浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#89 []
 
伊代は深くため息を付いて
"全く‥"と頭を抱えた

「そんな言葉、
若い子が分かる訳ないだろう?
その子の反応は妥当だよ、全く」

「そうですか、ね」

無関心そうに団子を口に入れ
満足そうな顔をする

⏰:10/01/28 14:27 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#90 []
 
「ちょいと壱助さん!!
そんな純粋な子、
からかうのは程々にしなよぉ?
ましてや、維持っ張りの子を‥」

眉間に軽くしわを寄せた伊代を
横目でちらりと見つめる

「本当に‥"這っても黒豆"
素直に止めればいいものを、
維持を張って‥ねぇ

‥仕様がない"猫"です、ね」

⏰:10/01/28 14:32 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#91 []




――‥花街
そこは遊女屋が集まる町の事。

本来あたしみたいな生女が
足を運ぶような所じゃない。

「いや‥でも‥」

『宿代を‥
払ってあげてると言うのに、』

「引き下がるわけには‥」

『あぁ‥"所有物"には
宿代はかかりませんでした、ね』

「いかない‥!」

⏰:10/01/28 14:38 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#92 []
 
壱助さんの言葉が頭をよぎる
悔しい‥情けない。

唇を思い切り噛み締めて
一軒の遊女屋に足を踏み入れた


絶対‥ぜぇぇぇぇったい!!
稼いで、見返してやるんだから!!

⏰:10/01/28 14:41 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#93 []




団子の串を静かに皿に置いて
"ご馳走様でした"と手を合わせる

「でも、壱助さんよぉ‥
心配してなそうな素振りだけど
本当は
居ても立っても居られなくて
出てきたんじゃないのかい?」

ニヤニヤしながら
伊代は壱助の脇腹を肘で小突いた

⏰:10/01/28 14:45 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#94 []
 
「まさか、
心配するも何も‥
"産毛ばかりの捨て猫"ですから
誰でも良いって訳じゃ
ないでしょうから、ね」

すっと腰を上げて下駄を履く

「男の力にゃ、勝てないよぉ?
可愛い子なんだろうから‥
すぐに客が‥」

そう言い終わる前に
軽く頭を下げて去っていった

⏰:10/01/28 14:50 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#95 []
 
「意地っ張りなのは‥




"おあいこ"なんじゃないかねぇ」



伊代は、壱助の背中を見つめ
"やれやれ"と緩く微笑んだ

⏰:10/01/28 14:53 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#96 []




「で、あんた‥
経験はあるのかい?」

梅の花のような香りがする部屋で
此処の遊女屋を取り仕切る
"京さん"は煙管を蒸かして言う

「え?!あぁ‥えっとぉ」

全身にどっと汗をかき
後ろに隠した手が忙しなくなる

⏰:10/01/28 15:05 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#97 []
 
「‥悪いけど、生娘は雇えないよ」

冷たく言い放つ声の後ろで
男女の色がましい声が聞こえる

やっぱり‥
あたしの来る所じゃないかも

「ささ、産毛の子猫ちゃんは
お家に帰って
"おまんま"でも喰ってな」

煙を顔に吹きかけられて
しかも子供扱いされて‥

⏰:10/01/28 15:11 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#98 []
 
引き下がってたまるか‥!!



「経験‥あります!!」


色がましい声をかき消すように
顔にかかった煙を吹き飛ばす様に


大声で言ってしまった

⏰:10/01/28 15:13 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


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