浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#788 [笹]
だけど今日は‥
すっと目が覚めた
痛みはない。
春の柔らかな風が頬をくすぐった
「おはよ‥ございます」
:10/03/08 17:30 :D905i :6zJg1U3A
#789 [笹]
呂律の回りきらない
寝ぼけ眼でそう言った
珍しく着くずした着物
胡座をかいてぼうっとしてる
まさか‥寝起き?
「随分と‥早いもんだ」
:10/03/08 17:31 :D905i :6zJg1U3A
#790 [笹]
よく見ればまだ日は昇りかけ
太陽の光がこちらに差し込む
「あぁ‥うんと
何か目が覚めちゃって」
胸元を整え髪を結い直せば
どことなく‥
穏やかな表情の壱助さん
:10/03/08 17:31 :D905i :6zJg1U3A
#791 [笹]
「おや、おや」
眠そうなその目は
とろんと睫で覆われ
無防備なまでの唇に
あたしの胸が鳴いた
どうしてこうも‥
いちいち色気を振りまくのか
いつだってあたしの鼓動は
忙しなく遊ばれる
:10/03/08 17:32 :D905i :6zJg1U3A
#792 [笹]
「夢でも‥見ました、か」
「‥夢、あぁ‥うぅん」
誤魔化すのは無駄だと
言わんばかりに
こちらに向けられた鋭い視線
「い‥壱助さんこそ!!」
:10/03/08 17:32 :D905i :6zJg1U3A
#793 [笹]
壱助さんこそ何だと言うのかしら
あたしの口は‥もう
とろけそうなあたしの頭の中は
まだまだ目覚めない様子
「何、か」
にこっとつり上がった口元に
応じるように瞳が笑う
:10/03/08 17:33 :D905i :6zJg1U3A
#794 [笹]
壱助さんが‥わ、笑ってる
相変わらず美しい手で
膝の上に頬杖をついて
うっすら浮かべた笑みを
惜しげもなく向けられた
何を企んでるのかしら‥?
「え‥ええっと」
:10/03/08 17:33 :D905i :6zJg1U3A
#795 [笹]
残念ながら寝起きの頭は働かず
‥もとから
働かす頭もないけれど
「‥ゆ、夢!
見たんじゃないですか?!」
訳の分からぬ発言を
壱助さんは軽く
クスッと鼻であしらった
:10/03/08 17:34 :D905i :6zJg1U3A
#796 [笹]
"壱助さんこそ
夢見たんじゃないですか?!"
うん‥意味がわからない
「ゆ、め‥
そうですねぇ‥見ました、ね」
珍しくあたしの問いかけに
まともに答えた‥!!
おかしい‥怪しいわよ
:10/03/08 17:35 :D905i :6zJg1U3A
#797 [笹]
ゆっくり昇る光が
壱助さんの頬を照らした
透き通るような肌
もう、恐ろしいくらい‥
「どんな夢?」
前のめりになり
興味津々に目を輝かせてみた
だって壱助さんが
自分の内を語るなんて
あり得ないことだから
:10/03/08 17:35 :D905i :6zJg1U3A
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