浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#432 []
 
「それで‥此方が‥」

「‥香夜の兄、です」

あ‥兄と来ましたか?!
まぁ夫とかよりはましだけど

兄‥はぁ、
あたしの兄にしては美しすぎる

「え、ちょっと‥壱助さ‥」

「"お兄様"です、よ」

いつもより張った声が
ずしりと重くのし掛かる

⏰:10/02/06 21:23 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#433 []
 
「お兄様でいらっしゃいましたか
これは誠に無礼な事を‥」

深々と頭を下げる茂七さん

‥残念ながら
お兄様じゃないんですぅ

「いえ、いえ」

‥この雰囲気で
一体何を話すのか

⏰:10/02/06 21:23 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#434 []



「香夜さんは今お幾つで?」

カチャカチャ

「十八ですよっ」

ズルズル

「いやー一番美しい時だぁ!!」

カツカツ

「やだなぁーっ
そんな事ないですってー」

コツコツ

⏰:10/02/06 21:24 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#435 []
 
ねぇわざとでしょう?
ねぇわざとなんでしょう?

その音!!
食事の時なんて
あたしが音立てると
五月蠅いって怒るじゃない‥


「いち‥じゃない、お兄様?」

「何、か」

「もう少し‥」

⏰:10/02/06 21:25 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#436 []
 
「あぁ、
香夜は本当に良い妹でして‥
あれやこれやとお声が
良く掛かるんですが、ねぇ」

口角が上がった
しかも饒舌
声掛かってるのは貴方でしょ

「もう心に決めた者が
‥居るそうですぜ?」

"ねぇ"と横目で訴え
足をぐいっと踏みにじられ
強要される同意

⏰:10/02/06 21:26 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#437 []
 
「香夜さん‥そうなんですかい?」

茂七さんの見開いた目が
何とも印象的で

「ふぇっ?!
あぁ‥えっと‥まぁ‥うぅん」

語尾を弱めれば
潰され行く足の指

「ゔ‥い、居ますぅ!!!」

もうヤケだ
箸を握りしめて声を張る

折角、いい出会いだと思ったのに
あたし一生嫁に行けないのか‥

⏰:10/02/06 21:27 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#438 []



結局威圧感に負け
大したお話も出来ず終い

「ご馳走様でした
何か、空気悪くなってしまって
申し訳なかったです‥」

頭が上がりませんよ
お兄様‥鬼ぃ様。はは

しかし茂七さんの返事は
予想外だった

⏰:10/02/06 21:28 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#439 []
 
「いやぁそんなそんな!!
お兄様にも早速ご挨拶出来まして
‥これからが楽しみですね!!」

がははとまた笑い
あたしの肩をバシバシ叩く

これから?
‥あたし一応さっき
心に決めた人がいるって‥

⏰:10/02/06 21:28 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#440 []
 
「こんな別嬪さんと
恋仲になれるなんて
俺も運がいいなぁ!!」

ほ?
何を勘違いしてるのか
どこまで前向きなのか


「とんだ勘違い野郎です、ね」


背を向けてぽつり呟いたのは
もちろんお兄(鬼)様。

⏰:10/02/06 21:29 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


#441 []
 
刀で一突きするように
躊躇なく毒を吐く
その度ひやひやさせられるのは
言うまでもない


「さ、帰りますよ香夜さん」

腕を掴むでなく
ぎゅっとあたしの手を握りしめ
思い切り引き寄せられた

⏰:10/02/06 21:29 📱:D905i 🆔:uaVNeT2k


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