浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#331 []



「風邪‥引きます、よ」

目を開けると
目の前で小さく丸まる猫一匹

羽織物をかけてやると
微かに声を立てた


『‥拾ってくれて、ありがとお』

‥珍しく素直になるもんで、
起きているとも気付かずに
‥本当に鈍いです、ね

⏰:10/02/02 23:00 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#332 []
 
寝ている時だけは大人しい
子供同然じゃあ、ないですか


目を細めて前髪をそっと撫でた

するすると指の隙間を抜ける
細くて艶のある具合が
何とも垢抜けていて
子供だと言えないほどに美しい

⏰:10/02/02 23:01 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#333 []
 
「ちょいと‥
無防備すぎやしやせん、か」

裾の辺りが少しはだけて
女らしい脚が見える


小さく開いた手に指を添えれば
赤ん坊のように
ぎゅっと握りしめられた

⏰:10/02/02 23:02 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#334 []
 


「本当に‥放っておけやしない」



呆れるように溜め息をつき
緩く笑った

⏰:10/02/02 23:02 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#335 []




あぁ‥寝ちゃった。


壱助さんが起きたら
"寝顔見ちゃったぁーっ"って
からかってやりたかったのに

まぁそんなの
‥からかいの内に
入らないんだろうけど

⏰:10/02/02 23:03 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#336 []
 
「‥んん」

乱暴に目をこすると
辺りがぼやけて見えた

その時の顔と言ったら
相当酷かったに違いない

「あ‥壱助さん、起きてる」

あたしが買ってきた
新しいお茶の缶が開けられていた

⏰:10/02/02 23:03 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#337 []
 
いつものように
正座してお茶を啜る姿を見て
夢でないと確信する


「あぁ、やっと」

顔をちらりとも向けず
そう言った

自分にかけてあった
壱助さん香りがする羽織物
‥何だかいい目覚め

⏰:10/02/02 23:04 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#338 []
 
「夢でも見ました、か」

「夢‥?」

夢なんて見たかな‥
覚えてないや


すると壱助さんは
顔だけこちらに向けて
視線を落とした

⏰:10/02/02 23:04 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#339 []
 
「"壱助さん、
お慕い申し上げておりました"と
寝言で、言っていたもので‥」



一度瞬きをして
一気に顔に熱が走ったのは
言うまでもない。


"鈍い人です、ね"と
壱助はまた茶を啜った

⏰:10/02/02 23:05 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


#340 [笹]
第十一章 【魅せられて】

*。*。*。*。*
寝たふりをしてる壱助さんに
全く気付かずに
あれこれ思い耽って
あれこれ言ってみた香夜ちゃん

寝言なんて言ってないのに
まんまと壱助さんの悪戯に
はまって顔を赤くした香夜ちゃん

素晴らしいまでに鈍いです(笑)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/02/02 23:08 📱:D905i 🆔:0yxagqRA


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