浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#376 [笹]
お昼の街の賑わいとは
また違う雰囲気で
家族連れや恋仲の人達が
たくさんいた
周りの人たちに
あたしと壱助さんは
‥どう映ってるんだろう
一歩の距離がもどかしくなる
:10/02/04 19:18 :D905i :5gVCO4/Q
#377 [笹]
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「お父さん!!金魚すくい!!」
小さな女の子が
父親の浴衣の袖を引っ張った
「おぉ!懐かしいなぁ
やってみるかい?」
目線を合わせて小さく屈んで
答えた笑顔が羨ましい
思わず足が止まった
お父さん‥か
:10/02/04 19:19 :D905i :5gVCO4/Q
#378 [笹]
‥ギュウ
突然手に冷たい感覚
目をやれば真っ白で綺麗な手
「金魚すくい‥やりたい、かい」
視線を前に向けたまま
壱助さんがそう言った
「‥え?」
今日の壱助さんは
やっぱりどこか可笑しい
:10/02/04 19:19 :D905i :5gVCO4/Q
#379 [笹]
きっとこの握った手も
ぎこちない喋り方も
壱助さんなりの気配りだ
‥何となくそんな気がした
何も言わずに
あたしの答えを待つ
器用そうに見えて
案外不器用なのかもな‥
今日二つめの新しい発見
:10/02/04 19:20 :D905i :5gVCO4/Q
#380 [笹]
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結局金魚すくいやって
やっぱり壱助さん器用で
ひょいひょいすくうもんだから
叔父さんも困り顔
言うまでもなくあたしは
一匹もすくえず‥。
と言うか正直な所
壱助さんの横顔に見とれてた
睫‥また伸びてた気がしました。
:10/02/04 19:21 :D905i :5gVCO4/Q
#381 [笹]
"猫のくせに、
魚一匹も捕まえられぬとは‥
‥やれ、やれ"
クスっと鼻であしらわれ
いつもの調子の壱助さんに
少し緊張がほぐれた
:10/02/04 19:21 :D905i :5gVCO4/Q
#382 [笹]
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「あ!水飴だよ壱助さん!」
まるで子供なのだ
壱助さんの手を引いて
人混みを掻き分けて先走る
だけどそれでも構わない
だって水飴なんて久しぶりよ!!
「はい、はい」
水飴を手にしたあたしに
呆れるように返事をした
:10/02/04 19:22 :D905i :5gVCO4/Q
#383 [笹]
水飴をびろんと伸ばして
目を輝かせて巻き取る
キラキラ光るそれを
目を細めて眺める壱助さんと
自然と目があった
「‥食べますか?」
「甘味は‥好みません、で」
あぁそうだったと
気落ちするあたしの手を
また引いて歩く
:10/02/04 19:22 :D905i :5gVCO4/Q
#384 [笹]
親子みたいかな?
それとも恋仲同士?
‥何でもいいのだ
ただ今の時間が心地いいの
:10/02/04 19:23 :D905i :5gVCO4/Q
#385 [笹]
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人が疎らになり
明かりもあまり届かない土手へ
蒸し暑かった人混みで
じわりと汗をかいた背中に
ひんやりした心地いい風が吹く
水飴を銜えて
浴衣を気にしながら腰掛けた
:10/02/04 19:23 :D905i :5gVCO4/Q
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