浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#705 [笹]
壱助さん‥やだよ
あたしが子供だから?
あたしじゃ満たされないから?
あたしは‥貴方がいいのに
:10/02/18 20:12 :D905i :4LI2ZH.E
#706 [笹]
「まぁ、まぁ」
そう言うと壱助さんは
赤い爪を優しく払いのけ
睫を伏せた
「‥壱助さん、抱いとくれよ」
甘ったるい声が響く
暴れすぎて食い込む縄
じりじりと痛みが熱さに変わる
:10/02/18 20:13 :D905i :4LI2ZH.E
#707 [笹]
悔しくて悔しくてたまらない
思いきり噛み締めると
布に滲んだ鉄分が
舌に流れ込んだ
「あの子と同じだろう?
あの子と何一つ変わらない‥
それとも何だい‥
あんな小娘を慕ってるとでも?」
挑発的に腕を首に絡ませて
紅に染まった唇を
壱助さんの首筋に寄せた
:10/02/18 20:14 :D905i :4LI2ZH.E
#708 [笹]
あの子って誰だろう‥
壱助さんの恋仲だった人?
あたしとは
恋仲でも何でもないのに
どうしてこんなに
気になっちゃうんだろう‥
壱助さんには
あたしなんか釣り合わない
わかってるのに
:10/02/18 20:14 :D905i :4LI2ZH.E
#709 [笹]
「香夜さんを‥ご存知で?」
微動だにせず唇だけ動かした
「まだまだ子供じゃないか‥
あんなのよりも‥ねぇ?」
そうだ‥
誰から見ても
あたしはまだ子供
壱助さんも
あたしのことなんて
相手にしてないかもしれない
:10/02/18 20:14 :D905i :4LI2ZH.E
#710 [笹]
蛇のように絡みつき
舌を頬に這わせた
「そうです、ね
確かに‥子供だ」
ほらやっぱり
期待して盛り上がってるのは
あたしだけなんだ
:10/02/18 20:15 :D905i :4LI2ZH.E
#711 [笹]
納得しようと
自らに語りかけても
溢れ出す涙は止まらない
今にも重なりそうな唇
思わず息をひそめた
「しかし‥」
―‥目の前で重なった
:10/02/18 20:15 :D905i :4LI2ZH.E
#712 [笹]
欲望をかき回すように
お互いを弄り
漏れる女の吐息と
冷静な顔つきの貴方
色がましいほどの接吻
耳にへばり付く音
その目にあたしは映らない
‥このまま消えてしまいたい
事が一気に重なりすぎて
自分を見失ってしまいそう
:10/02/18 20:16 :D905i :4LI2ZH.E
#713 [笹]
:
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「ぎゃあぁああぁ!!!」
それは突然だった
いつの間にか二人は離れ
悲鳴を上げて悶える女の姿
ぺろりと舐めた壱助さんの唇には
真っ赤な血液
:10/02/18 20:17 :D905i :4LI2ZH.E
#714 [笹]
転がる女の口からも
同じ色の液体が滴る
「私は、好き者なもんで‥ね」
横目でその姿を見つめ
すぐさま腰を上げた
:10/02/18 20:17 :D905i :4LI2ZH.E
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