浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 🆕
#871 []



「はぁ‥」

なぜか妙に汗をかく
じわじわと熱を帯びる体を
ばしんと叩いて引き締めた


‥娘さんの下駄はない
もう帰ったのかな


「‥ただいまぁ」

⏰:10/03/14 20:07 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#872 []
 
ゆっくりと襖を開ければ
いつも通りの光景

胡座をかいた膝の上に
華奢な細い手で頬杖て
ただぼうっと外を眺める


少しだけ
心配しててほしくて
貴方の忙しない姿が見たかった


もう‥今日で、

⏰:10/03/14 20:07 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#873 []
 
「どう‥されたんで?」

立ちすくむあたしに
いつもの口調で問った

壱助さんが考えてること
‥今でもわからない


一緒にいた時間は
長いはずだったのになぁ

空っぽの時間、虚空

⏰:10/03/14 20:08 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#874 []
 
「‥壱助さん」

「ちょいと‥
腰くらい、下ろしやせんか?」

目の奥の一番柔らかいとこを
一突きするような
鋭い視線に肩をびくつかせた


あの娘さんとは
寝てしまったんだろうか

⏰:10/03/14 20:08 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#875 []
 
恋仲でもないのに
妬いてしまってる‥


だけどあたしが求めてたのは

‥お父さんの、
幸太郎さんの温もり

⏰:10/03/14 20:09 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#876 []



目を魚のように泳がせて
落ち着きを無くし‥

元から落ち着きがないと言えば
否めませんが、ね


あの男に抱かれちまったか
翻弄された‥と

⏰:10/03/14 20:09 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#877 []
 
「あの娘さんは‥?」

「もう、帰りましたぜ」

「そうじゃなくて‥」

言いたい事など
最初からわかっている

「"抱いた"」

そう呟けば聞く耳も持たず
体をびくつかせ着物を握りしめた

⏰:10/03/14 20:10 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#878 []
 
「‥と言えば、
どう‥されるんで?」

結局信じたら負けで
無意識のうちに貴女に‥
身を委ねてたのかもしれない


「‥あたし、えっと」

その戸惑いが唇の微妙な動きに
こんなにも‥
惑わされてしまう、とは

⏰:10/03/14 20:10 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#879 []
 
私は何時からこれほど
弱っちまったのか‥ねぇ


「抱いちゃ‥居ませんが、ね」

指に絡みついた粘液
耳にへばりついた水音

どんなに強請られても
どうにもならなかった

最早‥末期、ですかね

⏰:10/03/14 20:11 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


#880 []
 
「え‥」

ただ貴女を困らせたかった
素直になれやしないもんで

こう意地悪くすることが
私にとっては貴女を引き止める
最高の手段、でしたから


ばつが悪そうに眉を下げた

⏰:10/03/14 20:11 📱:D905i 🆔:ZQnjeNcY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194