浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#918 [笹]
酒飲みを見つめたあたしに
壱助さんの低い声がかかる
「え‥ち、違いますよ!!
あたしお酒得意じゃないし!!」
「それは、それは
‥良い事を聞きました」
細めた目で此方を見つめる
何を企んでいるのやら
:10/03/20 21:27 :D905i :Z99/cef.
#919 [笹]
「本日は‥盛大に、いきますぜ」
片手に二本ずつ一升瓶を抱えて
微笑んだ貴方
以外とこの腕は力がある
どこから持ってきたんですかそれ
酒豪は貴方でしょう‥?
:10/03/20 21:27 :D905i :Z99/cef.
#920 [笹]
:
:
「あ‥伊代さん!!」
「香夜ちゃんじゃないかぁ!!
久しぶりだねぇ」
相変わらず元気な伊代さん
ここ最近何かと忙しくて
顔出しができてなかった
「伊代さんもお花見ですか?」
「出張だよぉ!!」
:10/03/20 21:27 :D905i :Z99/cef.
#921 [笹]
この笑顔が好きだ
くしゃっと笑って
ぽんと肩をたたかれる
「花見にゃ団子だろう?
だからこうして、売りに来たのさ」
なるほどと頷き
目の前に置かれた
色とりどりの団子に目を向ける
:10/03/20 21:28 :D905i :Z99/cef.
#922 [笹]
「じゃあ伊代さんっ
お団子くださいなっ」
「はいよぉ!!
そいやぁ‥壱助さんは?」
団子を手際よく皿に乗せ
真っ黒な瞳が此方を見つめる
「"酒のお供が欲しいです、ねぇ"
って‥お使いに来たわけです」
:10/03/20 21:29 :D905i :Z99/cef.
#923 [笹]
あの人は本当に動かない
相当な事がないと動かない
そしてあの言葉の威圧感
‥遠まわしに言わなくても
"あの人らしいね"と呟いて
沢山の団子を手渡された
「香夜ちゃん!!
乗せられちゃだめよぉ?」
別れを告げた背中に
一言そう告げられた
‥何の事だろう
:10/03/20 21:29 :D905i :Z99/cef.
#924 [笹]
:
:
"主人"の元へ戻れば
桜の木に寄りかかり
立て膝をついてすでに飲酒中
はらはらと舞う花びらを
愛おしそうに見つめて
お猪口を口に運ぶ
何て綺麗なんだろう
その色っぽさに何度嫉妬した事か
:10/03/20 21:31 :D905i :Z99/cef.
#925 [笹]
「はい、どーぞ」
山のかかった調達品を
目の前にどさっと差し出せば
一瞬その量に目を見開いた
「‥食いしん坊」
鼻で笑いながら
横目でちらり見つめられ
「な‥別に
あたし一人分じゃないですぅ!!」
:10/03/20 21:31 :D905i :Z99/cef.
#926 [笹]
結局いつも通り
意地になって反論してしまう
乗せられるとは
こういうことかな?
隣に腰を下ろせば
ふわり漂う壱助さんの香り
着物の襟から伸びた
首筋が淡く溶けてしまいそう
何だか緊張する
体がじわりと熱を帯びた
:10/03/20 21:32 :D905i :Z99/cef.
#927 [笹]
「おや‥何処かで酒を
召してきたんですかい?」
「飲んでないですよっ!」
そう答えれば怪しげに笑い
細い指があたしの頬に触れた
「良い色に染まってます故‥
そうなのかな、とね」
:10/03/20 21:32 :D905i :Z99/cef.
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