浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#868 [笹]
顔面が痛くない朝が
もう物足りなくなってる
壱助さん‥
「あの‥」
「あの方の元へ
帰ってしまいますか?」
少し寂しそうな幸太郎さんの表情
下がった眉に胸が痛む
:10/03/14 20:05 :D905i :ZQnjeNcY
#869 [笹]
『「‥香夜」』
絡まった腕が
ぎゅっと締め付けて
なぜか目の奥が熱くなった
幸太郎さんの声が
耳の奥を抜けて
記憶の隅のお父さんの声と重なる
:10/03/14 20:06 :D905i :ZQnjeNcY
#870 [笹]
‥どうしよう
やっぱりあたし、おかしい
混じり合った灰色が
あたしの中を蝕んで‥
「自分の元で‥暮らしませんか?」
例えばそれが
甘い嘘だとして‥
:10/03/14 20:06 :D905i :ZQnjeNcY
#871 [笹]
:
:
「はぁ‥」
なぜか妙に汗をかく
じわじわと熱を帯びる体を
ばしんと叩いて引き締めた
‥娘さんの下駄はない
もう帰ったのかな
「‥ただいまぁ」
:10/03/14 20:07 :D905i :ZQnjeNcY
#872 [笹]
ゆっくりと襖を開ければ
いつも通りの光景
胡座をかいた膝の上に
華奢な細い手で頬杖て
ただぼうっと外を眺める
少しだけ
心配しててほしくて
貴方の忙しない姿が見たかった
もう‥今日で、
:10/03/14 20:07 :D905i :ZQnjeNcY
#873 [笹]
「どう‥されたんで?」
立ちすくむあたしに
いつもの口調で問った
壱助さんが考えてること
‥今でもわからない
一緒にいた時間は
長いはずだったのになぁ
空っぽの時間、虚空
:10/03/14 20:08 :D905i :ZQnjeNcY
#874 [笹]
「‥壱助さん」
「ちょいと‥
腰くらい、下ろしやせんか?」
目の奥の一番柔らかいとこを
一突きするような
鋭い視線に肩をびくつかせた
あの娘さんとは
寝てしまったんだろうか
:10/03/14 20:08 :D905i :ZQnjeNcY
#875 [笹]
恋仲でもないのに
妬いてしまってる‥
だけどあたしが求めてたのは
‥お父さんの、
幸太郎さんの温もり
:10/03/14 20:09 :D905i :ZQnjeNcY
#876 [笹]
:
:
目を魚のように泳がせて
落ち着きを無くし‥
元から落ち着きがないと言えば
否めませんが、ね
あの男に抱かれちまったか
翻弄された‥と
:10/03/14 20:09 :D905i :ZQnjeNcY
#877 [笹]
「あの娘さんは‥?」
「もう、帰りましたぜ」
「そうじゃなくて‥」
言いたい事など
最初からわかっている
「"抱いた"」
そう呟けば聞く耳も持たず
体をびくつかせ着物を握りしめた
:10/03/14 20:10 :D905i :ZQnjeNcY
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