浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#579 []



理由は簡単で

これ以上
迷惑をかけたくなかった

あの日あたしの居場所は
壱助さんの隣しかないって
そう思った

だけど‥だけど違う
今までとは確実に何かが違う

⏰:10/02/14 22:38 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#580 []
 
いけないことに
気がついてしまった気がして


もう一緒に居られないって
‥そう思ったの



できるならこんなこと
したくなかった‥
離れたくなかった

⏰:10/02/14 22:38 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#581 []
 
意地悪だけど根は優しいし

あたしを認めてくれたから
あたしを助けてくれたから


「はぁ‥」

もう泣きそうだ
家出てから
泣かないって決めたのに‥

壱助さんといたら
すぐ泣いちゃう
‥居心地いいんだよね、それだけ

⏰:10/02/14 22:39 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#582 []
 
「猫ぉ‥
これからどうしよう」

野良猫がすり寄ってきた
そんなに可哀想に見えたかな

「‥行くあてがないや」

飢え死にするかも‥
んう‥壱助さぁん

「ミャァウ」

真っ黒な瞳が
こちらを覗き込む

⏰:10/02/14 22:40 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#583 []
 
「お前も‥独りかぁ」


思いっきり撫でてやる

毛の下から伝わる暖かさに
何故か胸が苦しくなった



‥また遊女屋かなぁ

⏰:10/02/14 22:40 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#584 []
 
「‥香夜ちゃん?」




「‥伊代さぁああぁん!」

⏰:10/02/14 22:41 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#585 []



「でもさぁ香夜ちゃん?
壱助さん心配するだろう?」

不安そうな顔で
伊代さんはお茶を差し出した

「でも‥
去るのもあたし次第だって
壱助さん言ってたし‥」

「んん‥まぁねぇ
あの人も‥」

そう言って眉を下げて
緩く微笑んだ

⏰:10/02/14 22:41 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#586 []
 
「‥?」

「香夜ちゃんと"同じ"さぁ」

「同じ?」

意味深な言葉を残し
頬杖を尽きながら団子を食らう


伊代さんはいつも幸せそう

⏰:10/02/14 22:42 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#587 []
 
湯飲みの中をぼうっと覗き込む

深い緑色の奥に
自分のみっともない顔が
ぼやけて映し出された


お茶‥まだ大丈夫だよね
この前買ってきたばかりだし

「‥はぁ」

体に染み付いた習慣が
余計虚しくさせて、ため息

⏰:10/02/14 22:42 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


#588 []
 
「でも、どうするんだい?
これから一人じゃあ‥」

「んー‥」

出された団子に目もくれず
緑色をじっと見つめる


「あたしんちでよけりゃあ‥
汚いけど、使うかい?」

「え?!いいんですかっ?」

⏰:10/02/14 22:43 📱:D905i 🆔:AHFqEp8k


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