浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#400 [笹]
思わず引きつる顔を
恐る恐る下に向けると
「‥え?」
そこにはあたしの着物に
ぎゅっとしがみつく子供
着物に顔を埋めたまま離さない
あたし‥子供産んだかしら
なーんて訳の分からんことを
真剣に考えてしまう
:10/02/05 22:19 :D905i :mdMMDFsU
#401 [笹]
「ごるぁぁぁああ!!!」
突然‥
物凄い形相をした男の人が
こちら目掛けて突進してきたのだ
‥いつだって死と隣り合わせ。
「ちょ‥何何なんなのー?!」
あたふたするものの
子供が地蔵のように重く
ぴくりともしない足
:10/02/05 22:20 :D905i :mdMMDFsU
#402 [笹]
し、し‥‥死ぬ。
_
:10/02/05 22:21 :D905i :mdMMDFsU
#403 [笹]
「こっち来るなよぉお!!」
「お前っ!!
米粒を茶碗に残すなって
あれだけ言っただろう!!」
は?
「見えなかったんだぁ!」
「言い訳するなー!!」
明らかに男の人の視線は
この子供に向いている
:10/02/05 22:21 :D905i :mdMMDFsU
#404 [笹]
「あ‥あのぅ」
あたしを盾にして隠れる子供
とっつかまえようと
あたしの前で機敏に動く人
そしてあたしの周りで始まる
いたちごっこ。
「一粒だけだろーっ!」
「お前っ見えてるじゃあないか!!」
「うぅ‥来るなぁあ!!」
‥厄介な物に巻き込まれました
:10/02/05 22:22 :D905i :mdMMDFsU
#405 [笹]
:
:
:
「いやぁーお恥ずかしい所を」
先程の鬼みたいな顔とは
打って変わって
がははと笑うその人は
"茂七"と言うらしい。
とても人がよさそうだ
隣にちょこんと座る
口を尖らせた少年は"正宗"くん
米一粒を残した少年だ
:10/02/05 22:23 :D905i :mdMMDFsU
#406 [笹]
「正宗は姉貴の子供でして」
「お姉さんの‥そうでしたか」
「姉貴は病弱なもんで、
よく俺が世話するんですが‥」
見る限り
あまり懐いてなさそうだ
「茂七‥怒ると怖いんだもん」
正宗くんが拗ねた様子で呟いた
子供らしい理由に
思わずクスリと笑ってしまう程
:10/02/05 22:23 :D905i :mdMMDFsU
#407 [笹]
「迷惑かけちゃいやしたし‥
飯でもおごらせてくださいよ!」
非常に爽やかである
うん‥いい青年ってかんじ
‥なんて品定めするほど
あたしは男を知りません
「本当ですかぁっ?」
食べ物には目がありません
:10/02/05 22:24 :D905i :mdMMDFsU
#408 [笹]
"道草を喰わない、こと"
‥鬼が呼んでいる
"でないと‥お仕置きです、よ"
か‥帰らねば
:10/02/05 22:24 :D905i :mdMMDFsU
#409 [笹]
「お言葉に甘えたい所ですが、
"鬼"に殺されるので‥あは」
「鬼?」
「鬼のような人が、待ってるので」
:10/02/05 22:26 :D905i :mdMMDFsU
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