴は弱々しく呟いた。

⏰:10/04/16 00:12 📱:S001 🆔:☆☆☆


#110 [我輩は人間である]


この五日間で千鶴は数学が得意だと大政は気付いた。
因数分解なんかほんの一時間で公式を簡単に覚えるし、千鶴の父親から全く勉強ができないと聞いていたが思ったより手こずることはない。

本人も負けず嫌いなのか、詰まったりイライラし始めた時はちょいちょい挑発するような言葉をかけてやると、嫌嫌ながらもちゃんと問題に向き合っている。

この五日間で大政は千鶴をコントロールできるようになっていた。
警察沙汰も度々だと聞いていたがこれなら案外―――。

⏰:10/04/16 01:43 📱:S001 🆔:☆☆☆


#111 [我輩は匿名である]
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⏰:10/04/16 02:01 📱:SH904i 🆔:☆☆☆


#112 [我輩は人間である]


「おい、ここ教えろよ」
不機嫌丸出しな声で開いた参考書を大政に押し付けてシャーペンをカチカチと芯を新しく出す。

ぶっきらぼうな態度にも慣れたし何よりわからないところはちゃんと聞いてくる所がカワイイ奴だと思う。

ノートに数式を書いてポイントポイントを細かく言うと隣のヤンキーはふむふむと小刻みに顔を縦に動かした。
時計の針はもうすぐ9時を指そうとしていた。

⏰:10/04/25 03:22 📱:S001 🆔:☆☆☆


#113 [我輩は人間である]


「よし。あと練習5解いたら終わりにしよう」
「マジで?、ってまだまだじゃん」

千鶴は問題に取りかかりながら喜びを含んだ声を出した。
もうそんな時間かあ…とニヤニヤしながら連動して時計に目を向けるとまだ10時になっていない。

いつも切り上げるのが10時ちょい過ぎのペースなのが、突然1時間近く早まって嬉しいやらなんだか寂しいやら。

…………寂しい?



悪いなと大政は教材を鞄に詰め出した。

「明日には実家に帰らなきゃいけないんだ」
「は?何それ。散々無理矢理勉強押し付けといて自分の用は最優先ってか」

⏰:10/04/25 03:36 📱:S001 🆔:☆☆☆


#114 [我輩は人間である]

申し訳なさそうな顔を尻目、千鶴は言った。口が勝手に動いたとでも言うのだろうか、

「結局お前だってどうせ俺から逃げてくんだろ。そういう魂胆見え見えなんだよ」

あれよあれよと

「また明日か明後日になったら出ていって、ちゃっかりいなくなってくんだろ」

口が動いていく。

「さっさと出てけよ!先生!!」


自分でも驚くほどの口振りだ。
何を思ってこんなことを言ったのかもわからない。
一気に頭に血が昇っていくのがわかってその瞬間むしゃくしゃした気持ちが千鶴の中に込み上げた。

⏰:10/04/25 04:38 📱:S001 🆔:☆☆☆


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