浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#36 [笹]
背筋がぞっとした
何かが不気味な冷たい物が
這い上がってくるような‥
「に、逃げようなんて‥!!」
「‥思っていらっしゃる」
鋭い眼差しが捉えて離さない
"イケない物に出くわした"
そんな気もしたけれど
美しすぎて、見とれてしまって
動けなくなっていた。
:10/01/26 16:10 :D905i :3fGEyA9k
#37 [笹]
‥見透かされてる?
特別な力でも持ってるの?
「あの‥」
だらしなく開けたままの口から
間の抜けた声が出た
その人は表情を全く変えずに
ゆっくりとこちらに視線を落とす
「何か、」
捕まえておきながら
その関心なさそうな声‥
:10/01/26 16:15 :D905i :3fGEyA9k
#38 [笹]
「どうするつもりですか?」
すると
やっと眉間がピクリと動いて
また同じ口調で"何を、"と言う
きっとこの人とあたしの性格は
正反対なのだと思う
ここまで白けてる人‥初めて
:10/01/26 16:20 :D905i :3fGEyA9k
#39 [笹]
ムスッとして少し睨みつける
‥動じない。
もっと睨みつける
‥全く。
ここまで来ると‥
何故か芽生える、寂しさ
:10/01/26 16:21 :D905i :3fGEyA9k
#40 [笹]
「どう、されたいんで?」
お茶をすすって放った声は
すごく低くて部屋中に響き渡った
「どうって‥
どうされたいも、こうされたいも
言わなくてもわかるでしょう?
所有物なんて嫌です!!絶対に」
つい声が大きくなってしまった
はっとして咄嗟に下を向く
:10/01/26 16:26 :D905i :3fGEyA9k
#41 [笹]
―‥沈黙
何故か急に恥ずかしくなる
「では‥夫婦にでも、なりますか?」
「め‥め、おと?!
ふざけるのもいい加減に‥」
と、言い終わる前に
あの綺麗な手で塞がれた馬鹿でかい声は情けなく語尾を弱めた
:10/01/26 16:32 :D905i :3fGEyA9k
#42 [笹]
「あまり大きな声を出されると‥」
ばつが悪そうに
眉を下げて小声で‥
初めて人らしい振る舞いを見た
「ほら‥、」
足音が近づいてきた襖に目をやる
:10/01/26 16:37 :D905i :3fGEyA9k
#43 [笹]
「壱助さん?
如何なさいましたか?」
襖の向こうから
落ち着いた女の人の声が聞こえた
「あぁ‥いえ、
どうか、お気になさらず」
目に見えない向こうの人に
その人は律儀に頭を下げた
足音が遠ざかると
すっと口元から冷たい感覚が消え
妙な緊張と息苦しさに
深く息を付いた
:10/01/26 16:42 :D905i :3fGEyA9k
#44 [笹]
あ‥なるほど、
「壱助‥さん?」
馴れ馴れしく、だけどぎこちなく
「‥」
興味なさそうな
冷たい目がこちらを向いたが
‥あたしは見逃さなかった。
"壱助さん"の口元が
少しだけ、ほんの少しだけ緩んだ
:10/01/26 16:47 :D905i :3fGEyA9k
#45 [笹]
:10/01/26 16:55 :D905i :3fGEyA9k
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