浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#916 []
 
「なぁに‥食らいやしません、よ」

その美しい手が
あたしの頭を一撫ですると
二本の細い指に摘まれた
桜の花びら

それを日の光にかざし
緩く微笑んだ

「春です、ね」

その姿はとても煌びやかで
見とれてしまったの

⏰:10/03/20 21:26 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#917 []



鮮やかに桜色に染まった街外れ
これは絶景、間違いないよ

揺れる花に人々の賑わい
酒の甘い香りがほんのり漂う

酔っ払いは好まない
だけど花見の時くらいは
心を許してしまうんだ

「ほぉう‥酒豪、ときたか」

⏰:10/03/20 21:26 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#918 []
 
酒飲みを見つめたあたしに
壱助さんの低い声がかかる

「え‥ち、違いますよ!!
あたしお酒得意じゃないし!!」

「それは、それは
‥良い事を聞きました」


細めた目で此方を見つめる
何を企んでいるのやら

⏰:10/03/20 21:27 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#919 []
 
「本日は‥盛大に、いきますぜ」

片手に二本ずつ一升瓶を抱えて
微笑んだ貴方
以外とこの腕は力がある


どこから持ってきたんですかそれ
酒豪は貴方でしょう‥?

⏰:10/03/20 21:27 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#920 []



「あ‥伊代さん!!」

「香夜ちゃんじゃないかぁ!!
久しぶりだねぇ」

相変わらず元気な伊代さん
ここ最近何かと忙しくて
顔出しができてなかった

「伊代さんもお花見ですか?」

「出張だよぉ!!」

⏰:10/03/20 21:27 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#921 []
 
この笑顔が好きだ
くしゃっと笑って
ぽんと肩をたたかれる

「花見にゃ団子だろう?
だからこうして、売りに来たのさ」


なるほどと頷き
目の前に置かれた
色とりどりの団子に目を向ける

⏰:10/03/20 21:28 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#922 []
 
「じゃあ伊代さんっ
お団子くださいなっ」

「はいよぉ!!
そいやぁ‥壱助さんは?」

団子を手際よく皿に乗せ
真っ黒な瞳が此方を見つめる


「"酒のお供が欲しいです、ねぇ"
って‥お使いに来たわけです」

⏰:10/03/20 21:29 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#923 []
 
あの人は本当に動かない
相当な事がないと動かない
そしてあの言葉の威圧感
‥遠まわしに言わなくても

"あの人らしいね"と呟いて
沢山の団子を手渡された

「香夜ちゃん!!
乗せられちゃだめよぉ?」

別れを告げた背中に
一言そう告げられた
‥何の事だろう

⏰:10/03/20 21:29 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#924 []



"主人"の元へ戻れば
桜の木に寄りかかり
立て膝をついてすでに飲酒中

はらはらと舞う花びらを
愛おしそうに見つめて
お猪口を口に運ぶ

何て綺麗なんだろう
その色っぽさに何度嫉妬した事か

⏰:10/03/20 21:31 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


#925 []
 
「はい、どーぞ」

山のかかった調達品を
目の前にどさっと差し出せば
一瞬その量に目を見開いた

「‥食いしん坊」

鼻で笑いながら
横目でちらり見つめられ

「な‥別に
あたし一人分じゃないですぅ!!」

⏰:10/03/20 21:31 📱:D905i 🆔:Z99/cef.


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