浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#600 [笹]
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「‥あぁああ」
独りになると‥貴方ばかり
会いたくない
合わせる顔もない
‥だけど何処かで
ふらりと現れる壱助さんに
期待してるみたい
:10/02/14 22:59 :D905i :AHFqEp8k
#601 [笹]
「もぉ‥わかんないよぉ」
前のめりに突っ伏して
頭を掻きむしる
木の独特の慣れない香りに
顔をしかめ
恋しくなるは貴方の香り
‥こんな気持ち初めて
:10/02/14 23:00 :D905i :AHFqEp8k
#602 [笹]
「‥香夜さん?」
名前を呼ばれて
慌てて顔を上げると
「も‥茂七さん?!」
:10/02/14 23:00 :D905i :AHFqEp8k
#603 [笹]
:
:
茂七さんには失礼だけど
‥正直がっかり
その上なんとなく気まずい
「どうぞ」
ぎこちなく茶を差し出す
あー‥そろそろ壱助さん
お茶飲み切っちゃうかも
:10/02/14 23:01 :D905i :AHFqEp8k
#604 [笹]
「何でまたこんな所で?」
茂七さんは目を丸くして
湯飲みに手を添えた
何で‥何ででしょう
もう自分でもよくわからない
「ほら、あたしも
稼がなきゃなぁー‥なんて」
思いっきり顔を釣り上げて
作り上げた笑顔を向け
変におどけて見せた
:10/02/14 23:01 :D905i :AHFqEp8k
#605 [笹]
「偉いなぁ香夜さんは!!」
またがははと笑う
何て呑気なのかしら‥
気付けば、ほら
道行く人に目を凝らして
探してしまっているじゃない
一発で見つける自信はあるのに‥
:10/02/14 23:02 :D905i :AHFqEp8k
#606 [笹]
「そういえば‥
お兄‥じゃない、旦那は?」
お兄様でもいい
旦那様ならどれだけいいことか
あたしと壱助さんには
何の繋がりもない
:10/02/14 23:02 :D905i :AHFqEp8k
#607 [笹]
「あぁ‥えっと
本当は、旦那じゃないんです」
「え?!」
茂七さんの表情は
面白いほどにころころ変わる
「あたしはただ
あの方にお世話になってた‥」
:10/02/14 23:03 :D905i :AHFqEp8k
#608 [笹]
‥お世話になってた
「だけ、なんです」
こんなに薄っぺらかったのか
言葉にしてやっと気づく
何もなかった
壱助さんとの間には、何も
:10/02/14 23:03 :D905i :AHFqEp8k
#609 [笹]
「そうかそうか!!
と、言うことは‥やっぱり」
お世話になっただけじゃない
その上
縛られたり叩かれたり蹴られたり
酷い扱いだったじゃない
:10/02/14 23:04 :D905i :AHFqEp8k
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