浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#514 [笹]
‥コツン
え?
恐る恐る目を開けると
近すぎてぼやけて見えるが
やっぱり美しい壱助さんの顔
:10/02/09 18:56 :D905i :rBP2/YbM
#515 [笹]
「な‥えぇ‥?」
触れていたのは
唇と唇ではなく額と額
残念ながら‥
いや、べ別に残念じゃないけど‥
消毒ではありませんでした
:10/02/09 18:57 :D905i :rBP2/YbM
#516 [笹]
しばらくの間壱助さんは
寝てるのかと疑うほどに
ぴくりともしなかった
火照った頬を
くすぐる規則正しい呼吸
こっちは緊張しすぎて
息苦しいと言うのに‥
壱助さん
いろいろと手慣れすぎです
:10/02/09 18:57 :D905i :rBP2/YbM
#517 [笹]
「壱‥助さぁん?」
すると
一時の眠りから覚めたように
目を開けてすっと顔を離した
それと同時にあたしは
その間呼吸できなかった分を
部屋の空気を全部吸い取るくらい
思いっきり体に取り込んだ
:10/02/09 18:58 :D905i :rBP2/YbM
#518 [笹]
「‥全く、」
いやいや
いきなりそんなことされた
こっちが全くですよ
「たったあれ如きで‥
熱を出すとは、ね」
「熱?」
:10/02/09 18:58 :D905i :rBP2/YbM
#519 [笹]
そう言われてみれば
朝からちょっと体が重かったかも
昨日の雨にやられたかな?
「情けない‥ですね」
はぁっとため息を吐くと
:10/02/09 18:58 :D905i :rBP2/YbM
#520 [笹]
ガサッ
一気に目の前が暗くなった
‥お茶の匂い
間違いなく
今あたしに被さってるのは
さっきまで壱助さんが手にしてた
お茶の葉の空袋
そっか‥
じゃあ今日はお茶お預けかぁ
:10/02/09 18:59 :D905i :rBP2/YbM
#521 [笹]
「‥ごめんなさい」
自分の声が袋中を駆け巡り
また耳の奥へ帰る
きっとお茶は
壱助さんの命の次に大切なもの
そう考えたら
何だか急に申し訳なくなった
:10/02/09 18:59 :D905i :rBP2/YbM
#522 [笹]
グシャッ
耳を突き刺すような音と共に
朝と同じ激痛が顔面に走る
「ったぁあいぃ!!」
何でこうも壱助さんは
顔面攻撃が好きなんだろうか‥
ただでさえ不細工なのに‥もう
:10/02/09 19:00 :D905i :rBP2/YbM
#523 [笹]
息つく暇もなく
壱助さんはやりたい放題
「うわっまぶしっ!!」
一気に袋を取り去られ
急にさす光の眩しさに
目の前が眩んだ
じーっとこちらを見つめる
美しい視線とぶつかった
:10/02/09 19:00 :D905i :rBP2/YbM
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