浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 🆕
#477 []
 
「高い着物ですから‥
汚されては困りやすから、ね」

そう言って
傘を少しこちらに傾けた

「やっぱり壱助さんって
案外優しいですよねっ」

「‥水溜まりにその顔、
突っ込まれたいんですかい?」

「いや‥結構です!!!」

壱助さんは
褒められるのが嫌いだそうです

⏰:10/02/08 20:15 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#478 []



雨となると
いつもの街もどこか寂しい
賑わいは雨音に変わる

「壱助さん、鯛焼き食べたーい」

「‥」

壱助さんの足が急に止まる
濡れぬように
慌てて傘の中に戻った

「どうしたんですか?」

⏰:10/02/08 20:15 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#479 []
 
壱助さんの視線の先には
小さな竹薮
薄暗くて気味が悪い

「‥血腥い」

「え?」

壱助さんは顔をしかめて
そこから目を離さない

雨音と竹のきしむ音の向こうに
聞こえたのは生々しく鈍い音
荒れ狂った女の声

⏰:10/02/08 20:16 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#480 []
 
「どうしてお前はいつもいつも!!」

バシンッバシンッ

「言うことが聞けないんだい!」

ドガッ

「この役立たず!!」

「‥ッゲホッ、かぁさ‥ん」

「お前なんかねぇ‥お前なんか」

⏰:10/02/08 20:16 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#481 []
 
足が震えた
何とも言えない感情が
わぁっとこみ上げてくる

悔しさに唇を噛み締め
拳を握った

自然とそちらへ足が向かう

「香夜さん‥」

行くなと壱助さんが
あたしの着物の袖を引いた

⏰:10/02/08 20:17 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#482 []
 


「‥死んじゃうかもしれない」



そう言って振り払い
声のするほうへ足を進めた

⏰:10/02/08 20:17 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#483 []



そこには物凄い形相をした
母親らしき女の人と
この雨の中
裸でうずくまる少年

少年の体は
いたるところに痣ができ
歪に腫れ上がった跡や
刃物で切られたような
鋭い傷が無数にあった

母親に思い切りぶたれ
蹴飛ばされ‥

⏰:10/02/08 20:18 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#484 []
 
昔の自分と少年を重ねた

「‥やめ‥なさいよ」

憤りに得体の知れない
幼い頃の感情が湧き上がる

「お前なんか
生まれてこなければよかった!!」

ドガッ

「ごめ‥なさい、ゲホッ‥んぐ」

少年の口から吐き出された
真っ赤な血が雨に消える

⏰:10/02/08 20:18 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#485 []
 
声を張ろうと
大きく息をすると
壱助さんがあたしの腕を掴んだ

「‥帰ります、よ」

「何言ってるんですか‥?
このままじゃあの子‥」

目の奥から今にも
熱いものが溢れそうで

今止めなかったら
この子は死ぬかもしれない
今あたしが助けなきゃ‥

⏰:10/02/08 20:18 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#486 []
 


「貴女に‥何ができるんで?」



いつになく真剣な眼差しが
訴えかける

⏰:10/02/08 20:19 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194