浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#666 []
 
あっちこっちに角度を変えて
針を目で追っている

本当にもう少しで
その綺麗な顔まで縫いそうなほど

「あの‥やりにくいんですけど」

その手を止めれば

「いいじゃあ、ないですか」

いつもの調子
そんなに面白いだろうか

⏰:10/02/16 22:45 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#667 []
 
代わりに羽織っただけの浴衣
きちんと着ていないのは
初めてだから‥なんか新鮮で

それでいて今日は
やっぱり何処か‥うん
珍しく壱助さんから
寄ってきたからかな?


「‥ちょっと
あっち行ってて下さい」

⏰:10/02/16 22:46 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#668 []
 
「‥」


‥どうしてそんな
不機嫌になるんですか!!

切れ長の目で一度睨み付けて
仕方なさそうに腰を上げた


ひらり翻った浴衣から香る
壱助さんの匂いが鼻をくすぐる

⏰:10/02/16 22:46 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#669 []
 
胡座をかいて茶を啜り
外の世界に目を向けて


だらしなく下がった襟元の色気
ただの浴衣さえ
貴方が着れば一級品


‥あたしもあれくらい
美しく生まれたかったもんだ

⏰:10/02/16 22:47 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#670 []



「でーきたっ!!」

我ながら完璧
着物を宙に広げて
満足そうに微笑んだ

「壱助さーん、できましたよーっ」

「はい、はい」

返事をするものの
動こうとしないもんだから
自ら近寄った

⏰:10/02/16 22:48 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#671 []
 
「はいっどーそ!」

着物を差し出せば
"有り難い"とぽつり呟き
するりと袖を通した


今日の壱助さんは
とても穏やかな気がします

それから‥素直。

⏰:10/02/16 22:49 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#672 []
 
「ちょいと手が‥
冷えちまったもんで、ね」

袖に閉まっていた両手を
此方に差し出しながら言った


いつも冷たい気もするけど‥

脱いだ浴衣をあたしの肩にかけ
にやり口角をあげる

⏰:10/02/16 22:49 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#673 []
 

「暖めてくれや‥しやせん、か」


浴衣ごと包み込むように
抱き寄せて
胸の中に押し込められた

少し冷えた体と暖かな鼓動
何故だかこの上ない
幸せを感じて‥

⏰:10/02/16 22:50 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#674 []
 

最初から
こうしたかったのかな、なんて
仕様もなく良いように考える


やっと貴方に
‥追いつけた気がします。

_

⏰:10/02/16 22:51 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


#675 [笹]
第二十章 【抱き寄せて】

*。*。*。*。*
甘めです(´゚ω゚`)

壱助さんって
意外と寂しがり屋w?
香夜ちゃんに
構ってほしいんだと思う←
香夜ちゃんを抱きしめたくて
たまらないんだと思う←

壱助さんの意外性を
表現したかったですw
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/02/16 22:54 📱:D905i 🆔:H0XuP1PQ


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